昨日ふらっと入ったムスリムレストランで美人店員に出会った話の続きです。


旅の途中でたいした服を持っていないので、せめての思いで髪を整え今日もてくてくレストランへ向かう。



重いドアを開け、グルッと店内を見回す。


あれ...



昨日の美人店員さんの姿はない。


まあ、これからだと仕切り直し窓側の眺めの良い席へ。

夕方だったためか店内は空いていた。



席についてほどなくすると奥から女性が注文をとりに来た。


期待を抱きながら顔を上げると、




..........




違う

昨日の女性じゃない。





まあ、まだ時間はあるさと

昨日と同じラグメンをムシャムシャ食べる。


食べながらキョロキョロ。




食べ終わってキョロキョロ。




食後のチャイ飲みながらキョロキョロ。




何分が経ったのだろう。

もう覚えてないや。




結局、イスラム美人店員は現れず。

今日は日曜だし休みだったんだ。
そうだ、絶対そうだ。
なんて自分に言い聞かせる。


しかし、明日はカザフスタンに移動するので彼女にはきっともう会えないだろう。



ウルムチ最後の思い出に彼女と写真を撮りたかった。
せめて名前だけでも知りたかった。

でも仕方ない。



またウルムチに来れるかもしれない。

このレストランのこと、決して忘れないでおこう。


そう胸に誓い、店を後にする。






その帰り道、

ティッシュ買わなきゃ~なんて考えながら地下道を歩いていると....





私の目の前を歩くスカーフを被った小さな女の子。


5才、6才くらいだろうか。



肩からティッシュがたくさん入ったカゴをぶら下げている。



ああ、物売りの子なんだな。





この子からティッシュを買おうと、


「ねえ、ティッシュちょうだい」と
彼女の肩をたたく。






振り返った女の子の顔は、







真っ黒。






きっと白いであろう小さな女の子の顔がすすで汚れて真っ黒に見える。





すかさず私は「2個くれる?」と2元=30円を差し出す。




すると女の子は

「2元は4個よ、ほら4個」

と4個取るよう私を促す。




1個0、5元というのは相場の価格だというのは承知の上。
だけど私は2個で2元をこの女の子にあげたかった。





「4個もいらないんだ、だからこの1元はとっておいて」






なんて言えなかったけど、笑顔でこれでいいんだというジェスチャーをする。



理解した彼女は



とびきりの笑顔で



「謝謝!!」



と言った。









その笑顔は、まるで天使だ。








私の心はフワーっと暖かくなる。



しかしそれは一瞬。




次の瞬間には、彼女の未来を想像する。





そして、考える。

街には乞食が溢れている。



ただ地べたに座り金をせびる。


私はいくらばかりか彼らに差し出そうかといつも迷ったあげく、



素通りする。






しかし、小さな子供がその小さな体には大きすぎるカゴをぶら下げて物売りをしている姿を見た瞬間、

何かしてあげなくてはと、


自然に手を差し伸べる。





両者の違いは明らかだ。






今の私にはこのくらいしかできることはないけど、



彼女の明日が未来が、

これからもティッシュ売りを続けなければいけないのなら、


私は彼女を救いたい。





旅先で、物売りをする子供や

ストリートチルドレンと出会うたびに

毎回同じことを思う。





この先、私にできることは何だろう。