Yahooの雑誌記事より。

『最低のルールも守れない人/高山正之(ジャーナリスト)

Voice 5月 9日(土) 17時40分配信 / 国内 - 政治

この春の卒業式を前に、授業料滞納者には卒業証書を渡さないと島根・安来高校が保護者に通知した。
 ところが「一部の親から苦情を受けた外部団体が県に抗議」(『産経新聞』)して、県教委もモンスター・ペアレントには勝てない。授業料を払わない生徒にも証書を出した。
 民主党の輿石東の地元、山梨県の増穂高校でも授業料滞納者の卒業証書を学校が「預かり」にしてきたが、同じように告げ口する者が出て、『朝日新聞』が学校の対応を徹底非難する記事を載せた。増穂高校では生徒に恥をかかせないよう、卒業式も茶話会も通常どおり参加させたあと、証書を預けさせていたが、その温情も無駄になった。
 最低のルールも守れない者を卒業生として送り出せない、という学校側の思いは見事に踏みにじられた。

 北九州で61歳の父が自殺したのは役所が冷たく扱って生活保護を打ち切ったせいだ、と36歳の息子が1000万円の国家賠償請求訴訟を起こした。
 父は病弱で知人に「死んだほうがまし」と語っていた。役所が親身になって面倒見ていたら自殺はしなかったと息子は『朝日新聞』に語ったが、ではその息子が独り暮らしで病弱な父を長いあいだ、なぜ「親身になって」面倒を見なかったのかは明らかにしていない。

 上越市のカトリック教会で貧者のために食事を用意した。61歳のホームレスが来て、出されたメシがまずいと包丁を持ち出してイタリア人神父に切りつけた。
 ただ飯は弱者の権利だ。それなのにこのまずさは何だというのが動機だった。

 埼玉県で郵便物を盗んだ70歳老人の話があった。郵便局に郵袋を運ぶ作業中、出来心でゆうパック1包みを盗んだ。開けてみたら1600万円入っていて、びっくりして警察に出頭したという。ほんとうの悪人になりきれない。そういう日本人がまだいることが分かって、ちょっとホッとした。』


Yahooのトップページからたまたま見つけました。非常によい記事です。

マスコミは正義の味方のフリをするのが大好きです。何でもかんでも国や自治体、学校、病院…など公的機関を悪者にします。

学校の対応のどこが悪かったのでしょうか。市の対応のどこが悪かったのでしょうか。

学校の対応が悪いと言うのであれば、授業料を払う人間も払わない人間も平等に同じ扱いをしろということになります。そうであるならば、授業料を払う人間はバカをみます。授業料を払っている人間だって、苦しい生活の中、無理して何とか払っているかもしれない。逆に、少し努力すれば授業料を払えるのに払わない人間もいるかもしれない。

生活保護の話もしかり。どういう経緯があったかわからないのに、ただ表面的なことだけで役所を批判する。

そして、こういう理不尽な批判が現場を混乱させるだけでなく、視聴者(読者)に間違った印象を植え付ける。そして、何よりこういう理不尽な要求をする人間を増やし、世の中をダメにしている。真面目な人間は損をするばかりである。