[映画]

DVD で、「GODZILLA 決戦機動増殖都市」(静野孔文・瀬下寛之監督2018年101min.★3.5)

地球で2万年生き続け人類の想像を超える強大な存在として現れたゴジラの前になす術なく敗北した人類だったが、気を失ったハルオは双子の少女に助けられており、彼女たちは地下の洞窟に隠れ住む人間と昆虫のハイブリッド種族なフツアで、彼らの用いている鏃がナノメタルと気づいた異星人その1 なビルサリアは目の色を変え、大量のナノメタルが眠る富士山麓こそはビルサリアがゴジラ打倒のために開発したナノメタル製兵器メカゴジラの拠点で、2万年ものあいだ自己増殖を続けたナノメタルは、今やメカゴジラの形状を捨てて都市へと進化しており、この力を用いればゴジラを倒せると自信たっぷりのビルサリアと、ハルオは新たな作戦を決行するが……。

 

アニメゴジラ三部作の二作目。

メカゴジラ=街 と、事前にネタバレを聞いても何のこっちゃ意味がわからなかったが、映画を見れば、なるほどその通り。

ナノメタルという何でもできちゃう魔法の道具を出しておきながら、ゴジラとメカゴジラのガチンコ怪獣対決はなし。前作同様に期待を裏切っていくスタイルだが、お客を満足させないサプライズに意味があるのかどうか。

いわゆるインファント島の部族や小美人をモチーフにしたフツア(肝心のモスラは影も形も出てこないが……次かな?)の登場に加え、ビルサリア・異星人その2 なエクシフ・地球人の三者の思惑の違いを駆動力に、物語は一本芯が通っている。ゴジラが動き出すまで1時間と、二作目にしてなおもったいぶっているものの、「エヴァ」にも繋がる要塞戦は戦略に重きが置かれて、前作との差別化も明確。

「怪獣は人の手で決して倒せないから怪獣なのだ」と語るビルサリアは怪獣に勝つため自ら怪獣になる道を選び、それと対極の立場を取るエクシフ、地球人のハルオがその狭間で苦悩するなか大切な者の命が犠牲となり、最強の怪獣「ギドラ」の名前が待ってましたと唱えられたところで、完結編へつづく。

小難しい言葉を使いたがる観念性の強い世界観を受け入れてしまえば、前作「怪獣惑星」の無惨な出来が嘘のよう。一作目で、なぜこれができなかったんだろう。前作では虚淵玄単独クレジットだった脚本が、本作ではSF 物のベテランな村井さだゆきを筆頭に三人体制へ変わった影響か。

ぜひ次もこの布陣で……と調べたら、次の完結編はまた虚淵ひとりか……。

00:52~ 三部作すべての主題歌を手がけるXAI の楽曲も、本作の「THE SKY FALLS」が白眉。元BOOM BOOM SATELLITES の中野雅之によるブンブン節が、おおいに盛り上げる。

(2019/2/25)