[特撮]

ニコニコ動画で、「特捜ロボ ジャンパーソン」(1993年)

#15「翼をすてた天使」

爆発事故で生みの親・西村博士と研究所を失ったロボット・エンジェルは、路頭に迷っていたところをとある町工場の社長らに拾われ、名前に似合わず翼も何の能力もない出来損ないロボットと自らを卑下するエンジェルだったが、社長の「出来損ないじゃない野郎がいるのかよぉ! みんな出来損ないよぉ、だから寄ってたかって助け合うんだろうがぁ!」という言葉に胸を打たれ、町工場で共に働く幸せな日々を送っていたのだったが、帯刀コンツェルン総帥・帯刀龍三郎は秘書の二人からエンジェル発見の報を聞くやすぐさま接触、銃撃に対し自動で展開する電磁バリアの存在を証拠に、お前は帯刀コンツェルンが西村博士に発注した破壊工作ロボットであると語り、工場の仲間たちに危害を加えることも辞さない帯刀に脅されたエンジェルは、一度だけ従うつもりで帯刀に楯突く会社を襲撃、駆けつけたジャンパーソンと戦うことになるが、空を飛ぶ翼をはじめ自らも知らなかった武装の数々でジャンパーソンを圧倒するエンジェルには帯刀も大喜び、ところが一度だけという約束をあっさり帯刀に反故にされたエンジェルは途方に暮れて工場へ帰ると、エンジェルを探しに来たジャンパーソンを弁護する工場の仲間たちの姿を目の当たりにして、「何が天使なもんか! 逃げようがあいつの命令通りに動こうが、どっちにしても俺は死神じゃないか!」と絶望の叫びを聞いた帯刀から「お前にはデストロイヤーとしての運命しか与えられていない」と悪魔の宣告を受けたエンジェルは本格的に破壊活動を開始、止めようとするジャンパーソンの「どう選ぶのを生きるかは自分自身だ」にも「運命が全てだ!」と耳を貸さず、両者は死闘を展開、ジャンパーソンの一撃がエンジェルの片翼を破壊したその時、「悪を倒せ、完全破壊しろ」という内なる声がジャンパーソンを苛むなか、昔の私には従わないと我が身に言い聞かせるジャンパーソンはエンジェルを粉々にしかねない膝ミサイルを使わず、ジャンデジックでエンジェルの動きを止め、「俺もお前のように生まれたかった、愛し愛されるロボットに」「はじめからこの世に生まれてこなければ良かった」とつぶやいて機能停止するエンジェルに、ジャンパーソンは「私も生まれた時は違ったんだ」とひとりつぶやくのだったが、エンジェルを倒したジャンパーソン活躍の報を伝える新聞記事に悲しむ工場の仲間たちの元へ現れたのは、天国へ行ったと思われたエンジェルで、ジャンパーソンに生まれ変わらせてもらい自首する前に挨拶に来たと語るエンジェルは、罪を償ったら必ず戻ってこいという社長や仲間たちのあたたかさに生まれてきた喜びを得て、ジャンパーソンは「私も忌まわしい生い立ちを持つ。しかしそれを自らの意志で断ち切った。どう生まれたかが問題ではない、どう生きていくかが重要なんだ」と語って、エンジェルの始まる新しい人生を祝福するのだった。

 

先週のU2 に続き、悪の存在として生まれてきたことに苦悩するロボットが登場するが、エンジェルと対比する形でジャンパーソンの過去の一端も明らかになる、重厚なエピソード。

工員のひとりに河井マモル。数ヶ月前までメタルヒーローシリーズの前作「特捜エクシードラフト」にてクールな耕作を(文字通り)演じていたが、生まれてくる赤ん坊を「天使のお前に抱いてほしい」とエンジェルを見送る姿は、やっぱり熱血漢なのだった。

(2022/8/27)