庭付き一戸建ての家を持ちました。
夢を膨らませ、頑張って買った家です。
春には可憐な花が咲くハナミズキ、夏には故郷の高松から持ち帰ったオリーブの葉がそよぐ庭を作りました。
煉瓦でガーデンシクラメンやクリスマスローズ、水仙などの小花を地植えするコーナーを作り、
夢だった姫高麗芝を、お小遣いを餌に手伝わせた子供たちと一緒に敷きました。
こまめに雑草を抜き、シルバーさんに消毒や伐採をお願いし、夏には水やり、秋には落ち葉掃除。
手をかけてきました。
だが、虫の嫌いな妻は庭の手入れを手伝おうとはしませんでした。
でも私は手入れするのが楽しみでした。
そして25年。
「お父さんが先に逝ったら私、庭の手入れができない」
そう友人に言っていたらしい妻は、5年の闘病のすえ、先に逝ってしまったのです。
もし彼女が残っていたら、きっとマンションへでも引っ越したでしょう、この庭があるので。
その5年の間に、何本もの木が枯れ、芝生は雑草に埋もれてしまいました。
私は庭の世話どころではなかったのです。
彼女が逝ってから4年。
木はシルバーさんが剪定してくれていますが、芝生や小花の咲く煉瓦の小園は荒れ地になったままです。
10年近くも放っておいたのですが、まだ、世話をしようという気持ちが生まれません。
娘との毎日の生活。その家事で精一杯です。
昨日庭に出たのですが、1m四方だけの雑草を抜き、暑さで逃げ出してしまいました。
結局、どっちが残ろうが、庭の草木には迷惑な話だったのです。