昨日、佐久市(長野県)に住む友人が、ブログを見て、家の近くのルバーブの畑の写真を送ってくれました。

こんな大規模なルバーブ畑を見るの初めて! 壮観ですねえ!

 

・・では、本題の「タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ」の本の紹介の続きを・・。

今回は、「タネについて考えてみる」の章を紹介。

 

まず初めにタネには2種類あること。

一つ目は、”固定種”と呼ばれるもので、もっとも原始的な方法で採種されてきたタネ。

「ある特性を持つタネを繰り返し取って植え、その純度を高めていくことを品種を固定するといい、そして何世代もかけられて作られたタネは、一般的に固定種という」。

伝統野菜や地元野菜のタネは、この固定種に属している。

著者は、「トマトのタネを何世代もとり続けて固定していき、完全に自分好みの、自分のためだけのオーダーメイドのトマトを栽培している」という。

 

そしてもう一つのタネが、”F1”と呼ばれるもので、「二つの異なる固定種を掛け合わせて作られるタネ」で、現在の野菜のタネ市場の9割を占めるという。

簡単にいえば、「味の良いトマトと耐病性のあるトマトを掛け合わせて、味がよく、病気にも強いトマトを作るというもの」だ。

しかも、「親の特性がより強く確実に現れる性質を持つだけではなく、品質のバラつきも少なくなる」という。

つまり生産者にとっては、生産効率を上げる意味では、非常に有効なタネということになる。

 

ただしF1にもデメリットがある。

それはF1の持つ特性が、第1世代だけで、第2世代には受け継がれないということだ。これを雑種第一品種というそうだ。

つまり第1世代のタネを採種してタネを蒔いても、特性が受け継がれないため、毎年F1のタネを購入しなければならないことになる。

言い換えれば、「タネがすでに農家の手からもほぼ離れてしまっている・・・・そして、僕たちがいつかタネを失う可能性が現実的なこととして考えることができる」と、著者は危惧するのだ。

その点、固定種は、何代にもわたって採種できるメリットがある。

 

現在、タネの世界にはもう一つ、”遺伝子組換え品種(GM品種)”がある。

GM品種は、異なる品種を掛け合わせるのではなく、「元となる品種に特定の遺伝子を組み込んだ品種」。

あるいは「ゲノムと呼ばれる生物の全情報を利用するゲノム編集で、ねらった遺伝子を切ったりつなげたりして新しい品種を作り出す」という。

問題は、DNA配列を人為的に操作するため、倫理上の問題から、日本では”商業的な栽培”は行われていないが、すでに研究や栽培は行われているという。

例えば食物アレルギーの人にとっては、アレルギーを起こしにくい品種に改良することができたり、作物の栄養価を高めることもできると期待される分野でもある、という。

しかもF1と違って、第1世代だけではなく、第2世代にも特性が受け継がれるという。

一方、GM品種の問題点は、倫理上の問題以外に、GM品種のタネがF1と同様、ほかのタネとの見分けが容易につかないことらしい。

こうした結果、GMの作物は、開発者の手を離れ、無制限に増殖し、GM食品を避けることができなくなる可能性があることだ。

 

タネを取り巻く環境は、生産農家から離れて行くのではないかという危惧は、日本においても具体化しつつあるという。

日本には、大まかにいえば、種子の公益性を守るための法律として「種子法」があり、タネを作る側の権利を守る「種苗法」がある。

2017年に、この種苗法の施行規制が改訂され、自家増殖を禁ずる品目が82種から289種に増えたという。

 

一方、タネの公益性を守る種子法は、2018年に廃止された。

種子法は、良質な種子を育成するためには、農作物の栽培とは別に、種子のための育成をしなければならない。それには膨大な手間と費用が掛かるために国が管理するという法律だ。

この種子法を廃止することによって、国の統制下にあった米、麦、大豆のタネの開発と管理を民間に開放し、例えば海外からの輸入も可能になる。その延長線上には、ひょっとしたらGM品種の輸入も可能なるというリスクもある。

 

日本のタネを取り巻く環境は、われわれの知らないところで、大きな転換期を迎えている、というのが本書の主旨の一つでもあるのだろう。