この夏に、JR千葉支社から、パワフル×スマイル千葉フリーパスという、JRだけでなく、銚子電鉄、小湊鐵道、いすみ鉄道までもが乗り放題との切符が発売されており、それで旅行したいと思ってたのだが、夏休み前半の第一期の発売時期には仕事の追い込みと重なってしまい、行けず仕舞いとなってしまった。
八月の下旬に入り、第二期の発売に併せて、ようやく旅立つことが出来たのだが、あいにくと土日は塞がってしまってるため、平日に夏休みをとっての旅行となった。
まずは蘇我駅に行って、フリーパスの購入。事前の案内で、みどりの窓口だけでなく、えきねっと用券売機でも買えることは分かっており、その窓口も空席を求める人が腰を据えてしまっているので、予定通り券売機で購入する。普通の切符と違って、期間限定のもののため、面倒な操作が必要なのでは、と思っていたのだが、トップの画面に「おトクなきっぷ」とのボタンがあり、それを押したら、すぐに千葉フリーパスのボタンが出てきた。液晶タッチパネルの画面ならではで、券売機もIT化が進んでいるのだなあ、と感心する一方で、一昔前だったら、赤い常備券だったろうなあ、と思うと物足りなくもある。
フリー切符本体は、定期券と同じサイズだが、それと一緒に横長の案内が記されたものや、アンケートなども発券される。これまた、常備券なら、裏面に書かれたものを、と思う。
大きさからして、自動改札を通れるのだろうが、念のために改札に行って、駅員に切符を見せる。予想通り「自動改札を通れますよ」と言われたのだが、「スタンプを押してください」と言うと、すんなりと押してくれた。やはり旅立ちは、自動改札より有人改札の方が雰囲気があって良い。
まずは成東行きの始発に乗ろうと千葉へ向かおうとするのだが、構内放送で、総武快速線は遅れているとのこと。天気予報で、関東地方は大荒れと言っていたのが旅行の前から気がかりだったのだが、千葉の天気を見ると曇りとあったので出立を決めたのだが、しょっぱなから出鼻を挫かれた感じ。
まあ、乗る予定の11時45分発の列車は各駅停車だったので影響は無く千葉に到着し、向かいに停車している11時55分発の成東行き209系に乗車する。平日の昼間だと言うのに、夏休みのためか立ち客も多い状況で、なんとかボックスシートの隅っこの、進行逆の席を確保する。
出発時刻となったのだが、車内放送があり、遅れている総武快速線下りを待っての発車とのこと。数分して、ようやく出発となった。
千葉から大網までは、浪人生時代に通い慣れた区間で、沿線の様子はあまり変わっていない。沿岸から離れた小高い場所を走るためか、林を切り開いたような光景が続く。
大網駅が近づいたところで、前方に右へカーブする線路に合わせて折れ曲がっている本線のホームを見ながら、列車はまっすぐ走って東金線が出ている3、4番線へ。途中の土気で出発から半分ぐらいになった客はさらに半分になり、ボックス席に一人、と言った状況。「咳をしても一人」の句が、頭をよぎる。
東金線には、中学生の頃に完乗目当てで乗ったことはあるが、千葉からの直通列車に乗るのはこれが初めて。大網で進行方向が変わるのだろうと座る向きを変えたら、列車はそのままの方向で走っていった。地元の路線だと言うのに、利用しないものには詳しくないというのはよろしくない。さらに言えば、大網駅は父親がJR社員として退職まで駅長を務めた駅でもあるのだった。
東金線の沿線はいかにもベッドタウンと言ったところで、駅の近くには、新しい住宅が並ぶものの、商店街など、生活を感じさせるものはあまりなし。やはり買い物は、乗用車を使っているのだろうか。
成東駅の0番線に到着。列車が遅れてるとの放送があり、3番線に向かい、本来は12時44分に発車するはずの列車の姿は無く、ようやく12時57分になって211系が到着したのだが、列車待ち合わせということでさらに待たされる。しばらくして、特急列車がやってきてから、13時8分にようやく出発となった。銚子駅で9分間で乗り換えの列車には間に合わないことは確実で、予定では外川まで2往復するつもりだったのを1往復にするか、などと考える。まあ、車内放送によると、遅れの原因は新小岩での人身事故のためだそうで、天候悪化ではないのがせめてもの救い。
総武本線も末端区間ということで、とても東京~千葉間と同じ路線名が付いているとは信じられないほどの光景。
途中、横芝駅に到着。子供の頃は、家族でここのプールに何度か来たなあ、と思い出す。その駅には、複線化や横芝鉄道の延伸をアピールする派手な看板があるのだが、辺りの、のんびりとした駅前風景からは浮いている感じ。
ここ以外にも、どこの駅もいかにも田舎と言った感じで、猿田駅などは、盛夏の下、生い茂った草木がホームになだれ込むほどになっていた。
ようやく銚子駅に到着。車内放送では、次の銚子電鉄は14時5分発とのことなので、降りたホームを太平洋方面へ歩いて銚子電鉄のホームへ。平日だと言うのに、観光客らしき姿が多く、夏休み中の子供よりかは、大人の方が多い感じ。
青をベースにした桃太郎電鉄ラッピングのデハ1001は立ち客も多いものの、幸いと、運転席右後ろの、一人がけのロングシート(という言葉は正しいのだろうか?)に座って先頭を眺める。
車内には、鉄道むすめシリーズの外川つくしのポスターがあり、他の鉄道マニアと肩を並べて写真に納める。
ドアが閉まり、運転士がハンドルを捻って1両編成の電車が走り出す。
成長した草木が電車をかすめそうになる中を走って、短い区間を一駅一駅停車していく。
途中、ここまでのタブレットと外川までのスタフを交換する笠上黒生駅に停車する。しばらくして、向かいからやってきたのは、元京王電鉄の2両編成の電車だった。この駅、いつもだったら、1両の電車が互いに先頭部分の位置を合わせ、その間に駅員が立ってタブレットとスタフを交換するのだが、向こうは2両と長く位置が合わず、駅員が運転席まで、あちらの車両から受け取ったスタフを持ってきた。
タブレット交換に先だって、乗っていた車掌が列車を降りて、反対側のホームへと向かった。どうやら、車掌業務はここで折り返しのようだ。
さらに走って、犬吠などの観光名所で客を降ろしていき、少ない人数になったところで、終点の外川へと到着。時刻表を見ると、折り返しの列車にはまだ時間があるので、駅の構内を見ていたら、CDK・2DAYコマワリ手形という、二日間有効のフリー切符の案内があり、イラストの外川つくしと、「銚子電鉄全線乗車証明書発行」の文字に惹かれて購入する。値段は1000円と、今日使っている千葉フリーパスに比べれば、ずいぶんと割高な気もするが、千葉フリーパスの方は、売れても大した額は銚子電鉄などには向かわないのだろうから、まあ乗せてもらったお礼みたいなものか。
木で組まれた窓口で、コマワリ切符を、と言うと、外川つくしの萌えイラストからはほど遠い、葛飾北斎の春画の方が合いそうな、おじいさんの駅員が日付などのスタンプを押して発券してくれた。日付の他に、切符に記されてる路線図の外川駅の所と、右下の「銚子電鉄全線乗車証明書発行」欄に丸で囲まれた「済」の赤印が押されており、切符と一緒に、証明書を渡された。色合いや路線図が書かれているところなどは切符本体とあまり変わりが無く、違いと言えば、イラストの外川つくしが切符では夏服なのが、こちらは冬服になっているぐらいか。まあ、ごく一部のマニアにとっては大きな違いなのかもしれないが。
さっきからホームに停車したままの折り返しの列車に座る。こちらも、運転席右後ろの一人掛けロングシートに座る。
発車の時間となったのだが、運転手はやってこず、帽子をかぶったそれらしき人が、後ろの方の運転席でドアの開閉作業をやっている。いったんドアが閉まったかと思ったら、ホームに立つ駅員が、笛を短く何度か鳴らすのに合わせて、ドアが再び開かれ、家族連れの乗客が慌てて飛び乗ってきた。運転手が後ろの方にいたのは、そういう客を確認するためのようだ。ここは、「駆け込み乗車はご遠慮ください」の車内放送とは無縁の世界のようだ。
外川14時41分発で折り返し、再び笠上黒生駅へ。タブレットが渡されるのと合わせて、さっき下車していった車掌も乗り込んでくる。この車掌、だいぶ大きな体つきをしている。以前、運転手と車掌は、同じ職場ということで同じ食事を食べる一方で、車内を歩き回る車掌に比べて、座りっぱなしの運転手の方が太りがち、との話を読んだことがあるが、この車掌については、そんなことは無いようだ。濡れ煎餅でもこっそり食べているのだろうか。
その笠上黒生駅の脇には、以前、トロッコ列車として走っていた澪つくし号が停留されていた。これには以前乗ったことがあり、海風が走行と共に当たってくるのに心地よさを感じたのだが、終点で車両後部に付け換えたりする手間の割には乗客誘致に貢献していないと判断されたのか、いつの間にか運用されなくなっていた。以前は外川駅の線路終端間際にいたのだが、ここに移動されていたとは。雰囲気からして、このまま取り壊しになってしまいそうで、ちょっと心配。
変更した第二プランでは、観音駅で下車して、鯛焼きを食べるつもりだったのだが、いざ降りようとすると、改札外にある売店は明かりが消えていて、「木曜定休」の張り紙があった。呆然としながら列車に乗り続け、隣の仲ノ町駅で下車する。この駅には車庫があり、入場券を買えば見学できるとなっているのだが、外川駅で買ったコマワリ手形には「仲ノ町車庫見学入場無料」との項目があり、窓口の駅員にそれを見せて車庫の見学をしたいと言うと、外川駅と同じく「済」の印を押され、車庫までの道順を案内された。
車庫は以前も立ち寄ったことがあり、名物の小型電気機関車デキ3が鎮座しているのだが、以前は黒一色だった塗装が、クリーム色と朱色に塗り換えられている。こっちが元来の塗装だったのだろうか。この電気機関車、ドイツ製とうことで、日本と違って派手なカラーだった可能性はある。そういう説明が無いのは、やや不親切。
次の上り列車まではまだ時間があるので、濡れ煎餅売ってますの文字がある、駅事務室へと入って、揚げ煎餅と濡れ煎餅を購入する。ついでに、何か面白そうなものはないかと、無遠慮に事務室内を見回すと、銚子電鉄の社是を示す三箇条の綱領があったので、写真に納める。ただ、後になって写真を見てみると、蛍光灯の明かりが反射して肝心の文字が見えなくなってしまっている。その場で確認できるデジカメなのだから、きちんと確認すれば良かったのだが、買ったばかりでGPSとかの新機能ばかりに目がいってしまっているため、一番大事なことをおろそかにしてしまっていてよろしくない。
狭い待合室の木で作られた椅子に座り、改札脇の小さな本箱に「鉄子の旅」や「IKKI」があるのを目にしながら、ポメラでここまでの日記を書いているうちに、次の上り列車がやってくるとの案内があり、慌てて乗車する。乗ったのは、さっき見かけた2両編成の列車で、太った車掌の他に、女性車掌も乗車していた。やはり2両編成だと、いろいろと大変なようだ。
一つ隣の終点、銚子駅に到着。当初の予定より早めに銚子電鉄散策を終えてしまい、次の千葉行きを見ると、15時49分発があったので、それに乗車する。予定では、特急列車で千葉までまっすぐ向かうつもりだったのだが、特急の発車はまだ1時間以上先だったので、次回以降に見合わせる。それに、乗るのだったら、できれば、始発の東京から終点の銚子まで乗り通したいところ。
千葉行きの列車は、来た時と同じく成東経由のため、車窓は眺めずに、ポメラでここまでの日記を書く。
蘇我に戻って家に帰る前に、近くのスーパーに立ち寄って、毎週木曜日に出店している出店で鯛焼きを買う。家で食べつつ、観音駅の鯛焼き屋は木曜日が休みで、近くのスーパーの出店は木曜日のみ出店というのは、何か資本提携なり、鯛焼きホールディング的なものでもあるのか、と鯛焼きを食べつつ思ったりする。