●権現山~扇山 快晴 温泉

山梨県 権現山(1311m)・扇山(1137m) 2010年1月9日(土)

 

 

<参考コースタイム>

 

JR上野原駅→バス・初戸(はど)バス停→(1時間40分)992m→(10分)雨降山→(50分)権現山山頂→(40分淺川峠→(45分)扇山→(45分)梨ノ木平→(1時間15分)鳥沢駅

●参考歩行時間:6時間5分 登山歩数:約27,000歩

 ●温泉:やまなみ温泉
山   写真 温泉新年の初登山とはいえ、この季節の寒さは身にこたえるので、登山の意欲も萎えてくる。だがそこをグッとこらえて、奥多摩の冬景色を愉しもうと選んだのが、権現山と扇山。 扇山は 秀麗富嶽12景のひとつでもある。

権現山は標高が1300mもあるから、「あわよくば山頂で雪景色でも見られる?」と淡い期待もあって、前夜、ザックにロングスパッツとアイゼンを詰め込んだ。

中央線上野原駅からバスに揺られ、30分ほどで初戸(はど)のバス停に下車。この路線は、上野原から小菅を経て丹波に抜ける県道で、途中から1車線になる狭道だが、車窓から山里らしい長閑な風景が眺められる。

 

 

出発時(8時28分)、車中はほぼ登山客で一杯だったが、途中で半分ほどが降車し、初戸に降り立ったのは、われら2人だけ。バスに残ったのは、かなり大きなザックを抱えた10人ほどの年配のパーティだが、果たしてどこの山に登るのだろう。

 

初戸の集落は、昔ながらの民家がまだ残っている山里で、権現山への登山道も、古い民家の間を縫ってゆくことになる。

途中、「15センチ以下の岩魚、ヤマメを釣るものは釣具一式を没収」との注意書きがある。人家があるこの辺りの川では、まだ岩魚やヤマメ、が釣れるということか。

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初戸のバス停。直進すると権現山の指標がある

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民家の脇を通る登山道入口

本日は予報どおりの快晴だが、人家の日陰には薄っすらと雪の痕跡がある。出発時間は9時15分。

登山道は、いきなり勾配のある道だが、くるぶしまで堆積した落ち葉をラッセルして歩くのは、愉しくもある。それにしても、今朝の寒さは厳しいので手がかじかんでしかたない。ホッカイロを握り締めることにした。

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30分ほど檜の植林を抜けると、ようやく視界が開けて冬枯れの木々の間から、襞のように幾重にも重なりあった奥多摩や奥秩父の山々が見えてきた。
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さらに1時間辛い登りを経て、ガイドマップに載っている922mという地点に着。

途中、ガイドブックには記載されていない分岐があり、道標もないので迷ったが、右に登る登山道を取ることにした。果たして左に行く道はどこに通じるのだろう。922mの地点は、三角点があるわけでも、見晴らしのきく場所でもないので、そのまま通過。

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マップにない分岐を右に行くと雨降山に
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922mの地点を10分ほど登ると、ようやく用竹に至る尾根筋に出て「雨降山(1177m)」に着。登山口から約2時間かかったことになる。
ここまで登れば、権現山直下の大ムレ権現の社までは、緩やかな尾根道を辿るだけ。

 

 

山頂付近に電波塔があり、そこから本日はじめて富士山が遠望できた。それにしても空のなんと青いことか。

 

山   写真 温泉 雨降山山頂
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木立の間から富士山が覗く
雨降山山頂からは緩やかな尾根道ということもあってか、突然マウンテンバイクに乗ったパーティに出くわした。一体彼らはどこから降って湧いて来たのだろう。

苦労してここまで登ってきた登山者には興ざめの光景だが、苦笑するしかない。

彼らは、本日はじめて出会った登山者?でもある。

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檜の樹林を過ぎ、尾根筋を進むと北側(右側)の視界が開け、大岳山、三頭山に連なる長大な笹尾根や大菩薩など、奥多摩を代表する山々が眺められる。この山行ならではの景観だろう。

熊笹に覆われたケヤキやブナの木々の林は、すっかり葉を落としているので、青く澄みきった空から陽が燦々と降りそそいでくる。

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山頂に通じる伸びやかな道は、風がないので穏やかな春先を思わせる。山   写真 温泉
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雨降山から45分ほど緩やかな尾根を歩くと、王勢籠権現(オオムレゴンゲン)の社に着いた。

 

 

 

 

昔は大ムレ権現を祀ってあるため、この山は「大ムレ山」と呼ばれていたそうだが、いつしか権現山に変わってしまったとか。

 

 

江戸時代、大ムレは王勢籠と書いたそうだが、もともとは大群、大牟礼と書いていたのだろう。途中どこかに「大群」という標識を見たので、今でもこの地名が残っているようだ。

ムレとは、もともと朝鮮半島で城が築かれた山、もしくは山そのものををムレと呼んでいたそうだから、それが語源か。

社の表に「祭神 日本武尊」と書かれた木札が下がっている。

参拝して奥を見るとこの権現社の由来が書いてある。
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この由来書きには、「甲斐国志によると、この神社の神犬を75匹頼むと、盗賊、火難を防ぐことができる。農民たちが名主にこれを請えば、犬が必ず来て守ってくれる。・・・慶応4年。さらに昔、この山頂に公認に賭場?があった」とある。

 

 

この由緒と日本武尊とどうかかわりあるのか、ないのか不明だが、この近くの生藤山にも、日本武尊にまつわる言い伝えがあるので、この山にも、日本武尊が東征の折に立ち寄ったのだろう。
 

 

権現社の裏から、山頂まではほんのわずかな登りだが、斜面に立ち止まるとズルズルと落ちてしまうほどの急斜面。

ようやく11時55分、登山口から2時間40分かかって権現山に着いた。

山頂からの景色は申し分ない。

北側に場所を移すと、目にしみるほど青く澄みきった空がどこまでも広がっている。青空が一段と濃い。
山   写真 温泉
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南側には、富士山がおぼろに霞んでいるが、手前に道志の菜畑山、その向こうに忍野の御正体山の稜線や山塊が、微妙な濃淡を添えて帯のように広がっていて、なんとも美しい。
山   写真 温泉
山頂は広く開放的で、単独行の女性が一人だけで、ほかに登山者は誰一人いない。

 

 

時計はちょうど12時を指しているので、富士山を真正面に見据えた”値千金”の場所に陣取り、昼食の用意。

 

無風の南に面した草地に腰をおろしているので、陽をもろに受けて、日焼けがしそうなほど。

 

 

本日の昼食は、前回に引き続きうどんだが、鍋焼きではなく「鴨うどん」を持参。鍋にうどんと具材と水を入れ、コンロで10分ほど温めると、あっという間に沸騰した。相棒も傍らでキツネうどんを調理。

 

昨日、飲み残したワインをほんのわずか持参したので、それを二人でチビチビやりながら、貧しくとも心豊かな昼食を・・。

山   写真 温泉

単独行の女性が山頂を後にするのと入れ違いに、やはり一人の登山者がわれわれとは反対側の道から登ってきた。マウンテンバイクのパーティを除けば、これまでに会った登山者はこの二人だけ。


 

しかしこれほど景観の素晴しい山に、なぜこうも登山者が少ないのだろう。

確かに雪が降れば、傾斜のキツイこの山には危険な箇所もある。ガイドブックの登山適期も、春や紅葉の時期、そして初冬の1月中旬までとあるから、いまはこの山を訪れる紙一重の時期なのだろう。

しかし晴れていれば、これほど冬の奥多摩を堪能できる山も少ないだろう。
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山   写真 温泉
山頂でたっぷり1時間費やして、次に向かうのは扇山。

この山に登るには、一度、淺川峠までいっきに450mも下り、そこから尾根を通り、扇山の山頂直下の急坂を登ることになるからまだ気が抜けない。
これまでキツイ上り下りを繰り返してきたので、足腰がすでに痛くなってきた。

 

 

権現山山頂から急坂を転げるように40分下って、淺川峠の分岐に着。
ここから淺川に下る道もあるが、われわれは扇山を経て、中央線の鳥沢駅まで一気に歩くことになる。

 

淺川峠から、緩い登りや下りを繰り返し、最後は扇山への直登の道を四苦八苦しながら、山頂についたのは14時30分。権現山からちょうど1時間30分を経過。
山   写真 温泉
扇山山頂
ここからの富士山の眺めは、秀麗富嶽12景に数えられるだけあって、素晴しい。

山   写真 温泉
山   写真 温泉
冬の日差しは一年のうちでもっとも柔らかいので、四方の山々をことさら柔和な姿に見せている。
だが富士山の少し斜め上には、まだ陽はかかっているため、写真を撮るには逆光になる。

何とか太陽を遮る工夫をして、富士山を撮影してみるが、やはりこの山から富士山を眺めるには、午前中のうちでなくてならないようだ。そのためか、人気のある山にしては、山頂にはすでに一人の登山者もいない。

ここでも30分ほど時間を費やして、15時ちょうどに下山開始。

 

 

陽は、急速に山の稜線に傾きはじめ、冬枯れの道に長い影を落とすようになった。ゴールまではまだ相当な距離がある。

 

山   写真 温泉

木梨平まで急坂を下り、林道に出ると、そこからはアスファルトの道になるが、勘違いをして違う道に迷い込んでしまった。

はじめはハッキリとした道だったのだが、徐々に道幅が狭くなり、車が捨てられた、人の歩いた気配のない道に分け入った来たようだ。

山   写真 温泉

それでも何の疑いもなく道を進むと、とうとうほんのわずかだが崩落した箇所にぶつかった。谷側に踏み込んだ足元が崩れると、そのまま地すべりを起こして20~30mは落ちてゆく。1ヶ所目は通り過ぎたが、2ヶ所目のところで、ようやくこの道はおかしいことに気がついたので、引き返すことにした。

寄り道もあって、青空が深紅の夕陽にかわりつつある。

夕陽の方角を見ると、稜線の上にかろうじて富士山の天辺が見える。山や樹木がシルエットになって、見事な山間の夕景を演出している。山   写真 温泉
山   写真 温泉

鳥沢駅に着いたのは、陽のくれかかる夕方の5時。

長い一日もようやく終わろうとしているが、本日はまだ先がある。
山   写真 温泉
これから鳥澤駅(JR中央線)から電車に乗って藤野駅に降り、そこからバスで10分ほどの「やまなみ温泉 」に浸かる予定。

帰りは遅くなるが、本日は3連休の初日、ゆっくり湯に浸かって、こわばった身体をほぐそうか。温泉

ちなみに、鳥沢駅の次の駅は猿橋駅、そして鳥沢の宿場の前は犬目宿とか。これで鳥、猿、犬と干支になる、さらに山梨の名物の桃を加えれば桃太郎伝説になると、まことしやかな説もあるが、もとより偶然だろう。

 

 

やまなみ温泉 」に浸かり、湯上りの乾いた喉に、生ビールビールが当然のごとくこたえるのは言うまでもない。鏡をのぞくと、鼻の辺りがホンノリ赤くなっている。冬の日差しで日焼けするのも珍しい。

 

帰りに土産物コーナーで、柚子ジャムを購入。

もちろん言うまでもなく、藤野駅に戻って、駅近くのお店で、大月市の地酒「笹一」という日本酒をば、一献、二献・・。甲州の地酒はあまり知らないが、このお酒は辛口でスイスイと・・。

 

 

話しが弾んだせいもあって、店主が「お客さん8時40分の電車に乗ります?」と帰りを促される始末。
山   写真 温泉
本日は久しぶりに歩いたようで、約27,000歩なり。

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