[漫画]

大今良時「不滅のあなたへ(3)」(2017年講談社マガジンコミックス)

貧しいテント暮らしを強いられている少年・グーグーは、兄とふたり住み込みの屋敷の使用人を解雇されて今は農家の下働き、ある日たまたま見つけた犬を介抱していたら飼い主の少女からお礼の指輪を受け取って、ウキウキで戻ったテントは空っぽで兄は金を持って行方をくらましており、失意に暮れるグーグーを荷車から転がった丸太が襲い、逃げるさなか居合わせた先の少女の身代わりにグーグーは丸太に頭を潰され、変人として知られる酒屋の老人のおかげで命は取り留めるも二目と見られない醜い顔になってしまったグーグーは、仮面で素顔を隠して老人の使用人としての人生を歩み始めたところへ、老人の知り合いなビオランがフシを連れて帰ってきて、グーグーは子ども同然に何も知らないフシの世話をするうち彼を弟のように思うのだったが、ある日、老人の店をくだんの少女リーンが訪ね、腕に負った傷を薬用酒で治したいと語る彼女はフシに一目惚れでグーグーはがっかりするも、間もなくリーンはフシ目当てで店に住み込みで働くようになるのだったが、ある日グーグーは先に受けた手術で酒を保管する臓器を知らぬ間に体内に作られていたことを知り、ショックで店を飛び出すと以前の旦那の元へ帰り仮面を捨てて働くも、その醜い姿のせいで仕事を追われ、たったひとつ残った指輪を街で行き倒れていた兄の手に握らせ無一文になったグーグーは人買いに連れ去られそうになるが、彼を探していたフシに助けられ、二人を探しに来たリーンはフシがグーグーの仮面を探している間、お互いの境遇について語り合い理解を深めるのだったが、リーンの屋敷の下女が主を連れ戻しに追ってきて、ちょうどフシの元へも先に戦った謎の存在「ノッカー」が再び現れ、フシは一時その中身を奪われて石ころに帰ってしまうも、グーグーは酒を溜め込む自らの力を利用して彼の窮地を救い、グーグーの自分への思いを耳にしたリーンの頑なな気持ちにも変化が現れ、親の実家に移ってからもちょくちょくグーグーの店へ遊びに来たりしているうち四年の歳月が流れ、フシ・グーグー・リーンはそれぞれに成長を遂げるのだった。

 

前の巻から舞台が一新、フシが新たに付き合うこととなる人物グーグーの物語が始まる。

マーチやパルナを優に凌ぐヒロイン然とした新キャラ、リーン。自らが可愛いと自覚した上でのあざとさを描きながら魅力たっぷり、作者の術中にハマっている。

(2020/10/5)