いつも行くGSのスタッフの女の子。爽やかで優しく対応して
くれる。また来るね、とお声をかけたある日、私
もうすぐバイト退職します、と言う。
えっ、そうなの?と残念がる私に、春から教師になるんです、
とちょっと誇らしげにはにかんだ。
えー、そうなの?良かったね、と返事すると、照れ臭そうに
ありがとうございます、と笑う彼女。
今は学校の先生って、ブラックこの上なく退職者も多い。
何よりいじめ撲滅の筆頭であるべきなのに、その実職場では
職員同士のいじめが横行していたり、と良くない噂が後を
経たない。私の子どもの頃からは想像を絶する。
でもこの不景気に就職難、それでも教員採用試験をパスした
彼女を讃えたい気持ちには変わりない。
「いろいろ大変だと思うけど、世間知らずのおじさんたちの
言うことは気にせず、ハイハイ言ってスルーしてね。
せっかくなった先生だし、産休育休使って定年まで勤めてね。
応援してるからね!」と意味不明なエールを端的に送った。
頭の良い彼女は「ありがとうございます、励みになります」
と満面の笑顔でコクリとした。
その後、彼女とは会うことがなく年度末になった。先日、学校の
先生の異動が発表された。彼女は地元の学校へ新任だ。
夢と希望を抱いて就職する、それは私も経験した。だが、その
大きく抱いた夢と希望がガシャンと音を立てて崩れるのに
そう時間はかからない。それでも好きで入った業界だもの、
最大限に自分の力を出し切るまで、業務に全うして欲しい。
私のように頓挫せず…そう心の中で彼女の健闘を祈るしかない
れいでした。