●至仏山   日本百名山  

 群馬県片品村 至仏山(2,045m)   日帰り温泉付き♨

<参考コースタイム>

 第3日目

  鳩待峠→(1時間30分)分岐→(40分)小至仏山→(40分)至仏山山頂→(30分)小至仏山→大→(1時間30分)戸倉温泉→(バス1時間30分)JR沼田駅

 <合計参考徒歩時間> 4時間50分


その2から続く
尾瀬の2日目は戸倉温泉に泊り、翌朝メンバーの4人と別れ、二人で至仏山を目指すことにした。

至仏山には、過去2度ほど残雪の頃に山スキーで登ったことはあるが、無雪期には一度も登ったことがない。尾瀬沼の行きがけの駄賃というところか!



戸倉温泉から尾瀬の玄関口である鳩待峠までは、バスでおよそ30分ほどの距離。このため遠方から来る登山者は、この戸倉温泉に泊り、翌朝、早くから尾瀬を目指すのだろう。

われわれが泊まった旅館も、そんな登山客のために、朝6時から朝食や弁当を用意してくれたばかりか、荷物も預かってくれるという。

しかも下山後、温泉に入っても良いという、至れり尽くせりの待遇。

昨夜の食事も、温泉も申し分ない。因みに旅館名は「展望の湯 ふきあげ 」。


朝6:30分のバスに乗るため、そそくさと旅館を後にしてマイクロバスに乗りこむと、すでに車内はほぼ満席状態。恐らくこの辺りで前泊した人達だろう。


鳩待峠は、尾瀬ヶ原と至仏山の入り口に当たる拠点のため、いつもは登山客で賑わっているが、さすがにまだ朝早のせいもあって、ひっそりと静まり返っている。

あいにく曇空で、はっきりしない天気。笹原とブナとツガの樹林帯を進むと、徐々に霧が深くなった来た。

登山道修復のため、ヘリで下した木材を見た。この木材を階段の幅に合わせて切断するのだろう。

緩やかな坂道を40分ほど登ると、階段状の木道になる。 この急坂を喘ぎながら50分ほど汗をかくと、悪沢岳の分岐に出る。

途中、小さな湿原があるが、霧で霞んで展望が効かないのは残念。

夏、湿原は様々な高山植物のお花畑で覆われるというが、今は紅葉と花のちょうど端境期。
分岐から尾根道が続き、やがて見晴らしの良さそうなベンチに出る。上を見上げると、標高2,162mの小至仏山の山頂が聳えている。

写真は、帰路にベンチから見た小至仏山。
ベンチから緩やかな木道を辿り、険しい岩稜の登山道を上り詰めると、小至仏山の山頂に着。


小至仏山の頂からは、晴れていれば笠ヶ岳や武尊岳をはじめ、至仏山や燧岳を見渡せるという。


山頂からさらに岩尾根が続き、何度も上り下りを繰り返し、やっと至仏山の山頂に着。小至仏山と同様、至仏山に至る道は予想以上に長く感じるのには閉口。


深田久弥が至仏山の山容を、「悠揚として柔らかみのある姿は、慈母にたとえられようか」と称しているが、山頂からのなだらかな姿形からの発想だろう。しかし、その柔らかみのある姿形とは裏腹に、登山者にとってこの山容は曲者で、行けども行けども、なかなか山頂にたどり着けないもどかしさ(疲労感)がある。

スタートしてからおよそ3時間後の12時過ぎ、ようやくいくつもの起伏を繰り返し、山頂に着。
山頂は、尾瀬ヶ原の山ノ鼻から登ってきた登山者でにぎわている。この道は、現在登り専用で、下りには使えいないので要注意。


頂上からの眺めは雄大で、360度の大パノラマというが、当日は濃い霧の中。

晴れていれば、尾瀬ヶ原、燧ヶ岳、その向こうに会津駒ヶ岳、ちょうど真北に平ヶ岳、西に谷川連峰をぐるっと見渡せるという。

至仏山の山名の由来は、文字からすると宗教的なにおいがするが、深田久弥によると全くの見当違いの宛て字らしい。

真偽は定かではないが、久弥によると、「この山を地元のひとがシブッツァワ(渋沢)と呼んでいて、その最初の三字が至仏になった」という。なんとも味気ない山名の由来だが、地元の民が付ける山名に文学的名前を冠するはずもない。文学的な山名は、ほとんどが後世の人が名付けた産物と言ってもいいらしい。

山頂からの大展望を見ようと、小一時間ほど霧が晴れるのを待ったが、残念ながら晴れる気配はない。仕方なく後ろ髪を引かれる思いで、山頂をあとにした。


すると、下に下るにしたがって、霧が晴れ、やがて向うの山裾に尾瀬の湿原が垣間見えてきた。


やがて陽も差して、真夏のような雲も湧きだしてきた。


深田久弥が初めて至仏山に登ったのは、大正15年(1926年)の秋という。

季節は、秋も大分深まった頃だろう。

山頂から見下ろす尾瀬ヶ原は、原一面燃えるような”代しゃ色”で、ずっと向うの燧岳の裾野まで延びていたという。

そして「美しい尾瀬の第一印象を至仏山の山頂で得たことは、私の幸福であった」と記している。

われわれは、下山後、予定通り昨夜泊まった旅館でひと風呂浴び、湯上りにフキノトウの漬物を肴に、冷たいビールを飲んで、ようやく今日一日の幸福を得た。

<温泉&旅館>

 「展望の湯 ふきあげ 立ち寄り湯も可能とか

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