皆様超お久しぶりです。ライです。
随分と期間をあけてしまいました。
今回は心機一転、新コーナーとして、
現在Twitterにて不定期に論文購読をしていくツイキャスを
ツイキャス
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さて、現在レオパの飼育において、餌として主に用いられているのはコオロギであり、反対にミルワームは脂質が高く、カルシウム効率が悪いため、レオパの餌として適さないというのが日本における定例となっています。
ただ、より飼育の歴史が長い海外ではミルワームを主食として用いており、正解が分からなくなってきています。
今回紹介する論文は、レオパのベビーにミルワーム、コオロギ、その両方を与え、その成長具合を比較する内容となっています。飽くまでもベビーでの結果ではありますが、主にブリーダーにとっては面白い内容となっていますので是非ご覧ください。
原文はリンクを貼っておきますので気になる方がいればご自身の目で確認してみてください。
まずはミルワームとコオロギの栄養バランスを比較してみよう。論文より図を引用する。
一般的に良く言われている通り、ミルワームはコオロギと比較してカルシウム含有率が低く半分程度であり、リン、脂質の含有率が高い傾向にある。
リンは骨の形成に不可欠でありながら、濃度が高すぎるとカルシウムの吸収を阻害するため、バランスが求められる。
また、ミルワームのみを与えて育った別種のトカゲ類では、腸の詰まりによる合併症で死亡するケースもあったとのこと。
以上のことから、著者はミルワームとコオロギの両方を与えた個体の成長率が最も優位に成長すると仮説を立てた。
次に本実験方法について説明する。
二つの事業所から生後3週間のレオパ15匹仕入れ、それらを、ミルワームのみ、コオロギのみ、その両方を与える条件下でそれぞれ5匹ずつ飼育した。各エサはビタミン剤の添加されたカルシウムパウダーを添加した。
給餌頻度は一日置きでm最初の50日は0.4g、以降は120日まで0.6gを与え、30日毎に体重を測定した。
結果は以下のとおりとなった。論文より図を引用。
図は各条件下で飼育した個体の体重をプロットしている。
60日目からミルワームの成長率が頭一つ抜け始め、最終的に120日目までにコオロギを与えた個体群と比較して1.3倍以上の差が出た。
また、体格面に関してもミルワームのみを与えた個体は、頭幅、頭長、尾幅が他の条件と比較して優位な結果が得ら、著者の仮説は否定された。
以上のことから著者はレオパの成長にはミルワームに豊富に含まれる脂質が成長に優位に働くと考察した。脂質そのものが成長に有効であったか、もしくはそもそも脂質(9㎉/g)はタンパク質、炭水化物(4㎉/g)より得られるエネルギーが多く、単純にハイカロリーを接種した個体は大きく育つであろうと結論付けた。
個人的な見解
今回の結果を見るに、ハイカロリーを要求される個体には積極的にミルワームを取り入れていってもいいと感じられる。具体的にはベビー、抱卵中のメス、衰弱した個体の立ち上げ等の効率の良いエネルギー源としての運用がベストだろう。
しかし、論文にも言及されていることだが、レオパは性成熟すると成長が著しく遅くなることが知られている為、中途半端にミルワームを与えると早期に性成熟が進んでしまい、身体の成長が追いつかなくなる可能性が考えられる。私もこの論文を読む以前からミルワームを用いたベビーの飼育をしていており、4カ月を目安にコオロギ切り替えたが、ミルワームが性成熟を早めるのならこの切り替えは誤った飼育法であったと考えられる。事実、コオロギに切り替え以降は成長率が下がり、中途半端な大きさの個体が度々見られた。
そもそも海外ブリーダーはミルワームを主食として用いていることも多く、一年に満たない個体で繁殖させている。ミルワームが性成熟を早めるならそれをする理由にも合点がいく。
ミルワームをベビーの餌として使うのであれば、アダルトと遜色のないサイズまでは一貫してミルワームを与え続け、早い内に身体を完成させるべきであろう。成長を早めることで、生まれたての最も弱い時期を早々に乗り越えられるメリットもあり、置き餌としての適正も高いため、上手く付き合うことができればブリーダーにとって非常に心強い餌として使うことができるだろう。
この論文の問題点
最後にこの論文に対して問題点の指摘をしようと思う。
まず、この論文で用いられた15体の個体の出所だが、二つの事業所から仕入れたこと以外の情報がない。
本来比較するのであれば個体差による誤差を防ぐ為に可能な限り遺伝子情報が近い個体を用いるべき(クローンが理想)であるが、本実験で用いられた個体にはその様な情報はない。
その為、今回の結果で得られた成長率の差は個体差によるものであることを否定しきることが私にはできない。
また、用いられた個体数自体が少なすぎるのも問題だ。各条件で5体ずつというのは各個体間でのズレが大きくなるだろう。そういった情報を信頼しきるのは危険であると考える。
以上となります。ここまでご覧頂きありがとうございます。
今回はミルワームとコオロギをレオパのベビーに与えた際の成長率
上述した通り、この実験はサンプル個体の出所が不明である点、
今後もツイキャス及びブログにて読んだ論文の要約を行っていくつ
それでは本日はここまで。
おやすみなさい、良い夢を