サクラ咲クトキ…《第5話》 | 雷♪のまとまりない日記♪

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「ところで君、名前何ていうの?」


上地が少女に訊ねると、少女は再び黙ってしまった。


「ないの?」

『……。』



「そりゃ困ったなぁー?」

「名前がないと、何て呼んだらいいか分かりませんもんねぇ?」

「え?」



上地が振り返ると、そこにはつるのと野久保がいた。


なかなか戻って来ない上地を探していたらしく、さっきの話も2人は聞いていたようだ。


「どうする?雄ちゃん?」


野久保が聞くと、上地は桜の木を見上げた。

そしてしばらくの沈黙の後…


「…はな。」

「花?」

「そう。桜の花だから、はなっ!!」


そう言うと、上地は笑顔で振り向いた。


「まぁ桜だからサクラって言わなかっただけでも…」

「ちゃんと考えた結果なんでしょうねぇ…;」


上地は少女の目の前まで来ると、


「よろしくな?はなっ!!」


『…はな?』


「そうっ。君の名前♪」



”はな”と名付けられた桜の精霊の少女。

この日3人は、はなと友達になった。












翌日、3人は午前中から撮影に入っていた。


「はなぁーッ!!」


『…雄輔?』


撮影が休憩に入ると、3人はすぐにはなの所へ行った。


「はなちゃん、おはよ♪」

『おはよう。直樹。』

「なんでお前ら…いつも走って行くんだよ…っ;」


上地と野久保に遅れて、つるのが少し息を切らして到着。


「なんか雄ちゃんにつられちゃって…」

『体力無いのぉ?つる兄。』

「う…っ;」



人間嫌いのはなが、3人の人間と友達になった。


しかし、彼女の性格は…天邪鬼。


『仕方が無いから、友達になってやるっ。』


突き放した言い方だが、本当は少し嬉しかった。

100年以上生きてきて出逢った…不思議な3人の人間。



「…ところでさ~、はな?」

『何じゃ?』

「なんでつる兄だけ”つる兄”なの?」


100歳を超えるはなから見れば、3人ともまだまだ子供。

上地と野久保の事は呼び捨てなのに対して、何故かつるのだけ違っていた。


『お前ら2人がそう呼んでいるじゃろぅ?』


2人の真似をして呼んでいる…ただそれだけだった。




「写真撮らねぇ?」


つるのが自分の携帯を取り出すと、上地と野久保も同じように自分の携帯を取り出した。


「はなちゃんも一緒に…」

『何じゃ?それは?』


3人が手に持つ携帯を、はなは不思議そうに見つめている。


「何って…携帯。」

『…けいたい?』

「はな知らねぇのっ!?」

『知らんっ。』


長く生きてはきたが、ずっと人間たちの事には興味が無かった。


「これからいろんな事、教えてやるよ♪」



大きな桜の木をバックに、4人は笑顔で写真を撮った…。





-つづく-