●鍋割山  2016年5月29日(日) 晴れ時々曇り  温泉付

 神奈川県松田町 鍋割山(1,272m) 

 <参考コースタイム>

  小田急線新松田駅→(バス25分)寄(よどろぎ)バス停→(20分)土佐原集落分岐→(1時間)櫟(くぬぎ)山→(10分)栗ノ木洞→(20分)後沢乗越→(1時間10分)鍋割山山頂→(40分)金冷し→(15分)花立山荘→(1時間55分)大倉

 <参考合計タイム> 5時間50分

 <日帰り温泉> 小田急線鶴巻温泉「弘法の里湯」

 <参加者>単独行

 

●参考

紅葉の鍋割山(2012年11月)→クリック

初春の鍋割山(2011年3月)→クリック


丹沢山塊の鍋割山への主なアプローチは、①大倉から二股、②寄(やどりき)から栗ノ木洞、そして③寄から雨山峠越えの道がある。

今回は、単独行のため、もっとも人出の多い①のコースを選んだのだが、車中考えた末、喧騒を避けて、急遽、登山者が少ない②のルートを選ぶことにした。


当初、大倉からのルートを選んだのは、秦野警察の情報で、5月27日現在、丹沢で2名の行方不明者が出ているというので、人出の多いコースを考えたため。行方不明者はいずれも単独行で、一人(54歳)は蛭ヶ岳方面、もう一人(35歳)は丹沢三峰に向かう途中で消息を絶ったという。さらに松田警察署では、5月1日、73歳の男性が単独で西丹沢の大杉山周辺に出かけたまま、不帰者になっているという。

ともに丹沢ではポピュラーな山だが、やはり単独行では、万が一の不慮の事故を想定する必要もある。

・・・と、事前には考えていたのだが、車中、やはり喧騒を咲け、以前登ったことのある寄(やど)辺りの山里の風景を思い出して、急遽、コースを変更することにした。

予想通り、寄バス停で降り立った登山者は5組8名ほどで、そのうち鍋割山に向かうのはわずか3組4名ほどか。恐らく他の登山者は、ジダンゴ山か雨山峠を目指すのだろう。

寄(やどりき)とは、随分変わった地名だが、実は現地や地図によって、「やどりき」と「やどろぎ」の2つの名称が使われている。松田町では「やどりき」の表記だが、山と高原の丹沢地図では「やどろぎ」と表記されていて、ややこしい。

その由来は明治8年、周辺の7つの村が合併して一つになる際、以前からこの村々が、ことあるごとに寄り集まって相談をしていたために、「寄」と命名したという。


この集落は茶畑と、土佐原の枝垂れ桜が有名で、桜の季節には大勢の観光客で賑わうという。

バス停から少し引き返すと、左手に鍋割山を示す案内板がある。道標に沿って坂を登って行くと、やがて中津川の丘陵を見渡せる高みに出る。

茶摘みの季節が近づいているのだろうか、鮮やかに刈り込んだ茶畑の風情が心地よい。

道が集落を離れ、山裾に向かうころには、遠霞みに松田山あたりの斜面が見渡せるようになる。

この辺りが宇津茂集落という。


茶畑の脇に見なれない果樹らしきものがあるので、よく見るとリンゴの木だった。

茶畑を縫うように進むと、やがて、枝垂れ桜で有名な土佐原集落への分岐に出る。

ここから鬱蒼としてヒノキの樹林帯になり、やがて舗装された林道に出て、そこを横断すると再び

ヒノキともみじの混合林となる。

          土佐原集落への分岐

登山道に入ると、先ほどから「ケキョ、ケキョ」と、ホトトギスのさえずりが聞こえ、目にはモミジの青葉が目に沁みるよう。まさに「目には青葉、山ホトトギス・・・」の初夏の情緒が漂う世界。

バス停から1時間半ほど歩いて、櫟(くぬぎ)山(810m)の展望地に着き、やっと頭上に突きぬけるような青空を見た。


わずかに樹間から、渋沢の街並みが覗いている。

     櫟山山頂
 

櫟山からさらに10分ほどで、三等三角点のある栗ノ木洞(908m)に着。ここはヒノキ林の中なので、全く展望はない。

栗ノ木洞を過ぎたあたりから、本日初めて山ツツジをを見た。

すでに山ツツジは終わっていると思っていたが、ギリギリ間にあったようだ。

栗ノ木洞の山頂を後にして、20分ほどやせ尾根を歩くと、後沢乗越(のっこし)に出る。

途中、西側が崩れた危険個所がある。

後沢乗越は、大倉から二股経由で登って来る道との合流点で、そこまでほとんど登山者とすれ違うこともなかった道が急に賑やかになった。

後沢乗越の分岐点
しかし、それもつかぬ間、ここを過ぎると胸突き八丁の急坂で、徐々に登山者の口数が少なくなって来たようだ。

山頂付近に近づくと、山ツツジの花木が増えてきた。中には蕾の木もあるから、もう一週間ほどは見ごろだろうか。

スタートしてから、およそ3時間後の12時10分、ようやく鍋割山の山頂に着。

空気が澄んでいれば富士山が見られる展望地だが、霞みがかかって、周囲の山並はほとんど見られずじまい。


山頂は、やはり想像通り、大倉経由の登山者でおお賑わい。


3人に一人の割合くらいで、名物の鍋焼きうどんを食べている。


草原にスペースを探して、やっと昼食にありついた。

いつもは1時間ほどかける昼食も、単独行だとやはり早めに切り上げることになる。

30分ほどで、鍋割山稜に向かうことにした。



実はこの山稜歩きこそが今回の目的で、目の当たりにみる山々はブナやもみじの新緑に燃え、花盛りを迎えた赤紫のトウゴクミツバツツジが、その山道を彩っていることだろう。


搭ノ岳に連なる鍋割山稜は、アップダウンを繰り返す尾根筋だが、ブナの木漏れ日や緑の下草が続く、丹沢山塊の中でも最も好きな道筋である。


歩き始めてしばらく経つと、山裾から冷たい霧が吹き上げてきた。




新緑の谷に楚々と咲く白い花は、山帽子だろうか。



山頂から30分ほど歩き、小丸辺りに差し掛かるころ、ようやく本日初めて、足元にトウゴクミツバツツジの花びらを見た。
頭上を見上げても、花の主は分からなかったが、やがてその数が増えて、ようやく山道に赤紫に染まったこの花木の群生を見た。


トウゴクミツバツツジは、東国三葉ツツジと書くように関東以北に咲くツツジで、5月下旬ころからが6月初旬にかけて新緑の山裾を彩る。

この山中で最も華やかなのは、大丸から金冷シまでの稜線で、とくに金冷シの手前の崩落個所辺りの群落が見事だ。



トウゴクミツバツツジを堪能して、道を大倉尾根の下山コースを辿ることになる。
金冷シから15分ほど下って、花立の小屋の着いて、一服。あとはこのバカ尾根と呼ばれる単調な大倉尾根を下るだけ。
花立小屋

このバカ尾根を1時間40分くらいで下って、ようやく本日のゴール地点の大倉バス停に3時半頃着。
臨時のバスに乗って、あとは鶴巻温泉の弘法の里湯に浸かるだけ。


今日は相当汗をかいたので、生ビールがことのほか美味。

<日帰り温泉>弘法の里湯
 

→クリック
        にほんブログ村