ジレンマのはざまで進められる除染~茨城
二学期が始まるのを前に、各自治体で校庭などの表土を削り取ることで放射線量を減らす「除染」が活発化している。根本的な解決にはならないのを承知で、しかし「せめて今、子どもたちのために最大限の努力を」と汗を流す大人の前に、大きな「壁」が立ちはだかる。取り除いた汚染土の処理だ。校庭に山積みにするわけにもいかず、かといって廃棄物の最終処分場に持ち込むわけにもいかない。結局、校庭に埋め戻すしかないのが実情で、国の処理方針決定を待っている状態。「汚染土の移動にすぎない」とわかっていても他に妙案もなく、深まるジレンマの中で除染は進む。
「子どもたちの外部被曝を少しでも抑えたい。でも、取り除いた汚染土の持って行き場がない」
そう語るのは、茨城県龍ヶ崎市環境対策課幹部。
同市は今月9日、市立長戸小学校の校庭で表土を削り取る作業を行ったが、取り除いた汚染土は1㌧ずつ20個のビニール製袋に入れられ、校庭の片隅に埋め戻されている。「地表に置けば、ブルーシートなどで覆うにしても子どもたちが汚染土に触れてしまう。かといって除染に関する国レベルの大きな枠組みが何もないから処分のしようがない。結局、埋めるという方法しかなかった」と担当者は話す。
埋め戻すにあたっては、深さ1.5m~1.7mの穴を2ヶ所掘った。広さは5m×1.3mと、3.5m×2m。埋めた後は50cmほどの高さで土をかけて覆った。いまのところ汚染土が埋まっているとの表示は何も無いが、今後、学校側で用意するという。
同小は、茨城県から借り受けた測定器を使った測定で、5月下旬から0.4μSV/h前後と市内でも高めの数値が計測されていたが、「作業前に地表面で最大0.666μSVあった箇所は0.263μSVに減少した」という。福島県南相馬市の除染マニュアルなどを参考に実施したが、平均すると3mm程度しか削れなかったにもかかわらず、発生した汚染土は20㌧。「今後も除染は行いたいが、校庭でも数値が高い地点を見極めてピンポイントでやっていきたい。そうでないと大量の汚染土ばかりが発生してしまい、埋め戻す場所も確保できなくなってしまう」(同課)。
長戸小学校の汚染土は、あくまで一時保管で、市は国などに最終処分を求めていく方針だ。
長戸小学校の校庭にできた盛り土の下に、取り除かれた汚染土が眠っている。国の処分方針が確定するまで、子どもたちと汚染土の〝同居〟は継続する
福島市は最終処分として埋め戻し(最終処分場が決まれば掘り返す)、郡山市は仮置きとしてとりあえず校庭の一角に埋めているが、一方で表土を削り取らずに汚染されていない土で覆ってしまおうという実験を行ったのは茨城県守谷市。「すべての施設で汚染土を埋め戻せる環境にない」と今月2日、市立保育所で園庭を厚さ5cmの土で覆った。
どの程度放射線量を減らすことができるかを確認するのが目的だったが、作業前、最大で0.526μSV/hだった数値が、作業後は0.135μSV/hに下がったという。10日の測定では0.164μSV/h(地表面)だった。
いずれの方法も、目の前の数値は減るものの、放射線の除去にはなっておらず、最終的には覆い隠していることにしかなっていない。部屋の掃除をしたつもりが部屋の隅にごみを寄せ集めただけ、と同じではないか。「数値が下がったことで前に進まないと何もできない」という市職員の本音が現場の苦悩を示している。それだけに国の除染に対する基本方針の取りまとめが急がれるところだ。
(了)
取手市は除染費用の補助制度をスタートさせた。公立学校はPTAなどからの要望を受け市が表土除去を行うが、私立幼稚園・保育園には20万円を上限に実際にかかった費用の半額を補助する