風が吹き
砂がわたしを隠す
行き場をうしない
なみだに砂がはりつく
いつかあったあたたかい手も
優しい声もおだやかな夢も
まよいの果てに消えていた。
不思議と絶望はない
今はまよい続けるだけなのだと思う
かぜにさらわれる心
届きようもない思い。
かわいてゆく命。
けれどその時風の中に歌が聞こえた気がした。
かすかだが、たくさんの人の歌がわたしの耳に。
気のせい?
しかしそれは
次第に大きくなりわたしをつつんでいった。
みちびかれ、ふらふらしながら歩く道の先に、
さらにはっきりと沢山の人の歌が聴こえる。
風の迷路。
わたしは今そこを通りすぎ、
確かにうたに向かって歩いている。
その先に、たくさんの人が待っている。

