AKI 's ミステリー            -6ページ目

AKI 's ミステリー           

これまでに書きためた作品を紹介します。

ブログネタを利用したお遊びstory〈梅と愉快な仲間たち〉も毎日更新♪


「あんた、自分のやったこと、わかっているのか?
何も出来ないくせに、余計な発言で話をこじらせやがって」


 亘が多村清に詰め寄ると、

「ふぅー」


 多村清は亘を見下し、作業着の裾を引っ張った。

多村清は、院長夫人の発言に対し、感じることは何もない様子だ。

「苦情や問い合わせをする客は、あんたらにとっちゃ、皆クレーマー扱いなんだろ?

七条工務店は、他の住宅メーカーからも一目置かれる立派な家を建てる。
七条工務店以外の住宅メーカーは、欠陥住宅。
七条工務店は誰にも文句は言わせない。
SNSをパトロールする部門までありますってか!

ハウジングを見学した時から、家の引き渡し日までに、何度聞かされたことか。
えらく自信家な工務店だと思っていましたよ。

ビッグマウスを信用するのに不安はありましたが、他のメーカーを見て回ればあなた方が胸を張る通りで、柱のクオリティーが全然違った。
デカイ買い物です、俺はいい家が建てたかった。

七条工務店を選んだのは俺です。
誰のせいでもない。
間違っていなかったと今でも思っていますよ、でもね、あんたらのその根性のままじゃ、会社は持たない。

家ってね、建ったら終わりじゃありませんよ。
人が暮らし始めると、手直しの必要な箇所はいくらでも出てくる。
俺らが納得できないのは、手直しが必要だからじゃない、あなた方が俺らの声を聞かないことだ。

頻りと送ってくるアンケートだって、一方的で、自分たちのいいようにしか解釈していないでしょ。
自分の主張だけして、あとは耳栓。
アフターフォローを拒絶する工務店なんて、誰にも信用してもらえませんよ」


「君の担当者の出来の悪さはわかりました。
同じ会社の者として、申し訳ない。
しかし、出来の悪い担当者と、七条工務店を一緒にされては、これもまた名誉毀損だ」


「はあ?」

 亘は眉を上げ、顔を歪めた。

放っておくと手を出しかねないと判断し、

「多村さん、頭をしっかり働かせてから発言されることをお勧めします」


 秀美が割って入った。

誰にだって長所と短所がある。

ただ、今この瞬間に、多村清の長所が見出せないだけ。

本心では多村清も自身の失敗に気付いているはず、わかっているからこそ、虚勢を張って自分の弱さをごまかしているのだ。

 亘と多村清の興奮が、冷房を切ったせいでより熱を帯びる。

本音では冷房をつけたいが、今はとにかく我慢。





つづく。。。


この作品は、フィクションです。
登場する企業、学校、人物は架空のモノです。




短冊にお願い事書いた?

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アーハッハッハハ~
みーんなみんな、こんにちは。
交機のエース! プリンス柳下聡志だっぜー。
よろしくな赤薔薇


気がつけば、今日は七夕。
彦星と織り姫の逢瀬の心配をして、空を見上げる年でもないが、
今夜はお流れになりそうだな。
全国各地、大雨だぜ。
年に1度しか会えない恋人よりも、
我が身と家族を守らにゃいかん大事な時だ。
すまね、織り姫、また来年!


アーハッハッハハ~
織り姫は、俺様の恋人じゃねーんだけどな。
彦星に代わって言ってやったぜ。
ん?
迷惑だってぇーーー∑(OωO; )
な、な、なんて酷いことを…



“短冊にお願い事書いた?”
これが、質問だ。


昨日、カレンちゃんに短冊を1枚渡されて、
何を書こうか悩みに悩み、
『いつまでもプリンスでいられますように』
と、書いたラブ
秀美との将来や、レイデイたちの健康も大事な願い事だが、
やっぱり、俺様がプリンスで居続けることが最重要だと思ってな。
アーハッハッハハ~


カレンちゃんは、
1枚の短冊に、ギュウギュウ詰めで複数の願い事を書いていたぜ。
欲張りだなニヤリ







「千歳さんを殺害したのは、院長夫人です」


 秀美の発言で、亘と多村清の視線が院長夫人に集中した。

院長夫人は背を伸ばし、固まった。

空を見つめ、脚の上に乗せた手を震わせている。

「まさか、山岡さんは奥さんのことを慕っていたはずじゃ」


 秀美は軽く息を吐き、

「奥さんの旧姓は、庄野。
京都文化女子高校の元副校長、庄野吾朗さんのお嬢さんですね?」


中腰で、院長夫人の震える手に自分の右手を添えた。

瞬時、院長夫人は肩を飛びあがらせたが、すぐ元に戻った。

「その事をわかった上で、千歳さんは脇坂眼科への就職を希望しました。
本来なら、自ら近付きたくはなかったでしょう。

でも、千歳さんにはその必要がありました。
千歳さんは自分を裏切った人物たちを恨みながら、彼らが真相を語ってくれるのを待っていたからです。

何年待っても、千歳さんへ誠意を見せる人はいなかった。
だからこそ、彼らに近しい人物の側にいることを選んだんです」


 しゃがんだ秀美は、院長夫人の目を見つめた。

「奥さんは、お父様が千歳さんへ何をしたかなんて、ご存知なかったでしょ。
千歳さんが奥さんに牙をむくことも、なかったと思います」


 院長夫人はワンピースと同じくらい青い顔で頷いた。

「では何故、千歳さんを手にかけようなどと」

「── 山岡さんは、とてもいい方でした。
患者さんからも評判が良かったですし、お仕事も丁寧で。
医院の仕事に携わらない私にも、敬意を持って接してくれました。

初めて会った時から、陰のある方だとは思っていましたが、親しく接しているうちに陰も気にならなくなって。

── 私は何も知りませんでした。
山岡さんが京都文化女子高校に通っていたことさえも」


 お多福の頬に一筋の涙が流れた。

「多村さんが、『おたくの事務員は頭がおかしい』 と言って来られた時に、千歳さんが京都文化女子高校を恨んでいると初めて知りました。
それでわかったのです、山岡さんが私を復讐のターゲットにしていると」

「頭がおかしい?」

「内装リフォーム直後から、エアコンの悪臭で山岡さんは体調不良を訴えていました。
どんなに臭いと言われても、私たちには全くわからなくて。

だからって、山岡さんが嘘をついている風には見えませんでしたし、エアコンを調べてくれるよう多村さんにお願いをしていました。
けれど、先ほどのお話の調子で、多村さんはなかなか動いて下さいません。

痺れを切らして、京都営業所に問い合わせたこともあります。
それでも対応は一緒。

山岡さんにはマスクの着用で我慢してもらっていましたが、見るに不憫な様子で。
山岡さんは雇われの身ですからね、しつこく訴えることも出来ずに我慢してくれていました。

そんなある日、多村さんが訪ねて来られて、山岡さんの頭がおかしいとおっしゃいました。
精神状態も良くないようだから、エアコンの悪臭も幻想か幻覚の可能性があると。
彼女以外は誰もエアコンの悪臭を感じないのが、いい証拠だとも。

私は山岡さんが本当に苦しんでいると思っておりましたのよ、それなのに… 、京都文化女子高校を恨んでいると聞いてからは、山岡さんの行動の全てが偽りに見えました。

エアコンから悪臭がすると訴えるのは、性質の悪い嫌がらせ。
山岡さんは、私を困らせようとしている。
脇坂眼科だって潰されるかもしれないと。
── 頭がおかしいのは、私です」


 院長夫人は両手で頭を抱え、項垂れた。

ポトリポトリ、大粒の涙がワンピースに落ちる。




つづく。。。


この作品は、フィクションです。
登場する企業、学校、人物は架空のモノです。