山之内秀一郎「JRはなぜ変われたか」(B6判、全288ページ、毎日新聞社2008年2月20日発行 定価1700円)
JR発足当時、JR東日本の副社長となった著者が、JR発足以降を振り返って、どのようにして民間企業化後も残っていた国鉄体質を改善していったか、という話がメイン。本書で語られる著者の行動を見ていると、民営化することが必ずしもサービス向上に結びつくのではなく、民営化以降、どのような努力をするかによって、その結果も違ってくるのだ、ということを教えてくれており、単なる民営化バラ色論とは違ったものとなっている。
著者は技術系であることもあり、話としては技術的なことが多い。寿命半分、コスト半分、重さ半分の209系を作る際には、車両の運用サイクルを短くすることで、最新技術を常に取り込めるようにしていくことを考えていた、などというのは、当時の新聞にはあまり出なかった話。
ただ、トップということで、現場における意識改革について触れられる箇所は少ない。せいぜい、国鉄時代と違って、お客様対応の悪い社員に関しては配置換えをした、と書かれている程度で、現場の勤務評定方法などについて触れて欲しいところ。もっと現場に近い人事関係の人が書くことが望ましいのだが、そうなると著者のネームバリューが落ちて書籍としての売れ行きに繋がらないのが問題か。