情報を公開せずして子どもを守れるのか | 民の声新聞

情報を公開せずして子どもを守れるのか

情報の隠匿は子どもを守らない。

行政はどうして積極的な情報公開をして子どもを守ろうとしないのか。

横須賀市立小学校敷地内から重金属が検出された問題では、同市教育委員会が本気で子どもを守ろうと努力しているのか、疑わざるを得ない姿勢が垣間見えた。


掘削した土から重金属が検出されたのは、横須賀市立諏訪小学校(横須賀市小川町、毎日新聞が報道済み )。耐震構造になっていないとの理由で、来年2月末までの予定で工事が進行中。重金属が見つかったことで「土壌汚染対策法」 に沿った処理が必要になったとして、市教育委員会は当初の工事費用約12億9000万円を約16億円に変更する議案を24日に本会議に提出。承認された。

市教委学校管理課によると、検出されたのは主に鉛と水銀。鉛は8ヶ所中4箇所で検出。最大で、環境基準値の5倍にあたる0.056mg/l(1リットル中のミリグラム)。水銀は2ヶ所で、最大基準値の7倍を超す0.036mg/lだった。

しかし、この日議員に配られた資料には具体的な数値の記述は無く、「鉛等の重金属が指定基準以上含有している土」との表現があるだけ。この日までに既に開かれた教育福祉常任委員会でも同様だった。そのため、委員の一人から「以前にも詳細に記述するよう指摘したが改善されていない」との指摘があり、教育長が謝罪する一幕も。学校管理課職員も、取材に対し「掘削は深さ2.4mにわたって行われたが、汚染した土の上に汚染されていない土が約1mあったことから、子どもたちに影響はないと考えている」と話したが、結果的に子どもたちに直接の弊害が無くても、きめ細かい情報公開が必要との認識が市側には欠けていると言わざるを得ない。


福島県では当初、「ただちに影響はない」と国や東電が放射能に関する情報を積極的に開示しなかったことから、今も多くの子どもたちが被爆の恐怖に直面している。

影響があるかないかの結論を行政が出すこと自体に異論はないが、なぜその結論に至ったのか、詳細な情報を公開する義務もある。今回の重金属汚染に関しても、市のホームページにすら情報公開されていない。報道発表も無かったようだ。毎日新聞は記者が委員会を取材して記事にしたのだろう。在校生の保護者にはきちんと伝わっているのだろうか。

基本的な情報公開すらできないで、子どもを守る部署として成り立つのか。

これ以上、子どもを危険に曝さないでほしい。



※諏訪小学校の敷地は戦前から1960年代にかけて埋め立てられた土地で、戦時中は徴用工の宿舎が建てられていた。特に工場などに使われたことがないことから地質調査の予定がなかったが、最初の掘削で刺激臭がするのに作業員が気づき、調べたという。「公用水面埋立法」の制定以前の埋立のため、市側は「埋め立てる際に使ったしゅんせつ土砂に含まれていた可能性がある」との見方をしている。

(了)

電事連非公認 エネルギッシュ怒ーク!-TS3S00380001.jpg 市教委が議会に提出した資料。どのような重金属がどのくらい検出されたかさっぱり分からない。これには議員から「より細かい記述を」を注文がついた