【33カ月目の福島はいま】除染始まったが未だ仮置き場無し~汚染状態続く西郷村や天栄村 | 民の声新聞

【33カ月目の福島はいま】除染始まったが未だ仮置き場無し~汚染状態続く西郷村や天栄村

福島第一原発の爆発事故による放射性物質の拡散は、浜通りの20-30km圏内にとどまらず、60km離れた中通りにも及んでいる。そして、それは100kmもの距離がある西郷村にも。14日、同村や天栄村など今冬最初の積雪となった県南地域を回った。住民が「下手したらいわき市より高い」と言う通り、依然として0.3μSv/hを超す個所が点在している。西郷村では宅地除染が始まっているが、仮置き場への搬入は遅れていた。原発から100kmの村の、これが現実だ



【ようやく0.3μSv/hの天栄村】

 一面の銀世界となった天栄村の天栄中学校。校庭の片隅に、白い雪で一層目立つ青いフレコンバッグが積み上げられていた。ようやく始まった学校内の除染。しかし、汚染物は子どもたちの生活圏外に運び出されることなく、サッカーのゴールポストからほど近い場所に保管されている。中学生と汚染物との〝同居〟だ。

 須賀川除染組合の男性作業員は言う。

 「私の担当は中学校ではなく宅地と道路ですが、除染する前の放射線量はせいぜい0.5μSv/hくらいで、そんなに高くはないですよ。それに、やれば下がりますから」

 0.5μSv/hを「そんなに高くはない」と言う除染作業員。しかし、原発事故直後から1.0μSv/hを超すような数値であっても除染も避難勧告も行われてこなかった。春になれば丸3年。放射線量がもっと高かった頃、この地域では子どもたちの被曝回避がなされてこなかったことは忘れられている。

 0.298μSv/h。

 除染が行われていても、積雪による放射線の遮蔽効果があっても、校内に設置されたモニタリングポストの数値は決して低くは無い。通学路では、手元の線量計は0.35μSv/hに達した。単純換算で、年間の被曝線量が2mSvを超すレベル。だが、ここでは被曝や汚染について語られることは、ほとんど無い。

 これが、天栄村の中学生が強いられている環境の現実なのである。
天栄中①
天栄中③
天栄中前

ようやく除染作業が始まった天栄中学校。しかし、

校内のモニタリングポストは依然として0.298μSv/h。

校門前の歩道では、手元の線量計は0.3μSv/h

を超した=岩瀬郡天栄村白子


【完成遅れる西郷村の仮置き場】

 福島第一原発から100km近く離れた西郷村。宅地除染が本格化し、国道289号線(甲子道路)を会津方面に進むと、至る所で宅地除染が行われている。

 除染で生じた汚染物は、村内の国有地・芝原牧場が提供した20ヘクタールの土地を仮置き場として活用し、搬入するはずだった。仮置き場は早ければ夏、遅くても9月末には完成する計画だったが、今も汚染物は生活圏から動かせていない。自力で除染を行った「白河めぐみ園」(知的障害児入所施設)でも、敷地内に積み上げられた汚染物はブルーシートに覆われたまま。「仮置き場に動かせる目途は全くたっていません」と、女性職員も苦笑する。集会所の敷地内に真っ黒いシートで覆われた汚染物もそのまま。近所の酒店店主は「仮置き場が遅れてるから運び出せない。この辺りは下手したら浜通りよりも放射線量が高いけど、まだ除染の順番はまわって来ない」と話す。

 工事関係者が明かす。「台風などの悪天候で工期は大幅に遅れています。ようやく遮水シートを敷けた段階で、その上にさらに土を敷き詰めて固めないと使えません」

 通行証を確認するゲートを、次々とダンプカーが通って行く。ここからさらに数km、車でも10分ほどかかる場所に、仮置き場の建設地がある。完成するまでの間は、学校などの除染汚染物は村内の別の場所に仮仮置きされている。

 郡山市の自宅から毎日通っているという男性警備員は「私の仕事も10月で終わる予定でしたが、延びました」と笑った。真冬を迎え、男性には除雪という新たな仕事が加わった。彼がここの仕事を離れる時、雪は解けているだろうか。

 国道4号と東北自動車道が交差する付近の広場では、手元の線量計は0.4-0.7μSv/hを計測した。この広場も当然、除染対象になっているが、搬入先がない。そして村内では今日も、除染作業が行われる。
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仮置き場
除染
(上)「白河めぐみ園」の汚染物は、いまだに生活圏

から運び出せないまま3度目の冬を迎えた

西白河郡西郷村大字小田倉字上上野原
(中)西郷村が建設中の仮置き場は悪天候などで完

成が遅れている。搬入は来年3月になりそうという

(下)村内には、持って行き場の無い除染汚染物が

至る所に一時保管されている


【県境でとどまらない放射性物質の拡散】

 当然のことだが、放射性物質は20-30km圏内でとどまることはない。そして、県境を超えて周辺県へ拡散されたことも、ずっと言われ続けてきた。実際、西郷村と栃木県那須町の境に車を走らせてもらうと、0.3μSv/hに達した。
 水郡線走る棚倉町。原発から72km離れた赤舘公園(城跡)のモニタリングポストは、0.23μSv/hを示していた。単純換算で、年1.6mSVに達するレベル。冬の間は閉鎖されているが、これまで汚染を理由に立ち入りが禁じられることなく、花見などに利用されている。ここから塙町、矢祭町を抜ければ茨城県だ。
 西側に戻り、泉崎村へ。東北道を越えた太田川公民館では、モニタリングポストの数値は0.19-0.20μSv/h。近所の飼い犬が吠えているのを、庭先のおばあさんが笑顔でたしなめる。原発から73kmの長閑な村にも、放射性物質は降り注いだ。

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泉崎村
(上)西郷村では、至る所で車道の脇に汚染物が

一時保管されている

(中)棚倉町・赤舘公園のモニタリングポスト。

0.230μSv/h

(下)泉崎村・太田川公民館のモニタリングポスト。

0.207μSv/h

(了)