訳あって独りですが、この街で暮らしてゆきます 18 | AKI 's ミステリー           

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これまでに書きためた作品を紹介します。

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〈訳あって独りですが、この街で暮らしてゆきます〉 第1話 , 前話(17)

 

 

「イチゴちゃんの部屋の鍵、預かっている人?」

 

 豊さんの問いかけに手を挙げる者はいなかった。

律子さんの再確認に正臣さんは、「預かっとらん」 と首を横に振る。

 

「よし、アパートへ行こう。

呼びかけても返事がなかったら、警察に」

 

 平均年齢76歳の団体が、互いの歩行を庇い合いながら、雪道を猪突猛進。

健康自慢の年長者、正臣さんが先陣を切るものの、先に小走りを繰り返したせいで膝を震わせている。

気遣いながら、最後尾で団体を見守るしっかり者の由起夫さん。

誰ひとり、「ちょっと待って」 とは言わなかった。

 

 警官の通報でアパート前にパトカーが集結し、辺りは一時騒然となった。

刑事ドラマさながらの光景。

ライトで床を照らし、ドアノブやテーブル、食器に粉を叩く。

冷たくなったイチゴの身体チェックが済むと、一同が合掌をし、担架に乗せた。

永らく暮らした部屋から運び出されるイチゴ。

『ホウレンソウ』 の常連客の咽び泣きを知る由もない。

 

 

 

 

 

〈訳あって独りですが、この街で暮らしてゆきます 19〉 右矢印コチラ