[本]
武田綾乃「どうぞ愛をお叫びください」(2020年新潮社※単行本)
クラスの陰キャ系男子が幼なじみの陽キャに誘われてユーチューバーになり、男子高校生ゲーム実況四人組として人気を得るべく試行錯誤する。
ゲーム実況自体がクリエイティブな行為なのかという核心を作者は巧妙に回避しつつ、陰キャ男子の仲間たちにはバスケ部の陽キャ・バスケ部の脳筋・軽音部の異色イケメンを用意。主人公は昼を一緒に食べるくらいの関係な「オタク友達グループ」にも属しているらしいが、あえて彼らとゲーム実況をやらせなかった作者の思惑が巧みとも言え、しゃらくさくもある。
登場人物らが自らのキャラについて意識的なのは、実に今日的。
終盤に至り、それまで仲良しクラブな四人だったが、人気ユーチューバーとなって金のにおいがしてきた途端に関係が不穏に。ギスギスさせると筆が乗るのは、さすが「響け!ユーフォニアム」の生みの親。
多用される「へらり(と笑う)」、「長い回想から、僕は自分自身を取り戻す」(p244)、「手で追い払う仕草をすると」→(19行後)→「手を振って追い払う仕草をすると」(p262)など、何冊も本出してる割に全然上手くならないな。
(2020/12/21)