自分に戻るくらし

自分に戻るくらし

〜自己信頼を育てるマインドフルネス実践記〜

【本当の変化には、熟成する時間が必要です】

 

「私、結局何も変わっていない。」

 

そんなふうに感じることはありませんか。

 

本を読んだ。

講座で学んだ。

誰かとの対話を通して、これまでの認識が大きく変わった。

 

「そういうことだったのか。」

「あの出来事には、こんな意味があったのか。」

 

それまで見えていなかったものが一気につながり、

目の前が開けたように感じることがあります。

 

その瞬間は、

 

「これで変われる。」

「明日からは、今までとは違う自分になれる。」

 

そう思えるかもしれません。

 

ところが、数日が過ぎると、

以前と同じことで悩んでいる。

 

また同じように傷ついた。

同じ相手の言葉に反応した。

決めたはずのことを続けられなかった。

 

すると、

 

「あれほど大きな気づきがあったのに。」

「私はやっぱり変われない。」

 

と、自分を責めたくなります。

 

私は長年、人の変化を見つめる中で

考えるようになりました。

 

大きな気づきが起きたことと、

その気づきが日常の生き方として定着したことは、

同じではない。

 

ということです。

 

私自身も、元に戻ったように感じたことがあります

 

私自身、セッションを受けたことで、

これまでの認識が大きく変わったと感じた経験があります。

 

自分の中で点と点がつながり、

「そういうことだったのか。」

と、深く納得しました。

 

その影響は数日間続きました。

 

物事の見え方が変わり、

以前とは違う自分になったように感じていました。

 

けれども、日常生活へ戻るにつれて、

その鮮明な感覚は少しずつ薄れていきました。

 

そして、気がつけば以前と似たような反応を

している自分がいました。

 

「あれだけ大きく意識が変わったと思ったのに、

 なぜ元に戻ってしまうのだろう。」

 

当時は、そう感じたこともあります。

 

今振り返ると、あのとき必要だったのは、

さらに強い刺激や新しい答えではなかったのだと思います。

 

必要だったのは、

起きた気づきを自分の中になじませる時間でした。

 

頭では理解できても、

身体や感情、

日常の行動が、

その理解へすぐに追いつくとは限りません。

 

長い時間をかけて身についた考え方や反応には、

それぞれ理由があります。

 

一度の気づきだけで、

それらがすべて切り替わるわけではないのです。

 

セッションの中でも、

同じことが起こります。

 

私のセッションでも、

クライアントさんが涙を流しながら、

 

「ああ、こういうことだったのですね。」

 

と、ご自身の内側にあるものへ

深く気づかれることがあります。

 

表情が変わる。

言葉が変わる。

それまで何度説明してもつながらなかったことが、

一つにつながる…

 

その瞬間に起きていることは、

決して嘘ではありません。

 

ご本人も、

本当に心が動いているんです。

 

ところが、しばらくすると、

以前と同じ問題で再び相談に来られることがあります。

 

また、別の場所で新しいセッションを受け、

 

「とても大きな気づきがありました。」

 

と発信されている姿を見ることもあります。

 

以前のセッションについて、

 

「何も変わりませんでした。」

 

と話されることさえあります。

 

そんな言葉を聞くたびに、

私は何度も考えてきました。

 

では、あの涙は何だったのだろう。

あのときの気づきは、どこへ行ったのだろう。

 

一時的な感動に過ぎなかったのでしょうか。

本当は変わる気がなかったのでしょうか。

 

それとも、人間の変化とは、

そもそもそういうものなのでしょうか。

 

私の探究は、いつもそこから始まります。

 

大きな気づきは、変化の完成ではありません。

 

変化が始まる入口です。

 

これは、

短期間で大きく体重を減らそうとする

ダイエットにも似ています。

 

極端に食事を減らし、

無理な運動を続ければ、

一時的には大きな変化が起きるかもしれません。

 

けれども、

その生活を長く続けられなければ、

以前の状態へ戻りやすくなります。

 

心の変化にも、

同じような面があります。

 

強い衝撃を受けた。

感情が大きく動いた。

これまでの認識が一気に変わった。

 

その瞬間は、

自分が生まれ変わったように感じることがあります。

 

しかし、意識だけが先に変わっても、

日常の行動や身体の反応が追いついていなければ、

その状態を保つことは難しくなります。

 

忙しくなったとき。

心に余裕がなくなったとき。

人間関係で予想外の出来事が起きたとき。

 

私たちは、これまで何度も繰り返してきた反応へ戻ります。

 

それは、意志が弱いからではありません。

 

新しい気づきが、

まだ自分の中に十分なじんでいないだけです。

 

だからこそ、気づきには熟成する時間が必要なのです。

 

人は、劇的な出来事には気づきやすいものです。

 

涙が出た。

大きな答えが見つかった。

目の前が一気に開けた。

 

そのような体験は印象に残ります。

 

一方で、

日常の中で起きている小さな変化には、

なかなか気づけません。

 

以前なら一日中引きずっていたことを、

半日で切り替えられた。

 

すぐに言い返していた場面で、

数秒だけ立ち止まれた。

 

誰かに合わせる前に、

自分の気持ちを一度確かめられた。

 

感情的になったあと、

「本当は私は何を感じていたのだろう。」

と、自分の内側を見られるようになった。

 

疲れ切ってしまう前に、

「今日は少し休もう。」

と選べた。

 

どれも、大きな変化には見えないかもしれません。

 

本人も、

「これくらいでは、変わったとは言えない。」

と考えてしまうことがあります。

 

しかし、こうした小さな変化によって、

その人が安心して行動できる範囲は少しずつ広がっています。

 

昨日までは怖くてできなかったことが、

今日は少しだけできた。

 

以前は完全に否定していた自分を、

今日はすぐに切り捨てずにいられた。

 

それも、確かな変化です。

 

大きな気づきほど目立たないだけで、

変化は静かに進んでいます。

 

「何も変わっていない」は、本当でしょうか

 

同じ問題で悩んでいるからといって、

まったく変わっていないとは限りません。

 

以前は、ただ苦しんでいた。

 

今は、

「また同じ反応をしている。」

と気づけるようになった。

 

以前は、すべて相手のせいだと思っていた。

 

今は、

「自分の中にも、何か反応する理由があるのかもしれない。」

と考えられるようになった。

 

以前は、感情が起きること自体を否定していた。

 

今は、

「私は今、悲しいのかもしれない。」

と、自分の気持ちを認められるようになった。

 

表面上は同じ悩みに見えても、

悩みとの向き合い方が少し変わっていることがあります。

 

その変化は小さく、

本人には見えにくいものです。

 

だから、

 

「前のセッションでは何も変わらなかった。」

「私は全然変われていない。」

 

という評価になってしまうのでしょう。

 

とはいえ、一度経験したことを、

完全になかったことにはできません。

 

一度自転車の運転を覚えたら、

しばらく乗っていなくても、

最初からすべてを覚え直すわけではありません。

 

心の体験も同じです。

 

一度見えたものは、

見なかったことにはできません。

 

一度自分の内側で感じたことも、

表面から見えなくなったからといって、

すべて消えてしまったわけではないのです。

 

元に戻ったように見えても、

以前とまったく同じ場所に戻ったわけではありません。

 

一度その体験をした自分が、

もう一度そこに立っているのです。

 

EMFでは、以前の反応へ戻った自分を、

失敗とは考えません。

 

元に戻ったように感じたときこそ、

もう一度Feel(感じる)から始めます。

 

今、私は何を感じているのだろう。

身体には、どんな感覚があるだろう。

なぜ、この言葉に反応したのだろう。

本当は、何を怖れているのだろう。

 

まずは、自分の中で起きていることを感じます。

 

そして、そこに気づいたうえで、

「今の私は、何を選びたいだろう。」

と考えます。

 

一度で正しい選択ができなくても構いません。

(そもそも正しさはないのですが…)

 

また以前と同じ反応をしてしまったとしても、

そこから気づき直すことができます。

 

そして、何度でも選び直せます。

 

変化とは、二度と元の反応へ戻らないことではありません。

 

戻ったときに、自分の状態へ気づき、

もう一度選び直せるようになること。

 

私は、それも大切な変化だと考えています。

 

 

【探究から見えてきたこと】

私はこれまで、

「なぜ人は、あれほど変わりたいと言いながら、

 同じことを繰り返すのだろう。」

と、何度も考えてきました。

そして今は、人が変化するためには、

一度の感動だけでは足りないのだと感じています。

気づいたことを日常へ持ち帰る。

以前の反応が出た自分を見る。

そこで自分を責めるのではなく、もう一度感じる。

気づく。

選び直す。

実際に行動してみる。

うまくいかなければ、また戻って自分を見る。

その繰り返しの中で、大きな気づきは少しずつ、

その人の言葉や選択、生き方へ変わっていきます。

変化には時間がかかります。

しかし、その時間は停滞ではありません。

気づきが自分の中に根づき、

日常の中で使えるものへ変わっていくための、

大切な熟成期間です。

大きく変わったように見えることよりも、

小さくても、変わり続けられること。

その方が、長く続く変化につながるのだと思います。

 

✴︎

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

今日、一日の終わりに、こんな問いを自分へ向けてみてください。

 

「私は以前より、何に気づけるようになっただろう。」

 

大きな変化を探す必要はありません。

疲れていることに、以前より早く気づけた。

誰かに合わせる前に、自分の気持ちを考えられた。

感情的になったあと、自分の本音を振り返れた。

嫌なことを「嫌だった」と認められた。

その程度で構いません。

 

思い浮かんだことを、

スマートフォンのメモや手帳に一行だけ残してみてください。

 

書くことで、普段は見過ごしている自分の変化が

見えやすくなります。

 

誰かに伝えたいと感じた方は、

コメントや公式LINEへ送っていただいても構いません。

 

もちろん、誰にも見せず、

自分だけの記録として残すことにも十分な意味があります。

 

元に戻ったように感じた日も、

これまでの体験が消えたわけではありません。

 

今日もまた、Feelから始めればいい。

 

そして、その時点の自分にできる選択を、

一つ重ねていけばいいのです。

 

▼公式LINEはこちら

https://lin.ee/oys8DDy