大便も尿も 薬を使っていても

出なくて心配をするくらいだったので

オムツ替えの苦労はあまりなく

介護としては楽な方だったのかもしれませんが


その分 食べさせること

とろみを付けた嚥下食が好きではないのと

呑み込みが下手で 食べると苦しくなるので

生きていくのに最低限必要な栄養も水分も

取れない事

夜寝れない事が 大変でした。


父も夜眠れないのか 眠りが浅いのか

昼間は食べてしばらくは痰に苦しんでも

そのうち寝てしまう事が多かったのですが


夜になるとスイッチが入ったように

痰が出たと呼ぶので

痰をティッシュで拭いてあげるのですが


痰が絡んで取れないのか何度も呼ばれます。


夜中の3時過ぎまで 遅い時は4時過ぎまで

寝たかと思って布団に入り

うとうとした頃また呼ばれ…を繰り返します。


妹が泊まる時は 

妹は命を預かる仕事なので

睡眠不足にならないように

父とは別の部屋で寝ていましたので

夜は母が1人で世話をしていました。


私が泊まる時は

父のベッドの横に布団を敷いて眠る母の隣に

私の布団を敷いて寝ていたので

妹より泊まる日が少ない分だけ

少しでも母を寝かせてあげようと

父の声が少しでも聞こえたら

母が目をさます前に 動いてたつもりです。

睡眠時間が少なくても わりと平気な方ですが

頻繁すぎて 私でも辛く感じました。

ただ私は日中 少しくらいボーっとしていても

昼休み机の上で突伏して大イビキで爆睡しても

義母が笑って応援してくれたので助かりました。


点滴では妹と看護師さんに感謝でしたが

ここでも看護師の妹は心強い存在で

父の痰のせいで眠れないと知った妹は

ケアマネージャーさんにお願いして

痰を取る機械をレンタルしてもらいました。


最初に機械で痰を取られた父は

苦しくて大暴れして

『お前は オレを殺す気か!💢』

といつもなら出ないくらいの声で

怒ったそうです。


それでも 妹の『母さんが倒れちゃうよ』

が効いたのか…

取る時はすごく苦しいらしいですが

取ると朝まで寝られるそうで苦しいけど

取れば自分も母も楽に寝られると気づいたのか

痰を取ると言われても

『お母さんの為に』と言って

抵抗しなくなったそうです。


父が機械で痰を取る様子が苦しそうなので

母は寝れそうな程度のときは言わず

父が酷そうな時だけ妹に頼んでいたそうです。


痰に苦労しない夜は

今度は病院にいる時からある床ずれが痛いのか

動けないので 時々脚を上げ下げしたりして

私も妹も動かすようにしているのですが

『少しだけ横向きたい』『ベッド動かしてくれ』

『脚を動かして』『脚をマッサージして』と

いいます。

後で妹に聞いた話では動けないから

身体が硬直しようとするので痛いのだとか。

母は できるだけ聞くようにはしているものの

痰で呼ばれると 詰まらせて死んでは嫌なので

無理でも頑張って起きていたけど

若い時と違い 力もなく体力もないので

あまりに頻繁で辛い時は 寝たふりをすると 

父は仕方なくなのか黙っていたそうです


私が泊まる日は 私は父に

『今日は(妹)ちゃんがいないから

 痰は取れないけど 私が拭くから言って。

 あと、今日は おむつ替えも着替えも

 母さんと私の『要領の悪い2人組』だから

 いつもよりモタモタして時間かかるけど

 覚悟して大目に見てね。

 そのかわり 力と体力は(妹)ちゃんに

 負けないから いくらでもマッサージも

 脚動かすリハビリもしてあげるからね』

と 毎回言っていました。


看護師の妹は その時々で 経験を踏まえて

自分ができる最善なことを探して

父を支える事ができるけど

私が妹よりできるのはマッサージしたり

足等を動かすリハビリをするような

力仕事 体力仕事だけ…

だから その頃から父が亡くなるまで

同じようにずっと伝えていました。


毎日父の横に寝ていた母が不満を言わないので

私も何もいえませんでしたけど

正直 週に2 3回とはいえ 4時頃まで

寝たのか寝ていないのかわからないくらい

起きているのは楽なことではなく

内心は本当に辛かったです。


ただ 私は辛くても

少しでも父と母の役に立っているのであればと

思っていました。


これはもう少し後の話ですが

正月前に家に居た時ではなく

年末年始入院して退院してきた後

亡くなる少し前の事でした。

夜中 脚を揉んでいると小さく名前を呼ぶので

『何?』

と父の近くに行くと 父が小さい声で

『夜中 お母さん大変だから

(私)ちゃん もう少し泊まってくれないか』

と言ったことがありました。

『わかったよ』と言うと

父がニコッとしたので私もニコッとして 

また脚を揉み 揉みながら涙が出ました。


母には特に 我が儘を言ってしまってる父


もう少し我慢すればいいのに

そしたら母は 寝られるのにと思ってたけど

父は父なりに我慢していたのかもしれないし

起こしてしまい 母が眠れていないことも

申し訳なく思っていたのかもしれません。


私も実家で父の介護をしている間

夜しっかり寝ることが出来ない辛さが

ずっとありましたが

父は父で 寝かせてあげたいと思っているのに

起こさずにはいられない程の苦しさと

たたかっていたのかもしれません。