●箱根駒ヶ岳・神山  快晴  温泉付温泉

 静岡県 箱根駒ケ岳(1356m)・神山(1438m) 2009年12月19日(土)

 

<参考コースタイム>

 強羅→早雲山駅→(60分)大湧谷分岐→(35分)冠岳分岐→(8分)冠岳山頂→(5分)冠岳分岐→(10分)神山山頂→(25分)防ヶ沢分岐→(25分)駒ケ岳山頂→ロープウエー(7分)箱根苑→バス(60分)箱根湯本

参考歩行時間:3時間

 温泉:弥次喜多の湯 (箱根湯本)
山   写真 温泉
ある日電車の内で、アルミ皿の器を温める「鍋焼きうどん」の広告をみて以来、12月の山行には是非これを持って行こうと心に決めていた。鍋割山荘でみた鍋焼きうどんのメニューが、脳裏のどこかにこびりついていたのかもしれない。

山行の前日、女房に買い物ついでに、この”鍋焼きうどん”なるものを買ってくれるように頼んでおいたので、帰宅して聞いてみると、”注文どおり”に「買っておいた」という。しかし見ると、確かにアルミ皿に入ったうどんには違いないが、シールにはハッキリと「きつねうどん」と書いてある。

”鍋焼きうどん”と”きつねうどん”の違いを述べよと言われれば、答えに窮するが、この両者には、うどんという共通点以外に、天と地ほどの違いがある。

凍えるような山頂で食べたいのは、断じてキツネうどんなんかではなく、鍋焼きうどんなのであるが、”素人”には、どうもその機微が分からないらしい。


さて、12月の山行である。

例によって、どこの山にしようか迷った挙句、3日前になってようやく富士山が眼前に聳える箱根駒ケ岳を登ることに決めた。帰りは箱根湯本の温泉に浸かり、ささやかな忘年会、というのが今回の趣旨。

予定では、早雲山から神山を経て駒ケ岳に登り、帰りはコースを変えて再び早雲山に戻る。山頂での体調によっては、そのまま駒ケ岳ロープウエーを使って下山もできるという、手抜き登山の見本のような山行である。


当日は、予報どおり快晴だが、今シーズンで一番の寒さとか。

不本意ではあるが、山頂であのキツネうどんでも食べようか、というのでコンロと水、それに今回は珍しく一眼レフのカメラを一杯詰め込んで、夜明け前にわが家を出発。

早雲山駅前は、10数人のパーティのほか、何組かの登山客で結構なにぎわい。

東側をみると、相模湾の青い海が遠望できる。

出発地点の標高は751m、1時間15分の行程にある第一目標地点の早雲山は1244mだから結構な急勾配。

いきなりの急坂で、息も荒くなる。気温は相当低く、手もかじかんできた。歩き始めて30分ほどで、本日はじめて木立の間から真っ白な富士山が垣間見えた。
山   写真 温泉
この辺りはヒメシャラの樹林が多いそうだが、葉は落ちているものの、せっかくの富士山の景色を遮っている。葉が茂る頃は恐らく富士山の存在に気づかないのかもしれない。
山   写真 温泉
山   写真 温泉
1時間ほど急坂をあえいで登ると、鞍部に出た。大湧谷分岐の少し手前のようで、ここからはじめて富士山の全容が見渡せる。

山   写真 温泉
山   写真 温泉
山   写真 温泉

少し下ると、神山を経由しないで駒ヶ岳に直登する「お中道」と、神山に向かう分岐がある。さらに5分ほどで、大湧谷分岐に着。

大湧谷分岐辺りから硫黄のニオイが立ち込めてきた。なにやら見かけない機械がおいてあるのは、ガスの感知器だろうか?
山   写真 温泉 大湧谷分岐

われわれは、神山にむかう道をとる。

神山は本日の箱根山の最高峰(1437m)で、この山頂にたどり着けば、駒ケ岳まではさして苦労はない。

大湧谷分岐から35分ほどで、冠ヶ岳の分岐に着き、そこから10分弱寄り道をして冠ヶ岳に寄ることにした。樹木に囲まれているので見晴らしがきかないので、通過してもよいかもしれない。

山   写真 温泉
冠ヶ岳山頂
分岐を往復して、さらに10分ほどで神山の山頂に立つ。

山頂といっても、ここも見晴らしが全くきかないので、単なる通過地点のようだ。駒ケ岳や神山を含む箱根山(箱根山という山はない)は、古代山岳信仰のメッカだけあって、神山はその名のとおり、山頂に天照大御神の石碑が祀ってある。

ちなみに箱根の名前の由来は、麓から山体を見ると箱のような四角い形をしていることからと言うが、本当か?

山   写真 温泉
山   写真 温泉

        神山山頂

この辺りはもう1200mの高所だから、寒さがいよいよ増して、小さな水の流れも凍りついている。

山頂を後にして、いよいよ駒ケ岳に向かうのだが、極端に道幅が狭くなってきた。ひと一人が通れるくらいの狭い道は、シーズンのころは行き交うひとで、渋滞を起こすだろう。

山   写真 温泉
山   写真 温泉
神山の山頂から、緩やかな道を30分ほど登り降りすると、熊笹の道の向こうのなだらかな山にロープウエーの建物が見えてきた。

山   写真 温泉

周囲に遮る樹林がない山頂に近づいたせいか、陽は照っているが、凍えるような強い風が吹いてくる。気温は氷点下には達していないだろうが、体感温度は厳冬並み。
山   写真 温泉
山   写真 温泉
山頂直下の広々とした笹原から少し右側に移動してみると、相模湾に囲まれた真鶴半島がはっきりと見渡せる。
山   写真 温泉

いよいよ山頂が近くなったが、それに増して風と寒さが強くなってきた。
山   写真 温泉

とうとう山頂付近で、富士山の裾野からの全貌を見渡せる場所に出た。あいにく富士山頂に厚い雲がかかっているは残念。
山頂に着いたのは12時30分、登山口からちょうど3時間かかったことになる。寒くなければ最適な登山コースといっても良い。

山   写真 温泉 山頂

山   写真 温泉
山   写真 温泉

箱根周辺の山は、約40万年前から火山活動が始まり、約25万年前に「古箱根火山 」と呼ばれる富士山型の山(2,700m )が形成されたという。

それが、18万年前頃に中央が広い範囲で陥没し、周囲に取り残された山が塔ノ峰、明星ヶ岳、明神ヶ岳、三国山、大観山などの「古期外輪山」。

そして約4万年前に、再びこの中央に出来たカルデラ内で火山活動が活発化し、出来たのが箱根駒ヶ岳、上二子山などの山々だそうだ。このころ現在の仙石原一帯に仙石原湖が誕生したという。

山岳地図でみると、外輪山や駒ケ岳の位置や姿がハッキリと分かる。

ちなみに芦ノ湖(カルデラ湖)が誕生したのは、時代はさらに下って3000年ほど前という。

山   写真 温泉

駒ヶ岳山頂には箱根元宮といわれる立派な箱根権現社 がある。もともとこの山は、古代より神と崇められた山で、箱根町にある箱根神社は752年に、駒ケ岳を神体山として開かれた神社。

もっとも、駒ケ岳の山岳信仰は、さらに時代を遡る神話の世界だが、古代の人々が自然の恵みをや脅威をもたらす山を崇めていたのは間違いないことだろう。

この箱根元宮の社務所で祈願すると、傍らに珍しい英語のおみくじがあるので、ものは試しと金100円也で購入。「GOOD」(吉)とある。

山   写真 温泉 箱根元宮
駒ケ岳山頂からの景色は360度全開で、富士山はもちろんのこと、相模湾、駿河湾、伊豆諸島、箱根外輪山、伊豆連山、沼津アルプス、丹沢山系が見渡せる。

山   写真 温泉 伊豆大島やその向こうに伊豆諸島が見渡せる

相模湾を遥か遠くまで見渡すと、江ノ島らしき小さな島や三浦半島の向こうに東京湾までもが遠望できる。山   写真 温泉
山   写真 温泉

相模湾の向こうに東京湾も見える

場所を移動して南西の方角の足下に、広大な芦ノ湖が広がっている。

太陽が厚い雲に覆われているため、湖がまるで泥沼のように濁って見える。これが土石流でふさがれた湖なのかと思うと、実に感慨深い

山   写真 温泉
山   写真 温泉


ロープウエーの建物

すでに2時をとうに回っているので、昼食を摂りたいのだが、風が強く遮るものがないので、バーナーを使って火を起こすこともできない。しかも頭痛を起こしそうな寒さで、吹きさらしの山頂ではじっとしていられない。あのキツネうどんもあきらめなくては・・。

というわけで、昼食が摂れない(相棒はロープウエーの建物の中でおにぎりを食べている)し、寒くもあり、帰りはいま来た道を引き返し、お中道を通って早雲山駅に引き返す予定をあっさり変更し、このままロープウエーで下山することに決定。

山頂がゴールというのはこれまでに経験したことがないので、なんとなく不燃焼だが、まあ!たまには、こんなこともあら~な・・。
山   写真 温泉
ロープウエーの中から撮影

山頂から、ロープウエーで芦ノ湖畔の箱根苑まで7分。
車上で見る富士山頂付近には、相変わらず雲がかっているが、その景色は壮観そのもの。

ここから箱根湯本まで、バスで1時間ほど乗ることになるが、着いたとたんにバスが出発。そこで待つ間昼食をとることにして、レストランで鍋焼きうどんを注文。
山   写真 温泉
バスでうたた寝をして気がつくと、いつの間にか湯本駅付近。

本日は駅から5分ほどのところにある弥次喜多の湯 に浸かることになっている。さすがに本日は寒さのせいで、湯に浸かると心身ともに気分がほぐれてくる。

温泉に浸かっていると、地元のおじいさんが裏山で温泉を掘り当てようと40m掘ってみたが残念ながら不発に終わったとか、そんな話しをしている。

湯上りは待望の生ビールだが、ここでは食堂がないので自動販売機で缶ビールと缶ウイスキーを1本、2本。ミニ忘年会を缶ビールではさすがに味気がないので、あとは駅前のそばやで一杯やることにした。

温泉を出ると、なにやら気になる干物屋がある。干物屋というよりちょっとしたギャラリー風の店(うろこの宮ととや)で、入ってみると、この店オリジナルの珍しい商品が並んでいる。
山   写真 温泉 山   写真 温泉山   写真 温泉
お勧めは、釜揚げしらすで、ご飯の上にしらすをのせ、その上に卵の黄身だけを混ぜて食して下さいと言う(上記写真)。

このほかに、小あじの干物と小田原辺りで採れたというホタルイカの干物を購入。”塩分の摂りすぎ注意”とは知りつつも、ついウカウカと・・。
このあと駅前のそば屋で、熱燗を呑みながら、今年はどうやら年間12回の月1登山の完遂を祝して乾杯。

 

本日の登山歩数は16000歩なり。

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