雄輔と名乗った青年は、今年から入った新人だった。
『荷物、お部屋まで運びますね』
旅館の人数人が、手分けして荷物を運ぶ。
「雄輔君っていうんだ~?」
「ねぇねぇ、いくつ?」
女性陣に囲まれて質問攻め。
それでも雄輔君は、仕事をしながらも笑顔で受け答えしている。
上地雄輔君。
顔良し、スタイル良し、性格良し。
更に笑顔が幼く、可愛い。
となれば…今年のターゲットはおそらく彼だ。
「雄輔君、けっこういい体してるよねぇ~。何かやってた?」
『学生時代に野球を…』
「そっかぁ~。」
『え?あの…』
「わっ、筋肉すごぉ~い♪」
『ちょ…あのっ…』
「腹筋割れてたりする~?」
『いや、そこまでは…』
2人の女性に体をベタベタと触られて、雄輔君は少し困惑気味。
それでも2人はお構い無し。
(早速始まった…)
「お尻もキュッと引き締まっててさぁ~…♪」
『!?』
お尻まで触られて、雄輔君顔が真っ赤…
『し…失礼しますッ!!』
堪えきれなくなったのか、その場から逃げ出してしまった。
「ちっ…逃げられたか。」
「可愛い~ww」
『仁美、史香。あんた達ねぇ…』
「透子も混ざる?」
『……。』
彼女達は、私と同期の2人。
年に一度の社員旅行の時、彼女達は…爆発する。
毎年ターゲットを見つけては、セクハラ紛いなことを…。
日頃のストレス発散といったとこだろうか?
ちなみに昨年のターゲットは…
「あ、野久保く~ん♪」
「……っ!!」
「相変わらず可愛いねぇ~ww」
「ど、どうも…失礼しますっ;」
彼は野久保直樹君。
昨年の出来事を思い出したのか、彼もまたそそくさと立ち去ってしまった。
「あらら…逃げたよ。」
(そりゃ逃げるって…)
「…あ、つるのく~ん♪」
「皆さんいらっしゃい。やっぱり今年も来られたんですね。」
彼は初代のターゲット、つるの剛士君。
あの頃は初々しかった反応も、今では…
「相変わらず可愛いお尻しちゃって~…ww」
「いやんっ、えっちぃ♪」
お尻を触られてもこの反応。
「それではごゆっくり~♪」
「ん~…反応イマイチだゎ。」
「さすがに慣れたか。」
(そりゃ慣れるって…毎年だもん)
ターゲットは毎年変わる。
今年のターゲットは…雄輔君。
(彼…大丈夫かしら?)
なんとなく押しに弱そうに見えた彼を、私は少し心配していた…。
-つづく-