昨今、ポピュラーミュージックを聴く際にシャッフルしたり、自分の好きな曲をコンピレイションして聴いたりする事があると思う。
また、それらとはある意味逆に、オリジナルアルバムの曲の並びに違和感を感じたり、何となくしっくり来ない時、自分なりに曲順を並べ替え、すっきり気分良く聴けるようになる場合もある。
しかし、アーティストの意思を尊重してオリジナル通りの曲順で聴くべき、と言う考えもあるだろう。
実際、大半は良く練られていておかしなまねは不必要だと思う。また、作品の内容的に変更不能なものもある。
でも、こんな感じでまとめてみたらどの様な聴感だろう?とか、違和感無く曲順を再構成出来るだろうか?、各曲がいかにスムースに繋がるだろうか?、など妄想するのは楽しい。←めんどくさいかな?
そこで、Led ZeppelinのPhysical Graphittiの選曲と曲の並びを考えてみようと思う。
これは、以前ある雑誌で試みる記事があった。
しかし、考察は共感するものが多々あるのだが、結果は個人的にしっくり来ない所もあったので、自分なりに試みてみようと思う。
まぁ、ベストな正解はオリジナル通りと言う答がでている様なものなので、あえてのくだらない自己満足と笑って許してください。
Physical Graphittiは1975年発表の二枚組の大作(CDでも二枚組)。半分が74年の録音で、もう半分が70年、71年、72年のスタジオアウトテイクで構成されている。
Led Zeppelin:Physical Graphitti
Disk.1
1.Custard Pie (74年)
2.The Rover (72年)
3.In My Time Of Dying (74年)
4.Houses Of The Holy (72年)
5.Trampled Underfoot (74年)
6.Kashimir (74年)
Disk.2
1.In The Light (74年)
2.Bron-Yr-Aur (70年)
3.Down By The Seaside (71年)
4.Ten Years Gone (74年)
5.Night Flight (71年)
6.Wanton Song (74年)
7.Boogie With Stu (71年)
8.Black Country Woman (72年)
9.Sick Again (74年)
全体的な聴感は、カラフルで躁状態な印象の72年制作の Houses Of The Holy より71年制作の Led Zeppelin Ⅳの少しくすんだ感じの落ち着いた印象に近い。多少レイドバックな感じ。
ここで、Zepのサウンドや曲調の大まかな変遷について述べたい(以前読んだ雑誌の記事と似通った内容になると思うが共感した部分として読んでください)。
Zepは、アルバム毎にその時の音楽シーンを反映する楽曲、サウンドを作っているが、それは、見方を変えればアルバム発表前後のライブにおけるサウンドを反映している。という事だと思う。
毎晩違うと言われるZepのライブだが、68年から72年まではツアー毎に一定したペースで、自然にサウンドが変化していたと思う(ツアーの前半と後半ではだいぶ違いがあったりするが・・)。
たが、72年制作の Houses Of The Holy を真ん中に置いて、以前と以降では劇的にサウンドの印象が異なると思う(スタジオアルバムもライブ演奏も)
そこで前期・後期に別れている印象がある。
大きな変貌のきっかけとなったのは、ボーカルのロバート・プラントが後年明かしている。
72年から73年夏にかけての一連のツアーで声帯に深刻なダメージを受け、73年末頃に手術を受けた事。
それと、Physical Graphittiを制作していた74年は、まる一年間ツアーを実施出来なかった事だと思う。
後期のアルバムの曲は、アコースティックな曲や、ブルースのニュアンスを漂わせたドラマチックな形式の曲が減少し、タフでファンキーな曲、独自のサウンドをメンバーのアーティストパワーでまとめあげる傾向の曲に変化している(多少平坦に力ずくで押し切る感じ?でも、グルーヴ感は増大するし、それはそれで好きだけど・・)。
これは、前期においては世界一強力なバンドのサウンドに、ロバート・プラントが超人的ボーカルパフォーマンスで対抗出来ていたけど、後期においてはバンドがロバートのボーカルに合わせたサウンドを模索するように変化したからだと思う。
ボーカルに負担を強いる起伏が激しくキーの高めなバンド主体の曲から、抑え気味のキーで巧みなサウンドの響きと、強力なグルーヴの上にちゃんとした歌唱を乗せる傾向の曲に移行していったからではないだろうか。
そう考えると、74年のPhysical Graphittiが71年のⅣを連想するのは奇妙な事かも知れない。
イロイロ模索中の段階でもあろうし、旧作に合わせて、74年の作品も違和感の無いトーンに整えるミックスを施した結果だと思う。
しかし、あえて74年録音の曲のみ選曲し、その時期のサウンドをより明確にするシングルアルバムを考えてみたらどうだろう?
そして、Physical Graphitti制作後の75年USツアーにおける収録曲の配置を参考にして、76年の次作のPresence以降を想起するような曲の並びにすれば、より74年当時のZepの姿が浮き上がる感じになるのではないだろうか?
以下はアナログ盤を想定したPhysical Graphittiのシングルアルバムの曲順である。
Side.A
1.Custard Pie (4:14)
2.Sick Again (4:43)
3.In My Time Of Dying (11:06)
4.Ten Years Gone (6:33)
Side.B
1.In The Light (8:47)
2.Trampled Underfoot (5:37)
3.Wanton Song (4:10)
4.Kashimir (8:29)
A面一曲目は、ウォーキングテンポでクレイジーなロックナンバーのカスタード・パイしか無いと思う。
二曲目のシック・アゲインは、オリジナルアルバムの終曲だが、ツアーではオープニングのロックンロールとメドレーでやっていたので、この位置もありかなと思う。一曲目のフェイドアウトから、凶暴なギターのイントロに案外違和感なく繋がる。独特な疾走感がある曲で、コンサートみたいにいきなり盛り上がる感じが良い。
三曲目のイン・マイ・タイム・オブ・ダイイングは、ツアーでも序盤のハイライト。二曲目アウトロのギターのエコーから、イントロのスライドのエコーが雰囲気を引き継いでいると思う。
四曲目はテン・イヤーズ・ゴーンしか無いと思う。タフな曲が続いたし、美しい曲でA面を閉じる。
前曲アウトロのちゃらけたギターの響きから、イントロのギターの響きに違和感なく繋がっていると思う。
また、75年ツアーでは演奏されなかったが、77年ツアーでは前半の締めに演奏されていた。次曲とも自然な流れになっていると思う。
B面一曲目は、イン・ザ・ライトから・・B面の幕開けに相応しい不気味なシンセのイントロだと思う。
二曲目は、前曲終盤のクラビネットの響き繋がりでトランプルド・アンダーフット。スローテンポな曲が続いたので乗りの良い曲を・・75年ツアーでも長大なノー・クォーターのライブバージョン後に演奏されていた。
三曲目もロックナンバーのワントン・ソング。前曲のコーダの響きから、イントロの跳ねるリフが雰囲気を引き継いでいて違和感の無い流れだと思う。エンディング前の疾走曲としても最適。
四曲目、アルバムを締めくくる終曲は、カシミールのエスニックで壮大なサウンドしかないと思う。前曲コーダのザラついたボーカルから、雰囲気を引き継いでいると思う。
また、一夜だけ再結成した2007年のO2アリーナでコンサートの終曲になった。
聞き終えた印象は、オリジナルアルバムと案外変わらないと思った(リミックスしたわけじゃ無いんだから当たり前だけど)。
改めて感じたのは、長期間スタジオで作り込まれてるだけあり、各曲の仕上がりが繊細で丁寧。その面では全アルバムで一番だと思う。
短期間で制作した Led Zeppelin Ⅱ や Presence のような爆発力勝負ではなく、味の深さで勝負する感じ。
そして、軽量化した分だけ聴きやすくなった(それでもPresenceより9分くらい長い)。
オリジナルは、Disk.1がミドルテンポ以下のヘビーな楽曲群で、日常的に聞き流すのはチトしんどい重さだなぁと思っていたので、個人的にはコレはコレでアリかなと・・普段この選曲で聴いてます。
まぁ、片面27分を超えているからアナログ盤としては問題あるだろうけど・・あくまでも架空のアルバムですから。
また、外してしまった録音時期の異なる曲も、同一時期の各アルバムに編入して聞いてるので、そのうちソレらについてもサラっと書こうと思う。