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●奥穂高岳 その1 明神池~横尾山荘

  2013年9月13日(金)~15日(日) 

  長野県松本市  涸沢~奥穂高(3190m)

<参考コースタイム>

 第1日目:上高地バスターミナル→(10分)河童橋→(1時間)明神池→

(1時間)徳沢園→(1時間)横尾山荘

 第2日目:横尾山荘→涸沢→奥穂高山荘→奥穂高往復

 第3日目:奥穂高山荘→上高地

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目指す穂高岳に最後に登ったのは、一体いくつの頃だっただろうか?

30年以上も上高地の喧騒を避け続けてきたが、今年の夏山(ひと月遅い)は、思いきって懐かしの”涸沢から奥穂高”を登ることした。



今回の山旅は、相棒の肉離れが完治せず、Kさんも仕事の都合で参加できないので、Yさんとの二人旅。



奥穂に登るに当たっては、通常涸沢で一泊し、そこを拠点に奥穂や北穂に登るのだが、今回は夜行の便が手配できず、しかたなく初日は横尾山荘に泊まることになる。

新宿7時発のあずさ1号に乗り、松本から上高地まで直行便のバスに乗りつぐと、ちょうど12時に上高地に着く。



本日は平日ということもあって、河童橋付近は程よい混雑ぶりでひと安心。

透き通った梓川の向こうに、目指す穂高の峰々が高々と聳えている。

何十年と時が経っても、梓川の清冽な流れだけは変わらないのはありがたい!

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バスターミナルから明神、徳沢園、横尾に至る平坦で単調な道を歩くのは正直”うんざり”だが、今回は穂高神社の奥の院のある「明神池」に寄り道することにした。

恐らくほとんどの登山者が寄ることのない観光地だが、この明神池が思いのほか感動もの。

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川の上流に「河童橋」
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観光客で賑わう河童橋

いつもは河童橋から梓川の右岸の道を辿って横尾に向かうのだが、今回は初めて橋を渡って五千尺ロッジから明神池への道を辿ることにした。



一歩、木道に入ると、河童橋の喧騒が嘘のような、しっとりとした佇まいの景色になる。
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遠く空を見上げると、青空に白雲の、夏まっさかりの景観だが、足もとの野草はやはり秋色の気配が漂っている。

台風が過ぎれば、この辺りは一挙に秋が深まるのだろう。山   写真 温泉 山   写真 温泉
歩き始めてすぐに、澄んだ細流に、イワナかヤマメが悠然と泳ぐ姿が、ハッキリと見える。
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山   写真 温泉 明神池に向かう理由は、湖畔に祀られた穂高神社の奥宮に立ち寄ること。この奥宮の由緒は、「太古奥穂高岳に天降ったと伝えられる穂高見神は、信濃を開発した安曇族の祖神として奉斉され、日本アルプスの総鎮守として湖畔に鎮座する」(詳細は省略)と由緒書きにある。

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安曇族とは、北九州を拠点に海で活躍する代表的な海人族である「アズミ(アツミ)族」に起因する(谷川健一著「日本の地名」岩波新書)。

「和妙抄」によると、阿曇、安曇、厚海、・・などと表記され、いまでも渥美半島(愛知県)、安曇川(琵琶湖西側)という地名になって、中部地方以西に子孫がその族名を代々受け継いできたという。

その足跡は、瀬戸内海、日本海、太平洋とj範囲が広く、温泉地有名な熱海もアツミが起源という説もある。

現在の「安曇野」という土地は、糸魚川から南下したアズミ族が開拓した土地で、長野県穂高神社は、アズミ族の祖神と仰がれる穂高見を祀っているという。

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安曇野が、アズミ族の末裔によって開かれた証?に、毎年10月8日この明神池に船を浮かべる神事がある。

これは安曇野市の穂高神社に伝わる「お船祭り」も同じで、海のない山奥で船にまつわる行事が残るのは、海人族の名残ではないかという説もある。
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奥の宮に飾られた御船神事の写真

奥の宮に建てられた由緒書きにはこんな一文もある。

上高地は古くから、神降地、神合地、神垣地、神河内などとされ、神々を祀るに最も相応しい神聖な浄地とされた・・・。



確かに湖畔から眺める神秘的な佇まいは、古代、太陽や月や森の神々、石や木々や湖に宿った神々が、この地で降り立った”神合地“の言葉のイメージを彷彿とさせるに相応しい景色。

早朝、この辺りに霧でも発生したら、一層、この言葉の由来が実感できるに違いない。
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いまでこそ上高地のシンボルは河童橋と言われるが、本来は上高地の中心は、この穂高神社の奥宮と明神池湖畔であることは間違いはない。

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まさに”静謐”という言葉を絵にした風景でもある。

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いつまでも湖畔に佇んでいたいが、日暮れも早いので先を急がなければならない。

明神池から、橋を渡って本来の登山道に合流し、次に向かうのは徳沢園。

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明神橋の向こうに聳える焼岳

シラビソに囲まれた鬱蒼とした森の中にあって、まるで草原のように光り輝く場所がある。

それが徳沢園で、わずかだが、陽のあたる牧歌的な雰囲気のあるキャンプ場。蝶ヶ岳や奥又白の入り口でもある。



この徳沢園の手前で、Yさんが突然大声を上げた。

それも続けさまに何度も大声を上げるので、もしや熊でも出たのかと思いきや、傍らの道の切り株に大きな猿がいる。

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それも夫婦とおぼしきの猿で、向こうの笹原にゴソゴソうごめくのは、きっと子猿に違いない。

不用意にカメラを向けて襲われるは危険なので、離れた所から様子を見ながらカメラを向けると、一向にこちらに注意を向ける気配がない。

相当、人に慣れているのだろう。

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                   ズームで撮影

かつてこの道を何往復しているが、サルに出くわすのは初めての経験。
*注:上高地には100匹ほどの日本猿が出没しているとのこと。まだ人に危害は加えないが、要注意
徳沢園から横尾までは約1時間。
途中、梓川の大きな堤に出ると、遥か向こうに常念岳や手前に屏風岩が見えてきた。

明日は、あの屏風岩を左に大きく廻り込んで、涸沢に向かうことになる。山   写真 温泉  山   写真 温泉
陽のあたる徳沢園

途中、寄り道をしたが、本日の宿泊地横尾山荘に着いたのは、ちょうど4時半。



横尾は、穂高と槍ヶ岳と蝶ヶ岳のちょうど合流地点だけに結構な賑わい。

以前に比べて新しい建物も増えている。

しかもわれわれが泊まる横尾山荘には、風呂付、2段ベッドというからありがたい。
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高地からここまではほぼ平坦な道を3時間ほどの歩きだが、荷物が重いせいか、太ももや足首が結構張ってきた。

それを風呂でほぐすと、翌朝はスッキリ!風呂の効果絶大!




明け方4時頃、屋外に出るとまだ周辺は真っ暗で、空に無数の星が輝いている。


大型台風18号は気になるが、今日は、恐らく晴天に間違いないだろう。


本日の歩行時間:3時間30分


その2 に続く



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