実家の母からLINEが来て

父が かかりつけ医の検査で引っかかって

大きい病院で検査をしてきたって。


…で 今度 検査結果を聞きに行くとき

同行してほしいと お願いされた。


実は妹は看護師なので

妹に頼んだらしいのだけど

そんなに急に勤務は変えられないからって

無理だったらしい。


確かに 同じ説明を聞いても

妹なら直ぐに理解するだろうけど

私じゃ そうはいかない。

心細い両親の気休め程度にはなるかなぁ…


いつもは事後報告で

父の胃のポリープを取った時も

後で「実はポリープ取ったんだよ」と

聞かされた。

言ってくれればいいのに…

それなのに 今回は話してくれて

検査結果を聞きに行くのに付き合ってって…

逆に 正直 嫌な予感しかしない。


検査結果は今度聞きに行くけれど

2センチちょっとの物ができているのは

間違いないらしく

検査しないと ハッキリと言えないが

生活状況等を合わせて考えても

ほぼ間違いなく癌だろうと言われたらしい。



どうしているか心配で様子を見に行ったら

父は公園の草むしりに行って留守だった。


以前は老人会の誘いも断ってた父は

今では率先して地域活動に参加し

除草の日 ゴミ拾いの日でなくても暇潰しに

公園や無人の駅の周辺 公民館の周辺の

草をむしったり ゴミを拾ったりしている。

地域から頼まれて 

朝から地域の子供達の登下校の見守もしてる。

癖の強い頑固な父は 歳をとって丸くなり

地域で頼られる存在の人になっている。


「気が紛れるのだろうけど 無理しすぎる」

と 母は嘆いていた。

「癌だったら お父さんには手術して

 元気になって長生きしてほしいのに

 もし癌でも手術しないで 放射線とか

 薬物とかでって思ってるみたいだし…」

「それで 大丈夫なの?」

「わからない」

「お父さん 案外手術とか怖い人だもんね。

 気持ちで病気になりそうだし」


わからない私には2センチの癌は

そんなに小さくないように思える。

だから もし本当に父が手術しないと

言い出したら最初なんて言えばいいのだろう


考えててもわからないので

妹にラインした。


2センチちょっとのがある事 多分癌だろう事

父が手術しない選択をするかもって事を

伝えると 妹からの返信は



まずはきちんと状態を話きいてきて。


手術する人の方が多いし 手術後化学療法を

する人もいる。

転移がないなら 手術した方がいいが

血糖値が高いので治りは悪く合併症が心配。


もし転移があるなら お父さんの好きなように

させてあげたらいい。


もし転移があるなら 好きなようにって…

それ読んだだけで 涙が出てきた。


うちの家族は仲良くて 独身の頃は

世界一仲良しなんじゃないかって思ってた。


だから 妹の淡々としたLINEに 寂しさ…

っていうか なんとなく冷たさを感じた。


以前妹は言っていた。

看護現場は生死を目の前にした現実世界で

加えて病院は経営していくために

利益を求めるから 想像してた聖地じゃない。

患者さんや家族の気持ちに寄り添いたいって

看護師になったのに

憧れていた 自分が そうなりたかった

優しいナイチンゲールでばかりいられない

自分の気持ちだけで動けない。



妹は大きな総合病院で働き役職もついて

ベテランの看護師になってる。

だから こんなに 淡々としたLINEを

返せるのかなぁ…とも思った。


夫にも話をしたけど

夫はどう思って聞いていたんだろう


まだ癌と決まったわけじゃないけど

うちの父 

地域のために奉仕してるようないい人だよ。


昔の職業病もあるのか腰が曲がって

歳より老けて見えるようになった母を

「可愛い」と「仕事のせいで腰が曲がって

 そこまで頑張らせて申し訳ないし愛おしい」

と言う

長女が心の頼りにする愛妻家だよ。


なんにも悪いことしてないのに

なんにも償わなきゃいけないことしてないのに

癌だったら…


改めて 

癌だったことで華恵さんが償ってると言い

ずっと華恵さんを守り続けてきたかのような

夫を思い出し腹立たしさを感じた。


病気は どんな人でもなる。

本当に神様仏様はいるのかって思うくらい

誰でも…。


私は癌についても無知で 正直よくわからない

今度妹に聞いて わかるまで教えてもらおう😊

そう思ったとき 気がついた。


妹のLINEの返信が 淡々としていて

冷たいように感じて

妹は病院で働いているうちに 死について

何も感じなくなったようにも思えたけど

きっとそうじゃないんだ。


何もわからない私達と違って

妹は父の病状の説明を聞けば

先の先まで分かるだろう

治療をしている様子を見れば

薬の内容 量によって分かることも多いし

時には 知りたくない現実を知ることも

持ち続けたい希望を奪われることもあるだろう

医師 看護師 薬剤師 医療関係者は

身内が病気になった時 知識がある分だけ

無知な私達より苦しいことが多いのかも。


以前 祖母が入院していた時

だんだん弱っていって辛そうで

見舞に行くたび涙が出そうになるのを

我慢できなかった私に

『ばあちゃんが 苦しそうに見えても

 ばあちゃんの前で絶対泣いちゃダメだから』

って妹はいった。

元々 家族思いの妹だから

淡々と普通で居ることだけで精一杯なのかも。


今は 父が癌でない事 

もしそうでも転移がない事

無事に治療を終えて早く父が元気になるように

祈るだけです。