サクラ咲クトキ…《第6話》 | 雷♪のまとまりない日記♪

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3人の撮影は順調に進んでいた。

長期の撮影といっても、ずっとこの場所に留まるわけにはいかない。

その為この場所と東京を、行ったり着たりの繰り返し。



「はなちゃーんっ♪」

『今日は直樹だけか?』

「うん。」


毎回3人が一緒というわけではなかった。

この日、上地とつるのは別の仕事。

今日は野久保1人だけが撮影に来ていた。


「これ、一緒に食べない?」

『それは何じゃ?』

「チョコレートだよ♪」


甘くて美味しいんだよと言って、箱ごとはなに差し出した。

はなはそこから一粒手に取ると、しばらく眺めてから口に入れた。


『!!』

「ね?美味しいでしょ?」


それから2人は木の側に座って、のんびりとチョコを味わっていた。



「はなちゃんってさ、人間には姿が見えないんだよね?」


野久保はずっと疑問に思っていた事を口にした。


「でもなんで…僕らには見えるの?」


最後の一粒のチョコを口の中に放り込むと、はなはゆっくり話し始めた。



『昔から、大人には見えていなかった。でも…子供達には見えておった。』



それはきっと、子供達の心が純粋だったから…。

小さな子供達はもちろん、時には10代後半で見えていた人間も稀にいたという。



『でもいつからか…子供達にも見えなくなっていた。』



時代や環境が変わってしまったせいか、今では子供達ですら見えていないのだ。



『だから3人は…バカが付くほど純粋なんじゃろうな。』



はなが笑って言うと、野久保もつられて笑顔になった。












それから何日かが過ぎ、撮影もいよいよ終盤。

この日は羞恥心の3人とも揃って撮影に入っていた。


「休憩入りまーすっ!!」


3人はいつものように、はながいる桜の木がある広場へと向かっていた。



「…ん?」

「何だか騒がしいですね?」

「何かあったのか…?」


いつもは人がいない広場に、今日はたくさんの人が集まっていた。


3人が駆け寄ると、その人だかりは地元の人達だった。



「おっちゃん、何かあったの?」


何度も訪れている間に、親しくなった人達もいた。

上地は人だかりの中にいたその内の1人に話を聞いてみた。


「あぁ、君達か。実は…」


「反対ーッ!!」

「今すぐここから出て行けぇーッ!!」



大きな声で叫ぶ住民達。

人だかりの奥には、作業着姿の人達が数名。

スーツ姿の男性が先頭に立ち、住民側と話をしている。



「いったい何があったの?」

「…随分前からあった話だ。」



昔はこの広場に、小学校が建っていた。

しかしそれは火事で焼けてしまい、崩れてしまった。


「でも今、もう一度この場所に学校を建てようという話が出てるんだ。」


「いいんじゃないの?ここ広いし…。」



学校を建てる話は、住民側も賛成だった。

しかし1つだけ…反対する問題点があった。



「あの桜の木を…切らないといけないって言うんだ。」


「…え?」



広場の中央に咲き誇る、大きな大きな桜の木。

学校を建てるには、この桜の木が邪魔だというのだ…。





-つづく-