わが子に何を食べさせるか~深まる母親の苦悩と危機感、フル稼働の食品分析 | 民の声新聞

わが子に何を食べさせるか~深まる母親の苦悩と危機感、フル稼働の食品分析

わが子に食べさせる物は安全なのかー。20年以上にわたって食品の放射能汚染を調べている「放射能汚染Gメン」に、全国から検査依頼が殺到している。6月は330検体を分析、今月も既に100検体に達している。11日に開かれた母親を対象にした学習会も満席になるなど、子どもの内部被曝への危機感は高まるばかり。設立当初から分析を続けてる担当者は「残念ながら汚染がゼロでない以上、産地などに留意するほかはない」と複雑な表情を見せている。

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東京・JR水道橋駅の近く、日大法学部に隣接するビルにある「たんぽぽ舎 放射能汚染食品測定室」。震災前は一日に平均2検体だったが、今や14検体を分析する忙しさになった。3ベクレルまで測定できる測定器は1台600万円で購入。連日2台がフル稼働している。

分析を手掛けているのが共同代表・鈴木千津子さん。デスク周りは依頼書や分析結果が書かれた書類が山積みにされている。ひとつの検体分析に要する時間は2時間余。好きなタバコでゆっくり一服する間も惜しんでデータとにらめっこしている。
「個人はもちろん、生産者や直売所の経営者、生協など依頼主は様々です」と鈴木さん。家庭菜園の収穫祭を控えた幼稚園からの依頼もあるという。
チェルノブイリ原発事故を機に誕生した「たんぽぽ舎」の設立メンバーで以来、食品の放射能汚染を調べてきた。「みんなが本当の事を知りたがっている」という想いが継続の源。今は睡眠を4時間に減らし、他の業務を止めて分析に専念している。
子どもに直接、影響がありそうな依頼を優先してこなしているという。「数値は、震災前の3倍、いや、それ以上になることもある。そもそも、原発事故が起きる前はヨウ素もセシウムも不検出だったのだから、検出されること自体が異常。基準値以下かどうかの問題ではない」と厳しい表情で話す。

これまでの分析では、セシウム134の場合、福島県産葉物(3/18採取)から5100ベクレル/kg、千葉県産ほうれん草(同4/2)から520ベクレル/kg、茨城県産の小松菜(ハウスもの、同4/3)から88ベクレル/kgが検出されている。逆に、栃木や千葉で生産された原乳や埼玉県産の鶏卵からは検出されなかった。

「もちろん、何も検出されないのが一番です。しかし、残念ながら現状ではそれは無理。消費者が産地や時期を十分に見極めるしか無いようです」
電事連非公認 エネルギッシュ怒ーク!


電事連非公認 エネルギッシュ怒ーク!

20年以上にわたって食品の放射能汚染を調べてきた鈴木千津子さん。下は600万円でメーカーに造らせたたんぽぽ舎オリジナルの測定器

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約70人が参加した学習会では、震災前に制作されたアニメ「源八おじさんとタマ」が上映されたほか、たんぽぽ舎のメンバーが放射線や被曝の基本を解説。集まった母親たちは、身を乗り出すように聞き入った。質問コーナーでは「魚はもう、食べられないのか」「日本海側は汚染していないのか」「牛乳を飲ませても大丈夫か」など、予定時刻を過ぎても挙手が止まらないほど。「何を子どもに食べさせて良いのか分からなくなってしまった」という不安の声も聞かれた。
新宿区在住の女性は、幼稚園児の娘を連れて参加。講師の言葉を熱心にノートに書き込んだ。「まず自分が勉強しないと、娘の通う幼稚園に要望すらできないので来ました。汚染が心配なので食材は四国や九州から取り寄せています。牛が福島県外に疎開していると聞いたから卵や乳製品は食べていません」。
別の母親(文京区在住)も男児を抱き抱えながら熱心に耳を傾けた。「産地が福島原発から遠い食材を買うようにしているが、そうはいっても100%とはいかない。外食だとどのような食材を使っているか分からないし…」と表情を曇らせた。

電事連非公認 エネルギッシュ怒ーク!

11日、多くの母親をが参加した「母と子どものための放射能教室」=東京都千代田区


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たんぽぽ舎は1989年、チェルノブイリ原発事故を受けて設立。当初から原発政策に異議を唱えている。今後も「お母さん向け保育付き講座」を定期的に開催していく予定という。ホームページはhttp://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=202

食品分析は1検体7000円。問い合わせは℡03-3238-9035まで


(了)