●高畑山・倉岳山 快晴

  山梨県 高畑山(981m)倉岳山(990m) 2009年3月21日  温泉温泉付

 

 

<参考コースタイム>

 

 中央線鳥沢駅→(30分)山の神鳥居→(25分)石仏・分岐→(1時間5分)高畑山頂→(45分)倉岳山頂→(20分)立野峠→(50分)登山口入口→(20分)梁川駅

 参考歩行時間:4時間15分

 立寄り温泉:やまなみ温泉 (中央線藤野駅からバスで15分)
山   写真 温泉
山   写真 温泉

↑南を表示

3月の月例登山は迷いに迷って、中央線鳥沢駅の真南に位置する高畑山から倉岳山に登り、ひと駅新宿寄りの梁川駅に下るコースに決定。登りも下りも駅からバスを使わずに徒歩で済むせいか、人気の高い山だそうだ。

このところ週末の天候が悪く、延び延びになっていたが、当日は久しぶりの晴天の予報。

気温も相当高く、あわよくばどこかで桜が観れるかも知れないと淡い期待が・・。

鳥沢駅に着いたのは、午前8時少し過ぎ。人気の山にしては、駅のホームに降り立った登山客は、われわれ2人だけの寂しい光景。
鳥沢は、甲州街道22番目の宿場町(上・下鳥沢宿)として賑わったためか、いまでも街道沿いの町並みが、その名残をとどめている

山   写真 温泉

古い民家は、外見はいまふうの素材を使っているが、軒裏を見上げると古い木材がそのまま使われている。

通りすがりに見た表の障子のガラス戸に、この辺りの昔の風景を描いた木版画が何枚も張ってある洒落た民家がある。

広重が描いた「甲陽猿橋」の版画は、鳥沢駅の次駅にある三大奇橋の「猿橋」を描いたものだそうだ。
山   写真 温泉
民家のガラス障子をちょっと失礼して撮影

街道に面した家の軒は、まるで雁木のように張り出しているのは、宿場町特有の作りか。

山   写真 温泉

登山道までは、甲州街道を新宿方面に数百m戻って、民家の壁際にかかっている道標だけが頼り。細い路地を右に曲がって、昔ながらの黒板塀の道を進むと、線路下をくぐる細い道が続いている。
山   写真 温泉
この辺りは、新しい住宅もあるが、長い歴史を刻んだ古い農家も健在で、庭先に朽ちた臼や、細い道々にまだ庚申塚や石仏が沢山残っている。

分かりにくいが登山道の道しるべがある。ここを右折
山   写真 温泉
この細いトンネルをくぐると、視界がいっきに開けて、山に囲まれた甲州ならではの山里の長閑な田園風景が広がっている。
山   写真 温泉
山   写真 温泉
山   写真 温泉

江戸から近世にかけてこの辺りは、絹、機織が盛んだったそうだから、どの民家も裕福そうに見える。

しばらく舗装道路を歩いていゆくと、桂川(相模川)にかかる虹吹橋を渡る。橋から川の瀬までは相当の深さがあり、下を覗き込むとちょっと腰が引けてくる。

山   写真 温泉

橋を渡りしばらく坂道を登ると、人工の小篠貯水湖に出くわした。陽だまりの木々を見ると、桜の蕾がもうパンパンに膨らんでいる。

この辺りは桜の名所なのだろうか、さぞや満開の桜は見ものだろう。もう1週間遅ければ、格好の登山コースに違いない。

やがて山ノ神が祭られている赤い鳥居に着く。駅からここまで丁度約30分。

山   写真 温泉

山   写真 温泉
山   写真 温泉

小篠貯水湖                下山時なら桜はほころんでいるかも・・

ゲートをくぐり、ここからがどうやら登山道のようだ。

冬枯れの野に、アブラチャンだろうか黄色い花が際立って咲いている。

山   写真 温泉
山   写真 温泉

ゲートからオシノ沢と呼ばれる緩やかな登山道がつづき、次第に高度が上がってくる。駅から1時間ほど経過したところで、石仏(今は移動してない)のある分岐点に着。この先に、倉岳山と穴路峠に抜ける分岐があるそうだ。石仏とは恐らく馬頭観音で、昔、道志へ抜けるために馬に荷を積んで、この峠を人馬が往き来したのだろう。

竹林を過ぎた辺りから、傾斜がさらにきつくなった。

気温が高いせいもあって、シャツは汗だくで、とうとうTシャツ1枚になった。久しぶりに太ももや腰辺りに張りが出てきた。

実は、高畑山は手軽で人気のあるハイキングコースとあったので、侮っていたがどうしてかなり急峻な上りが続く。
石仏の分岐から25分ほどのところから徐々に視界が開け、北西の斜面に南アルプスの甲斐駒ケ岳だろうか、真っ白な山頂が見えたので、小休止。

山   写真 温泉

さらにキツイ登山道を25分登り(駅から歩き始めて2時間10分)、とうとう高畑山頂についた。到着時間は10時30分。

この山は大月市が指定した秀麗富嶽12景のひとつ(9番目)。

山頂からの富士山の眺めが、まるで十二単の裾を広げたように見えるために名づけられたらしい。
山   写真 温泉
本社ケ丸や三つ峠の山を従えているように聳える富士山
山   写真 温泉
山頂で富士山を堪能して後ろを振り向くと、1枝2枝、ささやかだが花を付けている木があるので、近づいて良くみるとなんと山桜。


真青な空に、小さな花弁が映えている。麓でさえ見られなかった桜が、まさか山頂で見られるとは・・。
山   写真 温泉
山頂で単独行の女性がいて、途中路に迷って「遭難しかけた」といっていた。登山道はしっかりしているので、遭難とは大袈裟だが、どこで道を間違ったか40分ほど山中をさまよったそうだ。

桜を堪能し、握り飯をひとつ食べて腹ごしらえして、次の倉岳山を目指して11時ころ出発。

山頂からかなりの急坂を転げるように20分ほど下り、穴路峠に着く。ここが石仏の分岐から別れた峠だ。

ここからまた相当な直登の急坂が控えている。1ヶ月半のブランクのせいか?いつになく足腰が重く、ややバテ気味。

なんとか急坂を20分ほど踏んばり、倉岳の山頂(990m)にようやく着いた。

山   写真 温泉

この辺りから急に登山客が降って湧いたように増えてきたようだ。

山頂には10人ほどのグループが3つ、4つ。山頂はかなり広いのでゆっくり両側の景色が眺められる。

この山も秀麗富嶽12景のひとつで、富士山の裾野がさらに広がって見える。

山   写真 温泉
山   写真 温泉

正面に富士山が薄っすら見えるが、気温が高すぎてぼんやりとしてきた

北の斜面からは眼下に、今朝登ってきた甲州街道や中央高速が見渡せる。

真正面に扇山(1137m)、その向こうの峰にひときわ尖った権現山(1311m)の山頂が聳えている。左には百蔵山(1003m)が連なり、さらに左(西側)手前の盆地を背に、岩殿山の小高い山がある。

山   写真 温泉

倉岳山の山頂から西側(下の写真中央左端)を見下ろすと、中央高速が岩殿山と菊花山の間を縫うように走っているのが良く分かる。

この標高わずか630mの岩殿山の生い立ちは、はるか500万年前に遡るという。地質学の本よると、奥秩父の砂礫が押し流されて相模川に堆積し、その砂礫が約500万年前にフィリピン海プレートによって押し上げられ、この山が形成されたという。言ってみれば、岩殿山は、侵食作用や噴火による生成とは異なる二次的に出来た珍しい山ということになる。

日本の山の生い立ちを地質学的に見てみると、この山頂からの眺めがいつもとは違った景色に見えてくる。
山   写真 温泉

左端中央の小高い山が岩殿山と菊花山
山   写真 温泉

だだ広い山頂で、春の柔らかな日差しを受けて、のんびりと昼食。

本日は、この山を下って中央線梁川(やながわ)駅からJRに乗り、新宿方面に3つほど乗って藤野駅に下車、そこからバスで15分ほどのところにある「やまなみの湯」に浸かる予定。

やまなみ温泉は、相棒が執念で探し出した日帰り温泉(一度蛭ヶ岳の帰りに寄っている)。
山   写真 温泉
高畑山・倉岳山は、鳥沢駅からでも梁川駅から登っても、ほぼ同じような斜度の山だが、ガイドブックにも実際の登山者の往き来をみても圧倒的に鳥沢駅からの登山者が多いのようだ。

山   写真 温泉
倉岳山からの下山道は、月夜根沢の細い沢筋と並行している。

北側の斜面だが、暖かな陽を受けた木々の幼葉がすでに芽吹いて、すがすがしい。
30分ほど下ったところで、今日初めて、白い花の群生を見つけたが、名前が分からない。後日図鑑で調べたところ、アブラナ科のユリワサビだそうだ。湿って林床にあるというから間違いない。名前のごとく、葉や茎が辛く食用にもなるというが、乱獲は避けたしと書いてある。

山   写真 温泉
山   写真 温泉
倉岳山から20分で立野峠を経て、登山道入口の唐栗橋の舗装道路に出たのが丁度1時間後の13時40分。梁川大橋を渡れば、もう梁川駅は眼前にある。
山   写真 温泉
山   写真 温泉
橋を渡って駅舎を見上げると、見慣れない満開の桜が1本。あまりに見事な桜なので、傍らにいたおばあさんにこの桜はなんと言う桜ですかと聞いてみた。確かに「珍しい桜で・・」と言ったきり名前が浮かんでこないようだ。八重のようにぼってりとした花だが、花弁の色は山桜と同じ淡い。
山   写真 温泉

予定より早く下りてきたお陰で、1本早い電車に乗ることができる。あとは藤野駅からバスに乗って温泉に浸かり、生ビールを飲むばかり。

日差しが強かったせいで、顔がわずかに日焼けしたようだ。
山   写真 温泉 梁川駅

藤野でバスを待つ間、駅近くの野菜販売所を覗いてみると、自然薯や山芋が沢山並んでいる。かなり立派な自然薯が1本1,500円。安いのか高いのか分からない。結局、リュックに入るほどの2本300円なりの手ごろな山芋を購入。

やまなみ温泉 でゆっくり汗を流し、待望の生ビールで乾杯ニコニコグッド!

このときのためにとっておいた”セロリのしょうゆ漬け”がビールのつまみ。これは、矢倉岳の帰りの茶店で仕入れたレシピで前夜作っておいたもの。
山   写真 温泉
山   写真 温泉
温泉を出るころには陽が傾く寸前で、本日の登山も無事終了。

本日の総歩数は約18,000歩なり。
山   写真 温泉

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村