●鍋割山 晴れのち曇り

 神奈川県 鍋割山(1272m) 2009年6月20日(土) 温泉付

 

 

<参考コースタイム>

 

 小田急線渋沢駅→大倉バス停→(1時間15分)二俣→(35分)後沢乗越→(55分)鍋割山山頂→(50分)金冷やし→(10分)花立小屋→(20分)堀山の家→(35分)見晴小屋→(35分)大倉バス停

 参考歩行時間:5時間15分

 温泉 小田急線弦巻温泉 「弘法の湯
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これまでに丹沢山系は、蛭ヶ岳塔ノ岳、丹沢山桧洞丸、畦ヶ丸、大山と主な山に登ってきたが、人気の高い鍋割山が唯一残っていた。鍋割山は、シロヤシ oツツジの最盛期の5月下旬を考えていたのだが、先月はあいにくの雨空なので急遽本日に順延することになったもの

渋沢駅からバスの車内は登山客で満員の大盛況。終点の大倉バス停で空を見上げると、願ってもない青空が広がっている。天気予報では一日晴天が続くというので、日焼け止めを塗って、8時40分に出発。

鍋割山へのコースは、塔ノ岳に向かう大倉尾根を上り、金冷しから鍋割山に向かうのが一般的なようだが、われわれは、大倉尾根はすでに2回も登っているので、このルートは下山に使うことにした。そのせいか、バス停から鍋割山に向かう人はまばら。
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大倉バス停                       天社神の石塔

歩き始めてすぐ、畑の脇に「天社神」と彫られた見慣れない石塔がある。道祖神とも庚申塚とも違う石塔なので後で調べてみたら、「天社神」とは、丹沢辺りで古くから信じられてきた土地神様らしい。

分岐のある二俣までは、緩やかな林道を1時間ほど、ひたすら歩くことになる。
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二俣を過ぎてもさらに林道が続くが、やがて勘七沢の出会い辺りから本格的な登り道となった。

勘七沢は、ザイルも使う丹沢を代表する本格的な沢。水量が豊富で深い釜、10mを超える大滝もあるそうだ。この沢を遡上すると、塔ノ岳に至る大倉尾根の花立山荘に出る。われわれが通り過ぎるときも、カラビナやロープを携えた重装備の中高年の登山者がいた。

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勘七沢の出合い
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勘七沢の出合から30分ほど急坂を登り詰め、やっと後沢乗越の分岐に着。途中、間伐された杉林の景観は良いが、そのあとは足元をじっと見つめる苦しい歩行となる。

この山には分岐などの道標が少ない。後沢乗越も道標がないので、気がつかずに通り越してしまったが、道はハッキリ分かれているので、心配はない。

それにしても緑の樹林が美しい。

後沢乗越の分岐からはさらに急峻な上りが続くが、いくつかの小さな鞍部があり、わずかだが呼吸を整えることが出来るのはありがたい。

やがて、鍋割山稜10という標識のあるところに出た。山頂の標識は11だからあと一つだけ。

徐々に周囲の見晴らしが開けてきたが、出発時点では快晴だった空がいつの間にか、薄暗い雲に覆われてきた。

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登り始めてから、およそ3時間でようやく鍋割山の山頂に着いた。

山頂から眺める景色も、濃い霧がかかっているが、緑で覆われた、明るい、広々とした山頂の佇まいは、想像以上に素晴しい。
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山頂の標識代わりに「鍋割11」が・・
鍋割山には珍しく、山頂の標識がない。代わりに山頂から眺められる山を表示した銅製の方位盤がある。晴れていれば、丹沢山塊をはじめ、富士山、北・南アルプスなどが見渡すことが出来るようだ。
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小屋の前で、特製の鍋焼きうどんを頬張る登山者が結構多い。金950円也。
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昼食にたっぷり1時間かけて、12時30分出発。霧がまた深くなった。
山頂から金冷し頭までは、なだらかな稜線が続く。ブナや紅葉の青葉が霧に包まれて幻想的な雰囲気をかもし出している。

鍋割山に限らず、丹沢は霧が多い。無数の沢や、ブナの落ち葉に蓄えられた水分で霧が発生するのだろう。

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丹沢は、江戸時代は幕府の直轄領で、大山や塔ヶ岳以外は入山が禁止されていた。そのお陰で、ブナなど豊富な樹木が自然そのままに保存されきた。樹齢の古いブナの大木が観られる。

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割山稜と呼ばれる尾根の北側斜面に、箒杉沢の白い沢筋が見えて来た。濃い緑の樹林を縫うようにして流れる、沢筋はどこから眺めても美しい。
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箒杉沢の白い河原

尾根道には、ブナだけでなく、ピンク色に染まったベニヤマボウシの花も見られるようになった。この花は下界ではとっくに花期が終わっているが、この辺りではまだ最盛期。

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ベニヤマボウシ
なだらかな陽の当たる斜面には、「二人静」の花が咲いている。

二人静とは、一人静の花が一輪なのに対し、2輪、3輪の花をこう呼ぶそうだ。一人静の名前の由来は、静御前が舞う優美な姿になぞらえ、二人静は、亡霊との連舞から名づけられたという。

群生とはいえないが、注意深く見ているとあちこちに見受けられる。
山   写真 温泉 二人静山   写真 温泉
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金冷しに近づくと、霧が徐じょに晴れ、薄日が射してきた。それにつられたように、春セミの鳴く声が林の中に響くようになった。まるで盛夏を思わせるようなセミの合唱。

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ブナの幼木にセミの抜け殻が
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鍋割山頂から50分ほどで金冷しの分岐に着。そこから大倉尾根に取り付き、10分ほどで花立山の山荘に着く。ここまで来れば後は、下り一方でようやくひと心地。山   写真 温泉
大倉尾根は別名バカ尾根とも呼ばれてきたように、上りも下りもうんざりするほどの傾斜がきつくてイヤになる。

この山荘の名物はカキ氷。相棒は、これが楽しみだったようで、小屋前のテラスでカキ氷を頬張っている。

この小屋のわきで、下山する登山者に、石ころの詰まった袋を運ぶボランティアを呼びかけている。

大倉尾根は雨が降ると土砂が流れ、悪路になる。窪んだ山道に石を敷くボランティアが最近始められたようだ。

われわれも、ひと息入れた後、このボランティアに参加。といってもわずか数分この石袋を運ぶだけだが、重量が20Kgもある。両手で支えきれないので、肩に担いでみるが、数分ですでに足元が覚束なくなる。

若いころは30kg近いリュックを背負ったこともあるが、もはやそれは遠い昔のこと。20kgで早々にあごを出す始末。
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途中いくつかの小屋を経て、ようやく緩やかな斜面にたどり着き、目指す大倉バス停が間近になった。

途中何人も追い越してハイスピードの下山で、ゴールにたどり着いたのは15時30分。

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本日の温泉は、小田急線に乗って3つ目の弦巻温泉駅で下車し、「弘法の湯 」に浸かることになっている。
本日の総歩数は、珍しく3万歩を突破。