女が語る被曝と原発再稼働~「発信する女たち6.2集会」より | 民の声新聞

女が語る被曝と原発再稼働~「発信する女たち6.2集会」より

大飯原発を動かすなと、女たちの怒りが爆発した。2日、都内で開かれた「もう原発は動かさない!発信する女たち 6.2集会」では、文化人らが福島の被曝の現状や大飯原発再稼働に関して意見表明。第二部では、福島にとどまって生きる女性、福島から離れた女性らがそれぞれの想いを語った。進まない事故の収束、被曝への不安…。それらを無視するように着々と進められる原発の再稼働。男社会が推進してきた原発に対する怒りが渦巻いた。福島では今日も、子どもたちが被曝を強いられている。


【福島にとどまる選択、県外に離れる選択】

宇都宮大3年の小野寺真里さん(20)は、須賀川市出身。地元の短大に通っていたが、編入した。

原発事故直後、家族の勧めもあり只見町に数日間避難したが、友人が心配でもありすぐに自宅に戻った。当時は「自分だけ県外に出ることは申し訳ない」という気持ちもあったという。

自分は被曝したのか、妊娠しても問題ないのか…。

事故から一年経っても不安は消えない。

「私も福島で子どもを産みたい。育てていきたい。でも…」。複雑な胸中を吐露した。

大学のある栃木県でも、那須や日光にホットスポットがあることを知り、乳幼児や妊産婦を支援するボランティア団体に加わった。

「将来、子どもに『お母さん、どうしてあの時、動いてくれなかったの?』と言われたくない。後悔したくないんです」

元ミス郡山の日塔マキさん(29)は、郡山市から千葉県に自主避難した。「家族や恋人を残して自分一人だけ避難したことが正しかったのか、今でも答えは出ていない」と話す。

昨年11月、福島の若い女性たち5人で「peach heart」を設立。千葉と郡山を行き来しながら、「女性たちが本音を言える場を作ろう」と奔走しているが、福島では被曝の話題を口にしにくい雰囲気があるという。

「友達同士でも被曝の不安を口にできない。家族や彼氏にも、本音が言えない。本音を言ってしまうと『どうしてネガティブなことを言うのか』と怒られてしまうからです」

家族会議の末、福島市にとどまる選択をしたのは、桜の聖母短大に通う加藤朋栄さん。同じ学科の友人たちと、仮設住宅支援を続けている。

高校時代の友人は皆、県外に避難していった。

「取り残された気分がした」

被曝の不安が募る日々。「原発事故直後、『大丈夫、大丈夫』と言われて給水車の列に並んでいた。それがどれほど危ないことだったのか、恐怖感は消えません。線量の高い花見山など、市内のモニタリングポストは少ないと思う。もっと増やして正確な数値が知りたいです」

ステージから「学生たちは復興に向けて頑張っています」と語りかけた加藤さん。「福島を忘れないでください。私たちは忘れられることを一番恐れています。今日の話を一人でもいいから身近な人に伝えてください」と頭を下げた。

自宅が福島第一原発から10km圏内にあるKさんは、「まったく先が見えない。5年先、10年先を想像することができない」「国は除染を進めようとしているが、無駄だ。仮に故郷に帰っても住めないことは、みな良く分かっている」と怒りを込めて話した。

Kさんが許せないのは、福島原発事故が何ら解決しないまま、自分たちの日常を取り戻せないまま原発再稼働が進められることだ。

「安全です、責任持ちますと言うのなら、国会を双葉郡に移転させてほしい。最低でも20年間は暮らしてほしい。それで何も健康被害が出なかったら、話に耳を傾けても良い」
民の声新聞-発信する女たち6.2集会
第二部では、福島出身・在住の女性たちが、

被曝に関する率直な思いを語った


【続出した原発再稼働への異論】

集会に先立ち、国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花さんが、「政府が避難区域を設定する基準は年20mSVのまま。チェルノブイリでは、年1mSVが避難の権利ゾーンで、国から経済的な支援を受けられた。多くの人が避難できないでいるのは、お金や仕事の問題があるからだ。避難した人も避難先で苦労している」と国の姿勢を批判。「福島県立医大副学長の山下俊一氏が、甲状腺検査のセカンドオピニオンを封じるような文書を出している。詳細な健康調査を行うべきだ」「野田首相は原発再稼働に動いているが、私は決して、野田首相に命や未来を預けたつもりはない」と話した。

法政大教授の田中優子さんは「日本から原発が無くなれば、核武装の可能性も無くなる。脱原発の運動は、核武装も含めた反核の運動に発展しないと意味がありません」。いわき市出身の講談師・神田香織さんは「どんなに強い愛情も放射能にはかなわない。ベラルーシでは、教師が親を説得して子どもたちを保養に出していたのに、福島の教育委員会は『放射能のことは言わないでください』と求めてくる。福島の人々がいかに耐えて、口にチャックをして生きているか」と怒り、保養の重要性を訴えた。

南相馬市を歩き続けている作家の渡辺一枝さんは、仮設住宅をまわった経験から「山は泣いているわな。寂しいな」というお年寄りの言葉を紹介。映画監督の坂田雅子さんは「原水爆実験で故郷を追われたマーシャル諸島の人々と、福島県民がダブって映る。再び後悔することのないよう、原発をやめるという決意をしましょう」と呼びかけ、社会学者の上野千鶴子さんは「私たちは、原発がなくても生活できることを証明した。原発が全停止した5月5日を歴史的な日にするか否かは、原発ゼロ社会を続けて行かれるかどうかにかかっている。私たちはまだ、勝ってはいないんですよ」と呼びかけた。
民の声新聞-加藤登紀子
急きょ、会場に駆け付けた歌手の加藤登紀子さん。

「大飯原発を止めなければいけない。家で昼寝を

しているわけにはいきません」と話した


【放射能は空気や大地、水を汚す】

司会を務めた橋本美香さん(32)は、震災後の福島をまだ、訪れていない。

自身、自ら命を絶った飯舘村の酪農家の心情を綴った曲「原発さえなければ」を歌っているが、身体への影響を考えると、どうしても足が向かわないという。

「原発について歌ったり語ったりしている以上、一度、この目で現地を見たいとは思っています。でもやはり、身体のことを考えると…葛藤の連続です」。先日も、郡山市での講演依頼を受けたが、悩んだ末に断った。

「今日は、避難した人、福島に残った人の想いを聴くことができて良かった。若い女性の言葉はグッときました。改めて、放射能は空気や大地、水を汚すんだな、と。安全を奪う原発は認めてはいけないんだなと思いました」

会場には、社民党の福島瑞穂党首(56)の姿もあった。

「大飯原発を再稼働させなくても、関西は絶対に電力不足にはなりません。利権、カネです。現在、亀井亜紀子さん(47)たちと、超党派の女性議員たちで官邸に殴り込みをかける計画を立てています」

福島原発事故から15カ月。

事故の責任を誰もとらず、収束も被曝回避も進まないまま、大飯原発は再稼働されようとしている。

福島県民の想いは無視されたままだ。
民の声新聞-橋本美香vs福島瑞穂
総合司会を務めた橋本美香さんと、社民党の

福島瑞穂党首

(了)