お母さん | 伴に歩んで

伴に歩んで

ガンと闘った老夫婦の人生日記です。

お母さん。

そう呼べる人は、僕にはあなたしかいません。

 

産んでくれたはずのお母さんはたった2枚の写真の中にいます。

だけど何にも覚えていません。

乳を飲んだ思い出も、抱いてもらった温もりも覚えていません。

何の思い出も、いや恋しい、憎いという感情さえありません。

今日は母の日。

世間の多くの人たちは母と過ごし、或いは思い出を懐かしみ、ありがとうと言い、贈り物をするようです。

でも僕はそんなことをしたことがありません。

、、、羨ましくもありませんでした。

ただ悔しかっただけです。

 

そして、38年前にやっとお母さんができました。

元気で可愛い男の子のお母さんとしてあなたが現れてくれました。

僕も息子と一緒に「お母さん」と呼べる嬉しさに浸りました。

ほしかったんです。

「お母さん」が。

それから30年。

あなたは僕の妻であり、妹であり、母親でもあり続けてくれました。

ありがとう。

それからは世間並みに、家族みんなで母の日を祝えるようになりました。

 

庭に咲いたピンクのバラを今朝、摘んでお供えしました。

あなたが大好きだったバラです。

カーネーションも買ってきました。

おかげで子供たちも孫たちも元気です。

あなたもきっと元気で、お義父さん、お義母さんたちと天国で暮らしていることでしょう

僕も元気に暮らしていますよ。

あの日から、僕たちは違う世界で暮らしているだけですよね。

いつか会えたら、、、、いいね。

 

本当は嫌いです。母の日は。

でも娘も我慢してます。

あのとき、いちばん泣いた子。

でも強い子に育ててくれました。

 

お母さん。

ありがとう。