湯沢威「鉄道の誕生 イギリスから世界へ」(B6判、全300ページ、創元社2014年1月20日発行、定価2200円+税)
蒸気機関車がイギリスで開発され、鉄道システムとして世界へ広まっていく話なのだが、本書の前半は、イギリスにおいて、蒸気鉄道が求められる背景である、産業革命や蒸気機関の発達、生産・需要の増加と言った話が占めている。鉄道マニアからすれば、あまり関係のないような話であるが、輸送機関としての鉄道を考える上では欠かせない視点であり、渋い鉄道書と言える。
本書は、そう言った輸送の観点の他に、蒸気機関から鉄道システム成立までに関わった多数の人物を描いており、蒸気機関人物史としても読める作品となっている。