【郡山の乱】原正夫市長にNOを突き付けた市民~市長交代で子どもたちの被曝回避は進むか | 民の声新聞

【郡山の乱】原正夫市長にNOを突き付けた市民~市長交代で子どもたちの被曝回避は進むか

任期満了に伴う郡山市長選は14日、投開票が行われ、4年前に続いて原正夫市長(69)に挑んだ元郵政官僚の品川万里(まさと)さん(68)が当選した。現職楽勝ムードが漂うなか投票率は45.01%と過去ワースト2位の低さだったが、震災以降の原市政に、女性を中心に市民が「NO」を突き付けた格好だ。郡山市民は市長選をどう見ているか、高線量の開成山公園を中心に聴いた


【市長を変えることに意味があった】

「とにかく変えたかったということではないでしょうか。品川さんへの希望というよりも、原さんへの失望が顕著に表れた結果だと思います。原さん楽勝ムードの中で投票率が伸びなかったことも幸いしたでしょうね」

郡山市の母親グループ「3a!安全・安心アクションin郡山」の代表で、これまで原市政に子どもたちの被曝回避策を求めてきた野口時子さん(48)は、市長選を振り返った。実際、当選した品川さんは4年前から67票増とほとんど変わらなかったのに対し、落選した原さんは1万8千票以上も得票を減らした。3割近い減少だ。任期の半分を震災対応に費やした原さんへの批判の多さがうかがえる。

「品川さんが市長になったからといって、すべてが劇的に変わるわけではないし、子どもたちの被曝回避策が急速に進むとは思えません。しかし、変わることに意味があるのです」

3a!の野口さんら9人は市長選2日後の16日、さっそく品川新市長と1時間ほど面会。告示前に引き続き、教室へのエアコン設置や市町村をまたいでの移動教室実施、長野県松本市長の菅谷昭さんとの連携など、子どもたちの被曝回避策に取り組むよう求めた。特に教室へのエアコン設置は、真夏に窓を開けることによって子どもたちが被曝することのないよう再三にわたって市議会に請願を提出しながら否決されてきただけに、新市長への期待は大きい。

「移動教室も、郡山市内にこだわらずに放射線量の低い猪苗代町を利用することを考えて欲しい。被曝の危険性を知りながら県外避難できず、郡山で生活せざるを得ない人が大半なんですから」と野口さん。今回、落選した原前市長は、新年度予算案で湖南地区への移動教室費を減額していた。

市長選は子どもたちを守る第一歩。これがゴールではない。品川新市長は、面会の中で市教委改革や音楽堂の建設凍結も口にしたという。27日から任期が始まる新市長の言動を、野口さんらは注意深く見守っていく。
民の声新聞-当選御礼
4年前の雪辱を晴らし現職市長を破った品川新

市長。だが、当選はゴールではない。子どもたち

の被曝回避にきちんと取り組むか、市民は見て

いる=郡山市長者


【郡山に住みながら、どうやってわが子を守るか】

高濃度汚染を受けて大規模な除染が実施された開成山公園。

満開の桜を楽しもうと多くの若者や子どもを連れた親たちでにぎわっている。

「そりゃ、もちろん被曝は心配ですよ。開成山にも来ないようにしてきましたし。でもね、桜をどうしても見たくて。子どもにもせがまれると駄目とは言えないんですよね…」

30代の母親は、6歳と8歳の娘を連れて公園を訪れた。モニタリングポストが0.4μSVを超す放射線量を示しているのを見て驚いたという。大規模除染を行っても、この数値。単純換算で年3mSVに達するレベル。「土とか、子どもは本当に触って欲しくないものに触れますからね、気が抜けません」と母親。これまで、夏休みなどを利用して、岐阜県に保養に出かけるなど娘の被曝回避には気を遣ってきたという。

「長期間の県外避難は現実問題として難しいです。だったら、郡山に住みながらどうやってわが子を守るか。気にしすぎるのも良くないし、難しいですね。前市長の原さんは、子どもたちのために積極的に取り組んでいるようには映らなかった。だから私は品川さんに投票しました」

郡山市は、公園内の桜をライトアップする演出。だが、園内は0.4-0.6μSVと依然として放射線量が高い。1.0μSVを上回らないと放射線量が高いと思わない市民が多くなったことは、原市政の〝成果〟だろうか。

幼稚園児の娘を連れて花見に来ていた30代の父親は、被曝について「最近は危機感が薄れてきていますね」と苦笑した。この男性は、市長選で現職市長が落選したことを知らなかった。投票にも行かなかった。実は彼のような市政にも被曝にも関心の低い市民が大半なのかもしれない。しかし、それでは子どもは守れない。
民の声新聞-開成山①
民の声新聞-花見
民の声新聞-ライトアップ

花見客でにぎわう開成山公園。だが、除染をして

も0.4μSV超。入り口付近では0.6μSVを超す。

子どもたちの被曝回避策が急がれる

=郡山市開成



【若いリーダーの出現に期待する声も】

市内の老舗酒店の経営者は、選挙結果に驚きの表情を隠さなかった。

「原さんは組織票をがっちりと固めていると聞いていたし、ギリギリでも勝つと思っていた。まさか品川さんが当選するとはね。うちにも良く買いに来てくれるんだけど」

だが本当は、若いリーダーの出現を期待している。震災以降、郡山が沈滞ムードに包まれているのは身を持って実感している。

「大阪の橋下さんのようなイキの良い若いリーダーに引っ張って欲しい。これまで、福島県をけん引してきた街だという自負はあるからね。その意味では、原さんも品川さんも70歳近いから、どちらも変わらないかな」

品川新市長は30日、修繕の完了した市役所に初登庁する。市議会で所信を表明するのは6月だ。市役所周辺は依然として高線量。子どもたちの被曝回避策にどれだけ取り組むか、注目したい。
民の声新聞-分庁舎①
民の声新聞-分庁舎②
郡山市役所分庁舎前の植え込みは0.8μSVを超す。

原発事故から2年以上が経ってもこの値。郡山の子

どもたちを取り巻く環境は、決して改善されてはいな

い=写真は全て4月17日に撮影

(了)