【第七話・第一回戦】
「スゲェ……! 魔法学校に、こんな場所があったのか……!!!」
ゲートをくぐった先には、超広いスタジアムが。
ここで、大会が行われるのだ。
別のゲートから、次々と他の生徒も出てくる。
いずれも、見覚えのある生徒ばかり。
そして、その中には第二魔法学校の生徒も……。
とりあえず、あのベリアルとかいう悪魔は居ないようだが……。
「予選を勝ち上がった生徒諸君、中央へ」
校長のアナウンスと共に、生徒らがスタジアムの中央へと歩みだす。
いずれも、魔法学校の実力者達だ。
そんな強豪らの中で、段違いの魔力を持つ男が居た。
彼の名は、ザーク・G・サディーク。
先祖に、大冒険家のザーク・D・サディークを持つ。
第二魔法学校、最強の男。
ラグナが一番戦いたい相手だ。
(サディークか……、声とかあんまし聞いた事無ェけど、どんなヤツかな……)
と、考え事をしながらボーーッ、としていると、背中を雪に叩かれた。
その目には、「集中して」という殺気っぽいものが込められている。
年下だが……結構、怖い。
「はいはい、了解しましたよ……」
「ラグナ、何か言った?」
「いや、別に……」
アンジェもだいぶ落ち着いたようで、先ほどまでの興奮した様子は感じられない。
とにかく、そのまま開会式が終わり、生徒らは控え室へと入った。
「んで? 一回戦、俺らは誰と当たるんだ?」
「えっと……、相手は、シヴァのレン・ライト、シヴァのフィーリ・ツヴァイス、カオスのレオン・グリフォード、アトラス
のセナトゥ・エリエット、のチームです、兄上」
「へェ~……、レン君達、出てたんだ」
「んじゃ、誰から出る? 私が行こうか?」
「いや、ルウはセナトゥとやってろ。ここは……俺が行く」
「ってかさ、相手四人しか居ねーじゃん? ってことは、誰かが戦わなくて良いって事だよな?」
「そういえばそうだね」
「んじゃ……、休憩した方が良いと思う人を指差して」
雪の言葉と同時に、全員がラグナを指差した。
ラグナは「へ? 俺?」みたいな、あっけにとられた表情をしている。
いつもなら、こういう場合は真っ先にルウが「私が休憩する!」って言い張るのだが……。
「あのー……、何で、俺?」
「ラグナ、疲れてるでしょ?」
「兄上はここまでずっと、一人で戦ってきたようなものですからね……。魔力が著しく低下しています。休憩してく
ださい」
「安心しろって! この俺が居る限り、お前なんざ出る必要すらねェ!」
「そうそう、龍の言うとおり♪ だから、休憩した方が良いよ。ね?」
「……わかったよ」
「んじゃ、行ってくるわ!」
しぶしぶ休憩する事を承諾したラグナに目配せをし、龍は控え室を出て行った。
炎VS氷……、攻撃と防御の、全く別の属性の戦い。
それが、今始まる……。
「では、これより第一回戦を始める! 音無龍、レン・ライトの両者は、スタジアムへ!」
校長の高らかな叫び声と同時に、二人がスタジアムに姿を現した。
パキポキと拳を鳴らす龍、そして、背中の大剣を抜き、構えるレン。
二人の戦いが、始まった。
「初めっから全力で行くぜ! フレイム・スピア!」
「アイス・シールド!」
龍の魔法により、天から炎の槍が降り注ぐが、レンは容易くそれをガードした。
シヴァ自慢の防御力だ……。だが、シヴァの生徒の力は、防御だけではない。
龍が次の魔法を唱えようとした瞬間、レンが勢いよく斬りかかった。
「チッ!」
「外れたか……」
間一髪でレンの攻撃を回避し、タン、タン、と地面をけりながらスタジアムの端へと移動した。
魔法での防御力もかなりのもので、剣術も一流……。
「死角が無い」とは、この事を言うのだろう。
はぁ、と溜息を吐いて、龍は再び、魔法を唱えだした。
イフリートの生徒は、体術も得意だが……、龍は、どっちかというと、あまり体術は使わない。
「これで終わりだ、龍! アイス・ブレイドッ!」
剣に防御用の魔法を纏わせ、突撃してくる。
まさに、攻防一体の技。
それを避け、レンの腹に両掌を触れた。
そして……、魔法を発動する。
「ドラギレアッ!!!」
灼熱の業火が、レンの体を包み込み、燃やしていく。
だが、レンは全く動じていない。
無表情な笑みを浮かべたまま、龍の攻撃を喰らっている、ただそれだけ。
そして次の瞬間、レンが龍の腕をつかんだ。
それと同時に「隙あり」という小さな声が聞こえ、後ろから何者かに斬られた。
大量出血で、意識が飛びそうになった、そのとき。
「龍―――ッ!!!」
ルウの叫び声が聞こえた。
地面を踏みしめ、フラフラと立ち上がる。
因みに、戦わない生徒らは観客席から試合を見ているのだ。
「……レン、魔法か? これは」
「ああ、よくわかったな。俺の魔法『氷人形』だよ」
そう、龍が攻撃したレンは、氷で作られた人形。
それも、龍の火力では溶けないほどの氷。
傷口からぼたぼたと血が流れ落ちる。
かなり深く斬られた……、急いで回復させなければ、危ないかもしれない。
「……んで? 俺に致命傷を与えた=勝ち とか思ってんじゃねェよな?」
「何だと?」
ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる龍。
誰が見てもピンチの彼に、秘策などあるのだろうか……?
次回に、続く