妻を亡くし、孤独な老人の男が暮らす町の外れにある墓地。その男の名は、信司。彼は年老いてから墓守りの仕事を始め、日々を墓場とともに過ごしていた。
ある嵐の夜、信司は墓場に突如として現れた影に驚いた。その影は、幽霊のような姿をしていた。それからというもの、影は毎夜のように現れるようになり、信司を苛立たせた。
「なぜ私を悩ませるのか!」と信司は怒りを露わにするが、影は何も答えない。ただ、哀愁漂う瞳で信司を見つめるだけだった。
やがて、信司はついに耐えられなくなり、墓場に積まれた古い書類を調べ始める。そこには、かつての村の悲劇の記録が残されていた。何百年も前、この地で恐ろしい事件が起き、多くの人々が命を落としたというのだ。
その事件の首謀者が、今や影となって信司を苦しめているのではないかと考えた信司は、真相を解き明かすために行動を起こすことを決意する。
ある晩、信司は墓場で影と向き合うことに決めた。腕には、幽霊を封じるといわれるお札を巻いていた。そして、影に問いただすと、それは静かに首を横に振った。
すると、突然墓場は霧に包まれ、遠くに叫び声が聞こえる。信司は恐怖に怯えながらも静かな決意を固めた。影の真実を知るため、信司は墓場の奥へと進んでいく。
そこには、かつての村の住人たちが、皆、影となって立ち並んでいた。彼らは信司を取り囲み、その心を試そうとしているようだった。
信司は懸命に立ち向かうが、影たちは容易には消えなかった。彼らは信司に過去の罪を償わせようとする。しかし、信司は自らの過ちを認め、昔の悲劇を悔い改めることができた。
すると、影たちは一斉に消え、墓場は静寂に包まれた。信司はひとり、再び墓守りの仕事に戻った。
それからも、何もなかったかのように日々が過ぎていく。しかし、信司は墓場の影を見たことがないことに気づく。
ある夜、信司は墓場を見渡すと、今まで見慣れた墓標の一つが欠けていることに気づいた。そして、その墓標には自分の名前が刻まれていた。
信司は驚きと恐怖に包まれたが、同時に安堵も覚えた。彼は過去の罪を償い、新たなる人生が始まることを感じたのである。
墓場に立つ信司の姿は、静かな微笑とともに消えていった。それからというもの、町の人々は、廃墟となっていた墓場から新たな命が芽生える様子を目撃したという。
信司の功績は、後世に語り継がれることとなった。

