[本]
左右社編集部「〆切本2」(2017年左右社392p)
前作に引き続き、作家・編集者たちの〆切にまつわる悲喜こもごもエッセイをまとめた一冊。
本書では、とうとう〆切に間に合わなかったら雑誌はどうなるのかということを、雑誌の頁自体を再録して見せてくれる。生け贄と選ばれたのは、タモリ「ハナモゲラ語の思想」と、野坂昭如「読者へ」。
タモリの方は、編集者が悪夢としばしば叫ぶ「白紙の雑誌」そのもので、これは相当なインパクトがある。筒井康隆編集の雑誌「面白半分」での事件だったらしく、さすが作家が手掛けただけあって、ある意味容赦ない。
野坂昭如は一連の経緯を書き殴った原稿をそのまま掲載。無頼派と呼ばれた作家としてはある意味、鑑なのかも。
作家陣だが、川上未映子&三浦しおんの軽妙洒脱の気取りっぷりに鳥肌が立つ。本業は漫画家なさくらももこの方が、よほど文章としてしっかりしたものを書いていた。漫画界からは他に赤塚不二夫・高橋留美子・水木しげる・江口寿史と、前巻同様に豪華な顔ぶれ。
おまけの「奥付」は、この本自体が〆切を破っていたという良いオチ。
(2020/09/20)