先週の盆栽教室のテーマは、夏らしく水生植物の盆栽。

 

水際に生えるアシやカヤ、そして水生植物や苔を使って、湿地帯の景色をイメージした夏らしい盆栽づくり。

これが先生のお手本。

見ているだけで涼しくなる。

 

今回使用する素材は、紅チガヤ、十和田アシ、秋咲き白ネジバナ、そしてウオーターコインの4種類。

 

まず、ケイ土に水苔を混ぜて練り、その中に用意した植物を埋め込んでゆくのだが、その際気を付けなくてはならないのが、植物をバラバラに配するのではなく、一か所に集めて植え込むこと。

 

これは、素人には目から鱗が落ちるような予想外の教え。

というのは、これまで山野草の盆栽は、植物がかぶらないように、ある程度間隔を空けて植えるものとばかり思っていたが、それは違うらしい。

バラバラに配置するとわざとらしく、不自然な形に見えて見栄えが悪くなるという。

確かに湿原には、様々な植物が混生して、それでいてどこか調和しているように見える。

まさに寄せ植えとは、植物を寄せて植えるのだ。

最後にケイ土の周りに苔を張り付けて、針金で止めて、水を張る。

 

これが先生が実演して作った完成品。

とくに足元のウオーターコイン(コインのような小さな丸い葉)が、アクセントになっているが、同時に全体も引き締めているよう。

 

この寄せ植え盆栽に使った「紅チガヤ」、「十和田アシ」は、秋になると紅葉し、中央の緑の葉(秋咲きネジバナ)は、秋になると白い花をつけるという。

赤と白のコントラストが緑に映えて、今から楽しみ。

▲庭に置いてみた

 

・・・というのが先週の話で、本日は自分自身で素材を集めて、わが家で復習の創作。

用意したのは、十和田アシのほかに、前回使わなかったミソハギと水生植物のウオータークローバー、そしててアッツ桜の4種類。

 

う~ンなかなか決まらない!

ようやくできた完成品

 

▲自作(左)と先生作(右)、やはり全然違う

 

因みに、紅チガヤの「チガヤ」は、茅(かや)もしくは萱(かや)と書く。

十和田アシは文字通り「芦」、または「葦」と書く。

 

余談だが、このアシ(葦)という名前には、謂れがある。

司馬遼太郎が、近江を旅した際、田船の船頭さんに、「葭(よし)と葦(あし)は違いますか」と聞く。

もちろん司馬遼太郎は、この呼び名の違いは、アシは「悪し」に通じるため、ヨシ「良し」という名に変わったという史実を踏まえて聞いているのだ。

確かに奈良時代、氏名や地名に芦が使われ、これを嫌って、氏の芦田(あしだ)は吉田(よしだ)に、芦原(あしはら)は吉原(よしはら)にそれぞれ代えられたという歴史があるらしい。

 

もっともアシとヨシの植物学的な違いはないようだが、一般的には節と節の間が空(から)になっているのを「ヨシ」と呼び、節の間に綿のような詰まったものを「アシ」と呼ぶらしい。