【第九話・第三試合、ルウVSセナトゥ】


「さて……。そろそろ私の出番だね。行こうか、ダブルソード」


控え室でピンク色の髪の少女……ルウが、愛用の武器にやさしく語りかけていた。
他の仲間たちは、雪とフィーリと一緒に保健室へ向かった。
ただ一人、龍だけが観客席に居る。
その事を励みに、少女はスタジアムへと上がった。
スタジアムには、既に相手の選手が来ていた。
綺麗な顔立ちの女の子……に見えるが、男である。
名はセナトゥ。アトラスクラスの生徒だ。


「じゃあ、思いっきり行くよ!」
「ああ、来い!」


そして、試合が始まった。
セナトゥは次々と武器を作り出し、ルウに攻撃を仕掛ける……。
だが、ルウとてシヴァの生徒。防御魔法に関してはかなりの実力だ。
剣術は……中の上ぐらいだろう。
カキィィィン! と、二人の武器が激しくぶつかり合い、彼らは互いに壁際へと吹っ飛ばされた。


「なかなかやるな……!」
「セナトゥこそ……、強いよ」
「女顔だからって、ナメんなよ?」


セナトゥは魔法を詠唱し、新たな武器を作り出した。
そして、風で相手を吹き飛ばす。
これが、アトラスクラスの魔法……錬金術と、風を操る魔法である。


「出でよ、グングニル!」
「で、デカッ……!」


セナトゥの叫びと共に、巨大な槍が出現した。
これがセナトゥの最高の武器。
グングニルを構え、再び魔法を詠唱する。


「真空撃!!!」
「クッ!!!」


風を利用し、超高速でルウに襲い掛かる。
あまりの速さに、ルウは自分の周囲を氷で覆って身を守ることしかできない……。
反撃のチャンスを探してみるが、全く見つからない……、それどころではない。
次々と攻撃を仕掛けられ、もはや防ぐ事も難しくなってきた。
嫌な汗が額から流れてくる……。
それは、「恐怖」という感情。
いつ攻撃されるかわからない恐怖が、彼女の中に渦巻いている。
そして、次の瞬間……少女の右腕に、槍が突き刺さった。


「ぐっ……!」
「わ、悪ィ……。突き刺すつもりは無かったんだけどさ……」


悪気が無いにせよ、大怪我を与えてしまった為、謝罪するセナトゥ。
そんな彼の手を振り払い、ルウが即座にダブルソードでセナトゥの腹を切った。


「……ッ!!!」
「スキだらけだよ、セナトゥ」
「お互い様、か……!」
「そーゆー事。ほら、続き、戦ろ?」
「おう!」


激しい攻防が、再び始まった。
そして、その戦いを観客席から見つめる男が一人。
音無龍だ。


「ルウ……頑張れよ!!!」


その声が聞こえたかのように、ルウがコクリ、と頷いた……ように見えた。
そして、次の瞬間―――


「ぐあっ!」
「……私の勝ちだね」


ダブルソードをセナトゥの喉元へと突きたて、ニッコリと笑いながら言う。


「ああ、俺の負けだ」


悔しそうな笑みを浮かべながら答え、ルウの差し出した手を握った。
そして、大きな拍手と共に試合が終わる―――
一方その頃、魔法学校校舎に忍び込んだ悪魔、ベリアルは……。


「チッ……、広すぎて何がなんだかわかりやしねぇ……!」


自分より上の悪魔に命令され、ある物を探していた。
キョロキョロと辺りを見回していると、見覚えのある銀髪が。


「……魔法学校の生徒さんじゃねーか」
「あ゛? テメェ……この間、アンジェを襲ったヤローだな? 何しにきやがった?」
「別に? テメェみてェな雑魚に、関わってる暇は無いんでね」
「……そうかよ。けど、悪魔が学校に侵入してんのを、見逃すわけにはいかねェな」
「へェ……じゃあ、どうする、と?」
「テメェを倒して、魔法学校から追い出す!」
「良い度胸だ……、一つ聞いてやる。テメェは今迄、どれぐらいの強さの悪魔と戦った?」
「……ランクD」
「ハハッ! 最低ランクじゃねェか! なら、ランクBの俺には勝てねェなァ?」
「……うるせェな。授業の出席回数とかが足んなかっただけで、実際Bぐらい行けるっつーの」
「なら、見せてもらおうじゃんか。その実力ッ!」
(あの技は、魔力の消費がデケェからあんまり使いたくねェんだけど……。そうも言ってられねーよな……。よし! いっちょ、やるか!)
「さあ、来い!」
「ボッコボコにしてやらァ!!!」


                                                     つづく