裁判員制度が5月21日から始まる。

本当にこんな制度を始めるのかという思いである。

以下のような問題点があると思う。


①そもそもこの制度を導入するきっかけは、裁判官の判決が一般人の感覚とずれているというのが発端だったと思う。しかし、裁判は法律に基づいて行われるものである。判決が一般人の感覚とずれているなら、それは法律が一般人の感覚とずれているのではないか。


⇒法律の問題が裁判の問題にすりかえられている。



②この制度は、アメリカをモデルとしているが、そもそも日本人とアメリカ人は違う。協調性を重んじる日本人に、子供のときから自分を主張することに慣れているアメリカ人と同じ制度を導入してよいのか。


⇒一部の物言う裁判員に全員が流されてしまうのではないか。


③マスコミの問題もある。日本のマスコミは、事件の報道をする場合に、この人物が犯人だとの予断をもって報道することが多い。松本サリン事件や、最近では、香川県祖母孫殺害事件がそうである。

また、マスコミは事件を感情論で報道する。これだけの罪を犯したのに、量刑が軽すぎるのではないかと。しかし、日本は法治国家である以上、法律に基づいて裁かなければならない。果たして裁判員にそのような冷静な判断ができるのか。


これが最大の問題。おそらく裁判員の出す判決は、マスコミのお望みどおりの判決になるのではないか。裁判員が一般人である以上、マスコミ報道を無視することは困難である。しかし、マスコミは視聴者を引きつける報道の仕方しか考えておらず、真実は二の次である。そんなマスコミの報道に裁判員が影響を受ければ冤罪が増えるおそれがある。



本当に裁判員制度を導入するのであれば、マスコミ報道の規制を検討すべきである。その他にも検討すべき課題は山積である。人間の人生がかかっているのに、走りながら考えるようなやり方でいいのか。


今からでも凍結、延期を考えるべきである。