こんにちは!


お久しぶりです(`ω´)

私の頭の中で膨らませすぎて色々なパターンに蛇行しすぎてしまいました( ˊᵕˋ ;)


秋が来、冬も近いですね

そんな感じの儚さが高校生活って感じがします

詩織ちゃん目線です


では、START


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詩織ちゃん目線




「しおりさん、おはようございます!」


いつもの車両のいつものドアから

あーりんは私の隣にくっついた


「おはよう、あーりん」


演劇部の朝練と、午後練

自然と後輩であるあーりんといることが多い

先輩と後輩として、年下のお友達として


今日も暑いね、なんて言いながら、覗き込む優しい視線にちょっとどきっとする


あーりんは、かわいい

不意に頭をぽんと撫でたくなるような、愛らしい子

だけど、演劇部ではまた違う


「次、どんな劇にしようかなあ」


演劇部では、女王様だ


演出、役者、裏方作業、気がついたらその全てに顔を出している

すごいな。って思いながら、私はあーりんに手渡された台本を読むだけ

それだけで褒めてもらえるのは、なんだかむずっとする


「しおりさんはどんな役やりたいですか?」

「また役、くれるの?」

「しおりさんは華があって素敵ですから。役者以外にはもったいないです」


華があって、周りを見てて、構成力があって

そんな人におだてられちゃってもなあ

少しの劣等感と、そう思ってくれるあーりんの優しさに小さくありがとうと言った




朝練が終わって教室に着くと、机に突っ伏している夏菜子がいた


「おはよ」


頭にぽんと触れる

手から離れた途端頭が上がった


「おっ、おはよしおり。朝練おつかれ」

「ありがと。夏菜子もおつかれ」


夏菜子の後ろの席に着く

ほんのり柑橘系の制汗剤の香りがする

「今日、れにに報告しに行く?」

「え!……な、なんで?」


あ、夏菜子。もしかして気付いてないのか


「友達じゃん。一応、れにには話した方がいいんじゃないかって」


私には、そういう意味じゃないんだけど

多分その意図は、夏菜子に伝わらない

何を悩んでいるのか。私が後に引けないことを案じているんだろうか


詩織、本気なの?」


本気といえば、本気。そこに嘘はない

だけど、なんていうか、どんどん自分で足場を悪くしているような、そんな感じが夏菜子には伝わってしまっているんだと思う


「れにには、伝えるべきじゃない?」


そこが、大事。一番に


「伝えたい、けど……


他に迷いがあるのもわかる

それは、なんていうか、どうしようもないこと

そしてそれは、わりと結構大事なこと

だけどそれもひっくるめて、れにには分かってもらいたい。そういう強い、私の望みがある


「言ったら、気を使わせちゃいそうだなって。でも、黙ってる方がよくないよね」


チャイムが鳴って、夏菜子は前を向いた

お昼に。演劇部の部室は借りておいた

どきどきとわくわくと、少しの後ろめたさが私の髪の一本一本の毛先を、つーっとなにかが引っ張ってくる。そんな感じがする






「え!おふたりさん、ついに……


右手と繋いだ夏菜子の左手

一瞬きゅっと握って、私も少し握り返した


「なんかヤバいね!アツい!高城は応援するから!」


ついにか、薄々わかってたよ、すごい

めちゃくちゃ煽ててくるれにに、少しうんざりした

ちらりと、ドアの窓を見た

夏菜子は少し恥ずかしそうにれにを見ていた


なんにも分かってない、二人はなんにも

私が伝えようとしないだけなんだけど




部室の椅子にそれぞれ座って、お弁当を広げた

私は、ジュースのストローを少しだけかじった


それと、私、あーりんがドアの外にいたの気付いてたよ

決定的な部分の後だったけど、入ってこなかったってことは、そうなのかもしれない


私は部室の窓越しにれにの顔を見た

無理してるのかな。っていうのは、私の希望


結局、私は夏菜子のことを一番見ていなかった

夏菜子のことを私から解放してあげたい。だけど、


私だって、囚われの身なんだ





「たまさん、」


夏菜子が席を外して、すぐに

私は左耳に髪をかけた

れには寂しそうにあははと笑った


「どっちから?」

あっちから」

「へえ、意外」

「それな」


こんなさっぱりとした会話で、私は少しだけほっとした

れにが私たちのことをなんとも思ってないってこと

こう、互いに同じ温度でぬるま湯に浸かれること


だけど、窓を開けてれにの髪がふっと浮いた時、私は銀色のキラキラしたそれを、しっかりと見てしまったんだ


「あーあ。私は特別だと思ってたのにな」

「なにそれ、自惚れだ」

「たまさんが……、ううん。なんでも」


通じ合ってしまった。だけど、私はれにのことを、もう好きでいちゃいけないんだ

そして、れにもこれから、私のことを好きになんてなれない

これまで、でおしまい。ずっと、片思い



「こんにちは!みなさん部室にいらっしゃるようだったので、購買でお菓子買ってきちゃいました!」


おーナイスあーりん!

戻ってきた夏菜子もありがと、と頭をポンと叩いた


あーりんはたぶん、察してはいないと思う

だけどなんとなく寂しそうな顔をしていたのは、自分達がみんな先輩だから。なんだと思う


「来年になったら、しおりさんもいなくなっちゃうし。私、寂しいです」


なんだかかわいらしくて、それだけずっと忘れられずにいた


空が少しずつ高くなっていく

同じように、あーりんは私たちとの差を感じているのだろう

なんで、空はどんどん遠ざかってしまうんだろう


私たちの距離は、なんにも変わらないのに


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色々と複雑に絡まり合う想い、というやつが好きなんです😌

いかがでしたでしょうか


また次、マイペースにやっていこうと思いますので、その時は読んでいただけたら嬉しいです


感想等のコメント、励みになります


では、今回はこの辺で