3号で掲げる「発起人の報酬その他特別の利益」というのは、発起人が成立後の会社から受ける財産的利益をいいます。
報酬とその他特別の利益とは、どう違うのか。
報酬の方はいいですよね。
特別の利益とは、発起人の会社の功労に報いるために与えられる特別な財産上利益です。
この特別な財産上の利益というのは、比較的広く解されているようでして、通常の金銭的報酬ではなく、たとえば、会社が継続的に提供する諸々のサービスや優先配当権、残余財産分配優先権などです。
いずれにしても、発起人自身が受け取るものなのだから、自らその額を恣意的に決定するおそれを考え、変態設立事項とされたわけです。
法定の手続きを欠いたら、無効ということになります。
これに対して、設立費用とは、成立後の会社が負担する設立に関する費用を意味します。
具体的には、株式の募集広告費や事務所の賃借料等がそれに該当しますが、無制限な支出を許すと、会社の財産的基盤が害されるので、変態設立事項とされているわけです。
発起人が支払いをすませたのならば、定款で定め法定の手続きに従ったうえで、成立後の会社に求償することができます。
ただし、4号かっこ書にある法務省令で定めるもの(定款に係る印紙税、検査薬の報酬、登録免許税等)は、弊害が生ずるおそれがないため変態設立事項とはなりません。
ここで、有名な論点があります。設立費用の実額が定款記載額を超えていた、そして会社成立時までにその額の一部または全部が支払われていなかった場合、どうすべきかという点です。
これは、要するに、定款に設立費用200万円と書いたのだけれど、300万円使っちゃった、そのうえ、まだ全額支払いを済ませていないというような場合です。
この場合、オーバーした100万円について、債権者は会社成立後発起人に請求することになるのかということですが、判例はそうだと解しているようですね。
ではまた、次回(^^)/
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