●矢倉岳 2013年11月16日(土) 快晴

 神奈川県南足柄市 矢倉岳(870m)  温泉付♨

<参考コースタイム>

 JR御殿場線足柄駅→(1時間)赤坂古道→(15分)足柄古道→(15分)足柄峠→(15分)万庸公園→(50分)→山付平(20分)矢倉岳山頂→(1時間)本村→(5分)矢倉沢バス停→新松田駅

 <参考徒歩時間>約4時間

 <参考登山歩数>約20000歩

 日帰り温泉:鶴巻温泉「弘法の里湯」
山   写真 温泉

足柄駅は、御殿場線と小田急線に同名の駅が2つある。

われわれが下車した御殿場線の足柄駅は静岡県で、小田急線の方は神奈川県。

目指す足柄峠が、ちょうど静岡県と神奈川県の県境になる。

 

前日まで、12月初旬の寒さだったが、当日は久しぶりの快晴で、気温も高く、最高の登山日和。半年ぶりに、K君を交えて4人の山旅になる。

 

駅を下りると、真っ白に冠雪した富士山が機嫌よくわれわれを出迎えてくれた。

山   写真 温泉  足柄駅
本日は、千数百年の歴史ある足柄古道を歩き、富士山の眺望に恵まれた矢倉岳(870m)を目指すことにした。

4年前にも矢倉岳に登っているが、その時のコース(矢倉沢~地蔵堂)とは異なる道を選択。

 

駅から道標にしたがって10分ほど歩くと、坂道になり、後ろを振り向くと見事な富士の姿に息をのむ。地元の人によると、早朝、朝焼けに染まった赤富士が見られるというから、なんとも羨ましいロケーション。

 

山   写真 温泉  

道路を離れ、登山道に入ると、昨夜降った雨が、朝もやになって森が幻想的な雰囲気を醸し出している。

山   写真 温泉
足柄道は、江戸時代に箱根路が開かれて、すっかり脇街道としての役割しかなくなってしまったが、それ以前は畿内と関東をつなぐ、重要な本道として利用されてきた。

とにかくその歴史は古く、倭尊命の東征から始まり、8世紀頃には東海道の官道として路が整備され、富士山が噴火した881年に足柄路が一時通行ができなくなったとの記録もある。

山   写真 温泉  

さすがにこの森の歴史は古く、幾時代の史跡(案内板)や、人馬の往来をしのばせる馬頭観音の石仏が至る所にある。
山   写真 温泉
遺物だけでなく、深山幽谷を思わせる、「銚子ヶ淵」と呼ばれる小さな滝もある。
山   写真 温泉

鬱蒼とした森に分け入って来ると、いよいよ靄が濃くなってきた。
山   写真 温泉  

ヒノキの森を抜けて、1 時間ほど歩くと「赤坂古道」の道標が見えてきた。

案内板によると、赤坂古道は千数百年の歴史があり、江戸時代から明治期にかけて、甲州と相模をつなぐ海産物運搬の「塩の道」として、人馬が頻繁に往来したという。

傍らの馬頭観音は240年前の江戸中期(1775年)のものとか。
山   写真 温泉  山   写真 温泉
赤坂古道からさらに15分歩くと、ようやく「足柄古道」に出た。

この道が、律令時代に作られた東海道の官道になる。

路は、いまでは土に埋もれ、登山道と変わらぬ狭さだが、当時の官道の幅は6mもあっという。
山   写真 温泉  山   写真 温泉  
雑木林の古道を15分ほど味わい深く歩き、舗装道路を歩いて芭蕉の句碑を経て、本日の第一目的地の足柄峠に出た。
山   写真 温泉
山   写真 温泉  

足柄峠には、足柄関所跡もある

この峠から見る富士山を、旅人や文人や武士など数限りない人々が仰ぎ見て来たかと思うと、時間を超えて不思議な気持ちになる。

それらの人物は、(足柄峠の年表によると)、ヤマトタケル(115年)、空海(811年)、平将門(939年)、源頼朝(1180年)、西行(1184年)、鴨長明(1223年)、日蓮(1274年)、足利尊氏(1335年)、秀吉(1590年)、家康(1590年)など、錚々たる人物のほかに、万葉の時代、関東から遠く九州に派遣された防人も含まれている。
山   写真 温泉  
山   写真 温泉
山   写真 温泉
峠から10分ほど歩くと足柄万葉公園があり、この敷地内に、万葉集で足柄を詠んだ17首のうち、7首の句碑がある。
最も有名な句が、「足柄の 御坂に立して 袖振らば 家なる妹は 清(きよ)に見もかも」と案内板に記してある。東(あずま)から九州に防人として赴任する夫が、峠からふるさとに向かって別れを告げるとき、家に残して来た妻は、私が力いっぱい降る袖をはっきりと分るだろうか、という意味だそうだ。
山   写真 温泉 足柄万葉公園
万葉公園のクヌギやカエデの緩やかな坂道を下り、県境沿いの山道を離れると、ヒノキの樹間から目指す矢倉岳のたおやかな山容が見えてきた。
山   写真 温泉  

やがて山伏平に着くと、ここからが斜度のきつい清水越えという急坂になる。
山   写真 温泉  

20分ほど大汗をかいて、ようやく11時50分、スタートしてからおよそ3時間で矢倉岳の山頂に着いた。
山   写真 温泉
広々とした山頂からは、でーんと富士山が見える・・・はずだが、残念ながら気温が高すぎて、雲が湧きあがってその雄姿は厚い雲の中。

山   写真 温泉 矢倉岳山頂
山   写真 温泉

因みに4年前の12月に訪れた時の写真は以下の通り。

山   写真 温泉  4年前

当時の記憶では山頂がだだっ広く感じたものだが、今回はやけに狭く感じるのはなぜだろう。。

その思いは相棒も同じようだから、当時は周囲の草が刈ってあったのかもしれない。
しかし、前回と明らかに違うのは、山頂にあった櫓がないこと。
山   写真 温泉 4年前にはあった山頂のヤグラ

山頂の片隅に、古びた木材があったから、腐って解体したのだろう。

ススキが生い茂った南斜面の向こうに、金時山が迫っている。

l山頂からは、箱根の外輪山の明神ヶ岳や神山も見渡せる。運が良ければ南アを遠望できるらしい。

山   写真 温泉  

視線を富士山と反対方向に向けると、遠く、相模湾のかすんだ青い海原が見渡せる。空気が澄んでいれば、江ノ島から三浦半島まで一望できるらしい。
山   写真 温泉  

南斜面に腰を降ろして、金時山を眺めながらの昼食。


 

日焼けしそうなほど日差しが強く、シャツ一枚でも暖かいくらい。

いつもシュークリームを箱ごと持ってくるK君は、今回はアメリカ土産See’sチョコ(新製品のマシュマロをキャラメルで包んだ)、その甘いこと。
山   写真 温泉  一応PRのつもり
山頂の標識の向こうに、赤い花らしきものが見えたので、近づいてみると、赤い実をつけたマユミ(真弓)の木。

弾力があって、よくしなうので、この木で弓を作ったことから、真弓と名付けられたとか

真っ青な空に赤い実が映えて美しい。葉や花はほとんど見分けがつかないが、赤い実は特徴があるのですぐわかる。
山   写真 温泉  

山頂で小一時間ほどのんびりして、本日はみかん畑を通って、矢倉沢のバス停の下りる予定。そこからバスに乗って、関本を経て、新松田まで出る。

あとは、行きつけの鶴巻温泉の弘法の湯で温まろうとという趣向。

ガイドブックによると山頂からは1時間半のコースだが、急坂で要注意とある。
山   写真 温泉

坂を転げるように下り、あっと言う間に茶畑とみかん畑に着き、一路本村のバス停に。

山   写真 温泉  

畑に見慣れない赤い実をつけた草があるので、何んだろうと思っていたら、看板に「赤ソバ」の畑と書いてある。
山   写真 温泉
赤ソバ畑

天気が良いせいもあってか、この辺りの里山の景色が、身体に沁みわたるようで気持ちがいい。
山   写真 温泉
山   写真 温泉
山頂から予定より30分も早く、バス停着き、無人販売で一袋100円にみかんを買って時間つぶし。

ようやく来た、蔵堂発のバスは、すでにギュウギュウ詰めの状態で、バス停に20人ほど並んだうち、先頭のわれわれ4人がかろうじて乗り込めただけ。


 

天気予報で本日は行楽日和とあったせいで、どこも満員の混雑ぶり。

いつもの弦巻温泉の弘法の湯も、溢れるほどの客で、洗い場も順番待ち。


 

ようやく冷た~い生ビールにありついて乾杯!

湯上がりは、やはりちょっと日焼けしたようで、ヒリヒリする。
山   写真 温泉

本日の登山歩数は、約20000歩也。

日帰り温泉弘法の里湯

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