牧野俊介「達人が撮った鉄道黄金時代3軍機保護法下の汽車・軽便」(A4判、全208ページ、JTBパブリッシング2009年4月1日発行、定価7000円)
タイトルからすると、軍用列車をこっそり撮った写真のように思えるが、中身は昭和14年に制定された軍機保護法制定以降の、昭和13~15年頃に撮影された、関西から九州に掛けての蒸気機関車写真を集めたもの。地方鉄道のタンク機関車が多く、バリエーションの多さに驚かされる。
表紙には、「解説 湯口徹」とあり、中を見ると、写真のキャプチャと各鉄道に関する歴史や所有車両と言った紹介は湯口が書き、途中に挟まれている撮影の思い出は著者が書いたもののようだが、いずれも署名が記されていないのはいただけない。
戦争中の鉄道と言うと、宮脇俊三「時刻表昭和史」が思い浮かぶが、本書ではスパイ活動とも取られかねない鉄道撮影をしているのだから、その苦労は並大抵のものではない。ただ、アメリカと開戦するまでは、割合と鉄道の現場は穏やかだったようで、機関車を前に職員が並んでの記念写真なども掲載されている。その後、ミッドウェイ海戦もあり、軍機が厳しくなってきて、車庫に入れなくなる一方で、そもそも写真撮影の資材が入手できないということで撮影ができなくなったというのも、この時代を表しているエピソードと言える。