なんだかすごいタイトルですが、宮部みゆきさん、辻村深月さんなど6人による「イヤミス話」を集めたアンソロジー作品です。
イヤミスといえば湊かなえさんですが、ここに湊さんはいませんでした。
以下、簡単な感想です。
『石蕗南地区の放火』辻村深月
トップバッターだし、ものすごくドロドロしたものを想像していましたが、思ったよりもアッサリしていました。
イヤミスというよりは、勘違いによるモヤモヤした終わり方という感じかな。
だけどもしかしたら、大林から見た「あなた(笙子)の不幸は蜜の味」という話なのかな?とも思ったり。そう考えると、なかなかのイヤミス話です。
『贅肉』小池真理子
なんか怖かった。
よく食べる友達の母親の話かと思ったら、過食症になってしまった姉の話だった。そして姉の話で終わるのかと思ったら、今度は自分の話になった。これは後味が悪い。
そして黒崎という男は何を考えていたんだか。
『エトワール』沼田まほかる
エトワールローズという花(別名クレマチス)が出てくる話。ラストは不気味でした。
変わった男(というかただのマザコン?)と、不安定すぎる女、という感じ。
不倫ではなかったと分かっても、この状況は喜べないなぁ。
『実家』新津きよみ
実家があって両親ともに元気な事はとてもいいと思います。
だけど遺産相続で揉めるくらいなら、いっそ遺産なんて無い方がいいのかもしれない。
房子の価値観には共感できないけれど、同居の苦労や旦那のダメダメ具合には同情してしまいました。後味悪いなぁ。
『祝辞』乃南アサ
これはイヤミスです。湊かなえさんに似ている感じがしました。
朋子の失語症が演技だったのなら、スピーチだってもっと上手に演じれば良かったのに、取り乱してしまう程くやしかったのか。嫉妬って怖い。
これから結婚式でハラハラするようになりそうです。あー怖い。
『おたすけぶち』宮部みゆき
一番楽しみにしていた作品です。
久々に読んだ宮部作品でしたが、やはり情景描写が素晴らしい!もちろん話も良かったです。
宮部さんの本は長編の方が好きなのですが、短編でも存在感がありました。さすがです。まだまだ続きがありそうな、続きを読みたくなるような終わり方でした。
あらためて宮部作品好きだなぁ。
まとめると、一番イヤミスだったのは「祝辞」
個人的に好きなのは「おたすけぶち」でした。