『午後6時の彼』(29)は コチラ
軽やかな小鳥のさえずりが聞こえ、私はコンビニの入口へ視線を移した。
「いらっしゃいませ」
自動ドアをくぐり抜けた午後6時に来店する男性客が、私へ会釈した。
時計の針は、ジャスト6時を指す。
男性客は回り道をせず、弁当コーナーへ向かい、棚の前で商品を選ぶ。
今日、彼が選ぶのは『季節野菜を使った五穀米弁当』だろう。
「こんにちは」
いつものように、客の姿を観察し、購入弁当を予想していると、ドリンクコーナーにいたはずの卓也が彼に声をかけた。
私は瞼をへこませ、2人を見守った。
思いもしなかった展開に、鼓動が乱れる。
しかし、現状を理解する彼は、卓也に滅多なことは言わないはずだ。
「こんにちは」
彼は卓也に声を掛けられ、微笑んだ。
記念すべき、親子初の会話。
戸惑いと同時に、感激で私の瞼は熱くなった。
「僕、おじさんに、言っておきたいことがあるんです」
卓也は真っすぐに彼の目を見、話した。
「何かな?」
「おじさん、昨日、見たでしょ。
僕の母は、結婚してます。
付き纏ったって、結婚できないよ」
私は思わず吹き出した。
が、すぐに口に手を当て、笑いを抑えた。
「え… 」
「おじさん、お客のままでいなよ。
お店に来れば、会えるんだしさ。
付き纏ったら、ストーカーって言われちゃうよ」
卓也は真面目な顔で、彼に告げた。
卓也が私を守ってくれている。
全身に電流が走り、心が震えた。
「あ… 」
卓也は返答に困る彼の腕を引っ張り、彼の耳に何かを囁いた。
途端、彼は「あはは」と軽快に笑った。
実の父親とも知らず、卓也は彼とハイタッチをし、目を輝かせた。
「お母さん、今日は飲み物いらないや。
行ってきまーす」
「え、ちょ、ちょっと、卓也」
機嫌良く塾に向かう卓也を見送り、私は肩を落とした。
未だに、男の子の扱い方がわからない。
一難去って、また一難。
卓也が彼に何を囁いたのか、知るのが怖い。
『午後6時の彼』(31)は コチラ
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申し訳ありません。
今日もエンドに出来ませんでした。
明日も続きます(b^-゜)
お付き合い下さり、ありがとうございます。
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