山深くにひっそり佇む、人里離れた村があった。その名を「人喰い村」と呼び、村人たちは他の村から遠ざかるよう警告していた。村には古くから伝わる呪われた伝説があり、夜な夜な誰かが消えるという恐ろしい噂が立ち込めていた。

ある日、旅の途中で迷い込んだ青年が人喰い村に辿り着いた。不気味な雰囲気に戸惑いながらも、彼は村をさまよい歩いていた。すると、突然森の中から異様な声が聞こえてきた。何度も呼ぶ声に導かれるように進んだ青年は、誰かの叫び声が聞こえた。

その声の主は一人の少女だった。彼女は恐る恐る、青年に村の秘密を明かした。人喰い村では、選ばれし者が一年に一度、村人に捧げられることになっていたのだ。そして、今夜がその日だというのだ。

躊躇する青年の前に、村の長老が姿を現した。長老は笑みを浮かべながら、青年に村に残るよう誘いかけた。彼は次の犠牲として捧げられる運命に抗うことはできないと告げた。

しかし、青年は固く首を横に振った。彼は決して村の犠牲にはならないと宣言した。その言葉に、少女も勇気づけられ、一緒に逃げ出すことを決意した。

2人は村を抜け出し、逃げ惑う。しかし、夜の闇が村を覆い尽くす中、村人たちはすでに2人の逃走を知っていた。恐ろしい豹変した村人たちが襲い掛かってきた。

絶体絶命の状況に立たされた2人だったが、青年は決死の覚悟で、少女を庇いながら村人たちと対峙した。悲鳴と血の匂いが立ちこめ、闇の中で青年の叫び声がかすかに響く。

やがて、村を取り巻く恐怖が去り、朝陽が昇ると、村には静寂が戻った。少女は目を覚まし、そこには血まみれになった青年が倒れていた。彼は全てを守る覚悟で、人喰い村との戦いに挑んだのだった。

少女は泣きながら彼の手を握りしめ、彼を村の外へ連れ出した。青年の命はなおも危うかったが、彼は少女の微笑みと共に、故郷へと旅立っていった。

人喰い村の呪いから解き放たれた2人の姿は、その後も語り継がれ、村の闇と勇気ある青年の物語は、後世まで語り継がれることになったのだった。